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第41話 闇の試練

洞窟の奥から這い出してきた異形の魔族は、腐食した鎖を引きずりながらリクたちをじっと見つめていた。その眼は深い闇を湛え、理性を感じさせない。


「……こいつ、普通の魔族じゃねぇな。」


ライザが短剣を抜き、戦闘態勢を整える。影狼は低く唸り、ゴルムは影を纏いながら後方を固める。


「おそらく封印の守護者……俺たちがここに来るのを待っていたんだ。」


リクの中に眠る記憶が警鐘を鳴らしていた。この魔族は単なる敵ではなく、影の王の遺産に関わる存在だ。


魔族が唸り声を上げると同時に、洞窟全体が揺れ始めた。壁の影が伸び、魔族の体を包み込むと、次の瞬間には四足から二足へと姿を変え、巨大な漆黒の剣をその腕に作り出した。


「変異した……!」


リクが短剣を構えるよりも先に、魔族は疾風のごとく駆け出し、影狼に襲いかかった。影狼は素早く身を翻して避けたが、その鋭い剣圧に洞窟の床が削られる。


「影狼、距離を取れ! ゴルム、援護を頼む!」


ゴルムが影の刃を飛ばし、魔族の動きを封じようとするが、敵はその一撃を弾き飛ばし、一直線にリクへと襲いかかる。


「っ!」


リクは寸前で身を引き、短剣を突き出す。しかし、魔族の剣が素早くカウンターを繰り出し、彼の刃を弾く。


「やばい……!」


圧倒的な力の差を感じたリクだったが、その時、頭の中で再び記憶が響いた。


──影の王よ、汝が血の契約を受け入れる時、真の力が開かれん。


「血の契約……?」


刹那、魔族の剣が振り下ろされる。リクは無意識に影に溶け込むように動いた。


「なっ……!」


ライザが驚きの声を上げた。リクの体が一瞬だけ影となり、魔族の攻撃をかわしていた。


「今のは……!」


リクはその感覚を理解する間もなく、影狼が魔族の背後に回り込み、牙を突き立てた。ゴルムも援護射撃を行い、敵の動きを鈍らせる。


「今しかない……!」


リクは短剣を逆手に持ち、影の中から魔族の懐に入り込むと、その胸元へと突き刺した。


「──終われ!」


突き刺された短剣が黒い波紋を広げ、魔族は低い唸り声を上げながら崩れ落ちた。


沈黙が訪れる。


「……倒したのか?」


ライザが息を整えながら尋ねる。リクは短剣を握りしめながら、倒れた魔族を見下ろしていた。


その体は影へと溶けていき、最後に一言、呟いた。


「王の器よ……」


その声が洞窟に響き、完全に消滅した。


「王の器……?」


リクの心にまた新たな疑問が芽生える。だが、それを考える時間はなかった。


洞窟の奥で、新たな道が開かれていた。


「先へ進むぞ……答えは、あの先にある。」


リクたちは、影に包まれた新たな試練へと足を踏み入れた。

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