第46話 影と共に生きる
目を開けると、リクは迷宮の床に倒れていた。視界がぼやける中、影狼とゴルムが彼のそばに寄り添い、不安そうに顔を覗き込んでいた。
「……終わったのか?」
リクはゆっくりと身を起こし、自分の手を見つめた。確かな変化を感じる。自分の影が、まるで意志を持つように揺らめいていた。
影の王の継承を果たした。
その事実が彼の体に刻み込まれていた。影を単に操るのではなく、影と共に歩む者として生きる。それが、リクが選んだ道だった。
「リク!」
ライザが駆け寄る。
「無事なのか?」
「……ああ。だけど、もう俺は以前の俺じゃない。」
そう言いながら立ち上がると、リクの周囲の影がわずかに波打った。影が彼の動きに応じるように共鳴している。
「すげぇな……影が完全にお前と同調してる。」
ライザが驚きの声を上げる。セインは腕を組みながらリクを見つめ、皮肉げな笑みを浮かべた。
「……どうやら本当に影の王になっちまったようだな。」
リクは苦笑しながら肩をすくめた。
「王なんて柄じゃない。でも、俺はこの力を自分のために使うつもりはない。」
「じゃあ、どうするんだ?」
ライザが問いかけると、リクはゆっくりと空を見上げた。
「この街の影に潜むものを見極める。そして、この力が必要な時に、迷うことなく使う。それが、俺が進む道だ。」
かつてのリクなら、力に戸惑い、恐れを抱いたかもしれない。しかし今は違う。
彼は影と共に生きると決めた。
ゴルムが低く唸り、影狼が静かにリクのそばに並ぶ。彼らもまた、リクの決意を理解し、共に歩むことを選んだのだ。
ライザは満足そうに笑い、セインは鼻を鳴らしながら言った。
「まぁ、悪くない結末だな。だが、まだ終わっちゃいねぇぞ。影の王の力を狙う奴は必ず現れる。」
「分かってる。だからこそ、俺はこの街に残る。」
ヴェラーノの夜風が吹き抜け、リクはその冷たさを心地よく感じた。
これが終わりではない。これは、彼の新たな旅の始まり。
「行くぞ。俺たちは、これから何をすべきか分かってるはずだ。」
影と共に生きる者として——リクの物語は、ここから続いていく。




