第26話 マカロン?
リクは再びヴェラーノの街を歩いていたが、今回の彼はいつもと違って少し浮かれていた。任務の成功と影狼の進化、さらに謎の筋肉女子ライザとの出会いが心に残っていたのだ。
「ふふん、俺も少しは成長したかもな……。」
そんなリクの背後で、影狼が冷めた目で見つめ、ゴルムは低く唸りながら鼻で笑ったような音を立てた。
「なんだよ、お前ら。そんな目で見るなよ!」
リクが抗議するも、影狼はしれっとリクの足を軽く引っ掛け、ゴルムはお約束のようにリクの頭に小さな影を落として帽子代わりにする。
「おい、俺の威厳どこ行った!」
リクが慌てて帽子(影)を払いのけると、近くの市場の人々がくすくすと笑っていた。
そんな中、リクの背後から聞き覚えのある豪奢な声が響いた。
「おや、無事に戻ったのか、リクくん?」
振り向けば、そこには金ぴか――ヴァルド・ルシオンが、相変わらずギラギラした鎧を着て立っていた。その輝きはまるで太陽の直視レベルで、通行人たちは目を細めて避けるように歩いている。
「お前、まぶしすぎるんだよ!」
リクは思わず目を細めながら抗議したが、ヴァルドは意に介さず、自慢げにポーズを取った。
「光り輝くのは、優れた者の宿命さ!」
その瞬間、鳥が空を飛びながら彼の鎧に映る反射光で目を眩まし、ポトリと何かを落としていった。
「……おい、今の見たか?」
影狼が勝ち誇ったように尻尾を振り、ゴルムは再び鼻で笑う音を立てた。
ヴァルドは気にする様子もなく、リクに近づいた。
「さて、今回の任務、よくやった。だが、もっと大きな取引がある。」
リクは疑念の眼差しを向けながらも尋ねた。
「また面倒ごとか?」
「いや、今回は重要な任務だ。伝説の『光るマカロン』を探すんだ!」
「は?」
リクの返事はシンプルだった。
ヴァルドは真剣な表情で続ける。
「このマカロン、食べると一瞬だけ全身が光り輝くと言われている。私の輝きに更なる輝きを加えるためには必要不可欠なのだ!」
リクは頭を抱え、影狼とゴルムも同じく呆れ顔を浮かべた。
「……帰って寝る。」
「待て! 報酬は金貨100枚だ!」
リクはピタリと足を止め、くるりと振り返る。
「どこにあるって?」
こうして、リクの新たな(そして少しくだらない)冒険が始まるのだった。




