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第15話 遺跡の奥で待つもの

遺跡の入り口に足を踏み入れると、空気が一変した。冷たい湿気が肌を覆い、古の石壁には苔が絡みついている。リクは暗闇に馴染む目を凝らしながら進んでいった。


「ここに答えがあるはずだ……。」


静寂の中でリクの声が響く。ゴルムと影狼がその背後に控え、いつでも動けるように待機している。


遺跡の奥へ進むと、以前とは異なる奇妙な感覚がリクを襲った。まるで誰かに見られているような圧迫感が全身に広がる。


「気を引き締めろ。ここには俺たち以外の存在がいるかもしれない。」


ゴルムが低い唸り声を上げ、影狼が鋭い目つきで辺りを警戒した。


リクが目指したのは、以前に魔物支配の理論が記されていた部屋だった。石碑には古代文字が刻まれており、そこにはこう記されている。


"魔物は従わされる存在ではなく、共に歩む存在であるべき。"


リクはその一文を見つめながら、疑問が膨らむ。


「共に歩む存在……? どういう意味だ?」


さらに調査を進めると、石碑の下に埋もれていた古い箱を見つけた。埃を払い開けると、中には小さな水晶が輝いていた。


「これは……?」


その水晶はかすかに光を放ち、リクが手に取ると温かい感触が広がった。彼の中に何かが流れ込むような感覚があり、一瞬だけ意識が遠のく。


リクは奇妙な空間に立っていた。目の前には影のような存在が佇んでいる。その声が低く響く。


「お前は、力を求める者か?」


リクは息を呑んだ。影の存在は続ける。


「魔物使いであるお前に問う。お前は魔物を統べる者となるのか? それとも、全ての魔物を使役する者となるのか? あるいは、共に歩む者として生きるのか?」


その問いは、リクの心に重くのしかかった。それぞれの選択がもたらす未来が、漠然とした形で彼の目の前に広がる。


「選べ。この選択こそが、魔物使いとしての段階を決定づける。」


その声が消えると同時に、リクは現実に引き戻された。


現実に戻ったリクは、しばらくその場に座り込んでいた。水晶を握る手は微かに震えている。ゴルムと影狼が彼を心配そうに見つめる中、遺跡全体が微かに震え始めた。


「何だ? 地震か?」


リクが立ち上がると同時に、先ほどまで静寂に包まれていた遺跡が、低いうなり声のような音を発し始めた。壁に刻まれた古代文字がぼんやりと光り、遺跡の奥に続く道が新たに開かれる。


「これは……試されているのか?」


リクはゴルムと影狼に指示を出しながら、その道へと足を踏み入れた。進むにつれて空気はさらに冷たく、緊張感が高まっていく。そして奥の部屋にたどり着いた瞬間、巨大な影が動き始めた。


「侵入者か……。ここは古の契約者以外、立ち入るべきではない。」


暗闇から現れたのは、石でできたゴーレムのような巨大な魔物だった。その目が赤く輝き、リクを睨みつける。


「試練だというのか……。やるしかない!」


リクは短剣を構え、ゴルムと影狼と共に戦闘態勢に入った。


ゴーレムの圧倒的な力の前に、リクは何度も攻撃をかわし、反撃を試みた。しかし、短剣もゴルムの影刃も、ゴーレムの硬い石の体に歯が立たない。影狼が足元を狙って動きを封じようとするが、その巨体はまるで揺るがない。


「くそ……こんな化け物相手に……!」


次の瞬間、ゴーレムの拳がリクを捉え、彼は壁に叩きつけられた。鈍い痛みが全身を走り、息を整える間もなくゴーレムの次の攻撃が迫る。


「ゴルム! 影狼! 下がれ!」


ゴルムと影狼は必死に抵抗するが、その攻撃は全く通じない。ゴーレムの一撃がゴルムを吹き飛ばし、影狼もその巨体に押し潰されそうになる。


「俺は……こんなところで……!」


リクの心に不甲斐なさが広がる。誰にも認められず、無価値だった自分。その感情が押し寄せ、暗い思考が心を蝕む。


「どうせ俺なんか……黙って消えても……誰も気にしない……。」


その時、ゴーレムの拳が影狼を直撃しそうになるのを見た瞬間、リクの中で何かが弾けた。


「そんなのは……嫌だ!」


彼は立ち上がり、全身の痛みを無視してゴーレムに向かって走り出した。ゴルムと影狼を守りたい、その一心だけが彼を突き動かしていた。


リクの中で新たな力が目覚める。それは『心突』というスキル。極限まで集中した意識が、急所を正確に捉える能力だった。


時間がスローモーションに感じられる中、リクはゴーレムの胸部にあるわずかな隙間を見つけた。そこに魔力核があると直感した。


「これで終わりだ……!」


短剣に全ての力を込め、リクは跳躍してその隙間を突いた。短剣が魔力核に到達すると、ゴーレムの動きが停止し、その巨体が崩れ落ちた。


リクはその場に崩れ落ち、荒い息をつきながらゴルムと影狼の無事を確認した。ゴルムは痛みを感じながらも起き上がり、影狼もかすかに動いている。


「俺は……お前たちを守りたい……。」


その言葉に応えるように、ゴルムと影狼が寄り添った。リクの手の中には、先ほどの戦いで光を放っていた水晶が輝きを増していた。


「これが……俺たちの力か。」


リクは立ち上がり、再び歩き出した。その背中には、新たな覚悟と、共に歩む決意が刻まれていた。




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