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第34話 失われた記録と影の真実

ヴェラーノの夜風が、リクの肩の傷に冷たく染みた。影に消えた謎の男の言葉が、彼の頭の中で何度も反響していた。


「まだ未熟……?」


影狼とゴルムが彼の周囲を警戒しつつも、リクの無事を確認するように寄り添う。リクは深く息を吐き、決意を固めた。


「俺が何者か、知る必要がある。」


その答えを求めるため、彼はギルドの資料庫へ向かうことにした。古い記録の中に、影を操る力に関する手がかりがあるかもしれない。


ギルドの資料庫


ヴェラーノのギルドには、長年蓄積された記録が保管されている。昼間は冒険者たちで賑わうが、夜の資料庫は静寂に包まれていた。


「おい、こんな時間に何してる?」


受付の老書記官が鋭い目でリクを見つめる。リクは適当に言い訳を考えながらも、正直に頼み込むことにした。


「古い記録を調べたいんだ。影に関するものを。」


書記官は眉をひそめた。


「影の記録か……随分と物騒なものを探すな。」


「理由を聞かないでくれ。ただ、知る必要がある。」


リクの真剣な表情を見た書記官は、ため息をつきながら鍵を手に取った。


「勝手に見て、何かあっても責任は取らんぞ。」


資料庫の奥深くには、埃をかぶった書物や石版が並んでいた。リクは懐からランタンを取り出し、慎重にページをめくる。


影の継承者


しばらくの調査の末、リクはある書物に目を留めた。


『影の継承者と禁断の力』


震える手でその書物を開くと、そこにはリクがかつて見た遺跡の石碑に刻まれていたものと同じ言葉が記されていた。


『影を操る者は、影に飲まれる運命を持つ』


さらに読み進めると、記述にはこう続いていた。


『古き時代、影を操る者は「影使い」と呼ばれ、強大な力を持つ一方で、その力に呑まれた者は「影鬼」となり、自我を失った。』


「影鬼……?」


リクの胸に不吉な予感が広がる。彼の影狼やゴルムも、影を操る力を持っている。もし彼らが影鬼になってしまったら……?


『影鬼を抑える方法はただ一つ。影を支配するか、影と共に歩むこと。』


その言葉を目にしたとき、リクは謎の男の言葉を思い出した。


「俺が試されている……?」


影の力を完全に制御するか、あるいはそれに飲まれるか。リクは自分が今、その岐路に立たされていることを悟った。


迫る脅威


調査を終え、リクは資料庫を後にしようとした。しかし、その瞬間、扉の外から微かな殺気を感じた。


「……誰かいる。」


影狼が低く唸る。ゴルムも影を揺らし、警戒の構えを見せる。


「まさか、監視されていた……?」


リクは瞬時に灯りを消し、影の中に身を潜めた。だが、扉の向こうから足音が近づいてくる。


「リク・エルステッド……貴様の動きはすべて見えている。」


低く冷たい声が響き、扉がゆっくりと開いた。


リクは短剣を握りしめ、影狼とゴルムを従えて静かに息を潜める。


「誰だ……?」


闇の中から姿を現したのは、黒い装束を纏った男だった。その顔には無感情な仮面が被せられており、手には影のように揺らめく剣を持っていた。


「"影の審判者"……か。」


リクはその名を口にした瞬間、血の気が引いた。


影の審判者。それは、影の力を持つ者を監視し、力を制御できなければ抹殺するという組織の名だった。


「お前が"影鬼"になる前に……ここで終わらせる。」


仮面の男が無言で剣を振りかざし、リクの前に迫る。


「チッ……!」


リクは短剣を構え、激しい夜の戦いが始まった。

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