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第14話  戦略的鍛錬の決意と単独行動

交易と戦闘の両立を目指す決意を固めたリクは、ギルドの宿舎へ戻ると仲間たちに単独行動の意思を伝えることにした。夜が更け始め、宿舎内は静けさを増していた。


「リク、何かあったのか?」


カイルが先に気づき、声をかけてきた。その隣ではエリナも不安そうな表情を浮かべている。リクは少し躊躇したが、覚悟を持って口を開いた。


「少しやりたいことがあって、しばらく単独で動こうと思う。」


カイルは眉をひそめた。


「単独行動か……。大丈夫なのか? 最近は魔物の動きも活発になってるし、危険も多いぞ。」


「分かってる。でも、これは俺自身のために必要なことなんだ。」


リクの真剣な表情に、カイルは少しだけ安心したように笑みを浮かべた。


「そうか。お前がそこまで言うなら、俺たちは応援するしかないな。無茶だけはするなよ。」


エリナも小さく頷き、優しく微笑んだ。


「私たちにできることがあれば言ってね。どんな小さなことでも力になるから。」


リクは二人の言葉に感謝しながらも、自分が進む道は一人で切り開くべきだと再確認した。


「ありがとう。でも、これは本当に自分一人でやるべきことなんだ。また合流するときは、もっと強くなってるから。」


カイルとエリナに別れを告げたリクは、宿舎を後にした。


単独行動を開始したリクは、まずギルドの教官であるグライスの元を訪れた。自分の基礎能力をどう鍛えるか、そして役職の影響について確認するためだ。


「教官、役職やスキルがなくてもある程度は鍛えられるものでしょうか?」


リクの問いに、グライスは腕を組みながら少し考え込んだ。


「鍛えることは可能だ。ただし、限界もある。役職を持つ者はその分野での身体能力が強化される。例えば剣士は剣を扱う力や速度が向上し、商人であれば取引の判断力や交渉力が自然と磨かれる。だが、役職がない者はその恩恵を受けられない。」


リクは頷きつつ、自分の現状と照らし合わせた。


「じゃあ、役職が普通の人間に近い場合はどうなんですか?」


「そうだな……お前の魔物使いは戦闘系に分類されるが、特に身体能力を大きく伸ばす役職ではない。どちらかというと、普通の人間の延長線上にある存在だ。」


その言葉はリクの胸に重く響いた。自分の役職が戦闘で優位に立つものではないことを改めて痛感させられた。


「ただし、生産系や商人系の役職も含め、すべての役職には段階がある。特定の条件を満たせば、上位の段階に進化する可能性がある。」


グライスの説明に、リクは新たな疑問が浮かんだ。


「魔物使いにもその段階があるんでしょうか?」


教官は少し考えた後、首を横に振った。


「魔物使いは珍しい役職だ。その段階については俺も聞いたことがない。ただ、それを探るのはお前自身の課題だろう。」


リクは礼を言い、ギルドを後にした。その足取りは重くも、どこか新たな覚悟が宿っていた。


「魔物使いの段階がないなら、自分で探るしかない。」


リクは再び遺跡に向かうことを決意した。以前見た魔物支配の理論が記されている場所に、何か手がかりがあるかもしれない。


道中、リクは故郷の村を通ることになった。村の通りを歩く中で、彼は幼馴染と出くわしてしまう。


「リク……お前、こんなところで何してるんだ?」


幼馴染の声はかつての記憶を呼び起こす。それは決して良いものではなかった。


「ただの通り道だよ。何も用はない。」


リクは穏便に済ませようとしたが、幼馴染の態度は険しい。


「お前、いつからそんなに偉そうになったんだ?」


次の瞬間、幼馴染の拳がリクの顔を捉えた。リクが地面に倒れ込むと、その影が不穏に揺れ動いた。ゴルムがその影から姿を現そうとする気配を感じ、リクはとっさに静止の命令を出した。


「ゴルム……来るな……。」


しかし、影狼もまた低い唸り声を上げ、幼馴染に向かって姿を見せようとする。リクは必死に影狼を制御し、声を絞り出すように命じた。


「お前たちは動くな! 俺の戦いだ……。」


その言葉に応じるように、影は再び静まり返った。しかし、その間も幼馴染の追撃は止まらない。リクは痛みに耐えながら、地面に伏したまま彼の罵倒を聞くしかなかった。


「何も変わってないじゃないか。お前なんて、昔と同じただの石ころだ。」


その言葉が胸に深く刺さり、リクは体を引きずりながら村を離れた。


「……このままじゃ駄目だ。俺は変わらなきゃいけない。」


影の異変が示すのは、リク自身の力がまだ制御しきれていないという事実だった。そしてそれは、彼が抱える未知の可能性と危険性をも暗示していた。


彼は再び遺跡に向かう。昔、隠れ家として訪れた場所。そこが今度は自分の力を解き明かす場所になると信じて。


「必ず手がかりを見つける……それが俺の進むべき道だ。」


リクは遺跡の入り口にたどり着き、静かにその奥へと進んでいった。彼の背後では、影が揺らめき、まるで何かを語りかけるように動いていた。

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