表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/231

第35話 影の審判者と試される覚悟

リクは冷たい夜風に身を震わせながら、ヴェラーノの片隅にある隠れ家へと戻った。影狼は彼の隣で静かに歩き、ゴルムは後方から周囲を警戒している。闇に溶け込むように歩く彼らの姿は、誰にも気づかれず、ひっそりとした小道へと消えていった。


隠れ家の扉を開けると、中では金ぴかが椅子に腰掛け、上機嫌そうにワインを傾けていた。リクはその姿を見て、無意識に眉をひそめた。


「ご苦労だったな、リク。」


「……軽いな。お前、何か知ってたんじゃないか?」


金ぴかはニヤリと笑い、ワインを置くとリクに向き直った。


「知ってたというより……予感があったと言うべきかな。貴族の館に忍び込むのは、お前にとってもいい経験になっただろう?」


「ふざけるな。俺はただの手駒か?」


リクの声には怒りが混じっていた。彼は金ぴかに何度も利用されている感覚を拭えずにいた。しかし、金ぴかはそれを意に介さず、飄々とした態度を崩さない。


「まあまあ、そう怒るな。お前の働きのおかげで、有力な情報が手に入ったのは事実だ。」


「それは何だ?」


金ぴかはリクをじっと見つめた後、ため息混じりに呟いた。


「……『古の遺産』に関するものだ。あの貴族の館には、俺たちが探している“力”に関する秘密が隠されていた。」


リクはその言葉に思わず身を乗り出した。


「“力”? 詳しく話せ。」


金ぴかは慎重に言葉を選びながら、ゆっくりと語り始めた。


「どうやら、ヴェラーノの地下には『封印された魔物』がいるらしい。それが、古の遺産の鍵を握っているとされている。貴族たちは、その存在を隠しながらも、何らかの形で利用しようとしていたようだ。」


「封印された魔物……?」


リクは喉が渇くのを感じた。彼自身、魔物使いとして数多くの魔物を見てきたが、『封印された』という言葉が意味するものが、ただの魔物ではないことを本能的に察した。


「貴族たちがその封印を解こうとしているのか?」


「いや、彼らもそれを恐れている。だからこそ、館の奥深くに隠していたのさ。お前が見つけた書類がその証拠だ。」


リクは貴族の館で手に入れた書類を広げ、改めて目を通した。そこには、『封印の崩壊』『力の暴走』といった不穏な言葉が並んでいた。


「つまり、この遺産は、ただの財宝や武器じゃなく……制御不能な魔物そのものってことか?」


金ぴかは静かに頷いた。


「そういうことだ。俺たちは、これをどうするか考えなきゃならない。」


リクは拳を握りしめた。影狼とゴルムも、何かを察したように緊張を高めている。


「……俺はその魔物を見てみたい。」


「は?」


金ぴかは一瞬、間の抜けた顔をしたが、すぐに笑みを浮かべた。


「やれやれ……お前、本当に無鉄砲なやつだな。でも、その気概は嫌いじゃない。」


リクは鋭い目で金ぴかを見据えた。


「本気だ。この街の地下で何が起きているのか、自分の目で確かめる。それが、俺が進むべき道を決めるための答えになる。」


金ぴかはしばらく考え込んだ後、ゆっくりと頷いた。


「……分かった。だが、これは一人でやるには荷が重いぞ。」


リクはニヤリと笑った。


「俺には影狼とゴルムがいる。」


金ぴかは肩をすくめながら、微笑を浮かべた。


「いいだろう。じゃあ、お前にとって最高の案内役をつけてやる。」


「案内役?」


その瞬間、部屋の奥からゆっくりと姿を現したのは――


「よう、久しぶりだな。」


リクの目の前に立っていたのは、かつての宿敵、セインだった。


リクは反射的に短剣を握りしめた。


「……何でこいつがここにいる?」


金ぴかは楽しそうに微笑みながら答えた。


「さあな。だが、今は味方だと思ってくれ。お前が地下へ行くなら、こいつの知識と経験が必要になる。」


リクとセインが向き合う。


「……面白くなってきたな。」


影狼が静かに唸り、ゴルムは不安げにリクを見つめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ