第42話 影の王の遺産
リクたちは新たに開かれた洞窟の奥へと進んでいた。先ほどの魔族との戦闘の疲労は抜けきらないが、立ち止まるわけにはいかなかった。
「王の器って……どういう意味なんだ?」
リクは呟きながら、自らの手を見つめた。影狼がそっと鼻を押し付け、ゴルムも静かに隣を歩いている。彼らもまた、何かを感じ取っているようだった。
「そんなことを考えるのは後にしな。今は前に進むしかない。」
ライザが短剣を回しながら前を見据えた。彼女の表情にはわずかな警戒がある。
洞窟の奥へ進むにつれ、空気が変わった。影が深まり、まるで生きているかのように揺らめいている。そして、壁には古代文字が刻まれていた。
「これは……古の魔族の言葉?」
リクが指でなぞると、ふと、文字が淡い光を放った。
──汝、王の血を継ぐ者よ、ここに至れ。
「……俺のことを指してるのか?」
リクがそう呟くと、影が彼の足元に広がり、まるで導くように奥へと続く道を示した。
「誘われてるってわけか。」
ライザは短剣を抜き、周囲を警戒しながら歩を進める。リクたちが影の道を進むと、巨大な扉が目の前に現れた。
その扉には、影の紋章が刻まれていた。
「これは……。」
リクが手を伸ばそうとしたその瞬間、影の中から何者かの声が響いた。
「貴様は何者だ?」
その声とともに、漆黒の騎士が現れた。彼の瞳は暗闇の中で赤く光り、まるでリクを試すように剣を構えている。
「……また試練か。」
リクは短剣を抜き、影狼とゴルムに指示を送る。ライザも戦闘態勢に入る。
「いくぞ!」
影の騎士との激戦が、幕を開けた──。




