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第13話  戦略的な鍛錬のために

仲間たちとの議論を終え、リクは一人で街外れの静かな場所へと足を運んだ。夜風が冷たく肌を刺し、辺りにはほとんど人影がない。


「もっと強くならないと……。」


リクは小さく呟きながら、自分の手を見つめた。その拳には今もなお、森での戦闘と裏切りの記憶が刻み込まれている。


「ゴルムも影狼も進化した。でも、それに頼り切りじゃ駄目だ。俺自身がもっと動けるようにならないと……。」


リクは懐から小さなノートを取り出した。そこには彼がこれまでに学んだことや、見聞きした知識が細かく記されている。戦闘の反省点や魔物の生態、スキルに関するメモなど、多岐にわたる内容が詰め込まれていた。


「まずは自分の動きを見直そう。短剣の扱いを磨くだけじゃなく、もっと効率的な立ち回りを考えないと。」


リクは短剣を握り直し、身のこなしの練習を始めた。月明かりの下で影のように動く彼の姿は、徐々に洗練されていく。しかしその合間にも、ふとした音や声に耳を傾ける自分がいた。


リクは街の中を歩き回り、自然に周囲の会話を聞き取る癖が抜けなかった。この癖は村で誰にも相手にされず、無価値な存在として扱われていた頃に身についたものだ。話に混ざることはなくても、せめて人々の話を知ることで孤独を紛らわせていた。


「最近の商人たちは警戒心が強いな……。また税が上がるとかなんとか。」


「隣国との争いが落ち着かないせいだろう。食料価格も高騰してる。」


「薬草なんかも手に入りづらいらしいな。北部から輸入してたのが止まったとか。」


リクは聞こえてくる情報を頭の中で整理し、ノートに書き留めた。街の商人たちの現状や物資の流通の問題、それが冒険者としての活動にどう影響するかを考えずにはいられなかった。


「交易路が塞がれてるなら、そこに需要が生まれるはずだ。薬草や食料を集めて高く売ることができれば……。」


しかし、この癖は同時に、村での孤独を思い出させた。誰も自分を見向きもしなかった日々、ただ石ころのように転がっている存在だったことが、胸の奥に鈍い痛みを呼び起こす。


「……あの頃のことを思い出しても仕方ない。」


リクは首を振り、今の自分に集中しようと努めた。彼にはゴルムや影狼がいる。そして、共に戦う仲間もできた。それでも、心のどこかでは孤独が付き纏っているようだった。


「ゴルム、お前も交易で手に入れた道具でさらに強くなれるかもしれないぞ。」


ゴルムは小さく唸り声を上げ、リクの手に自分の頭を擦り寄せた。その仕草にリクは微笑む。


「よし、まずは明日から街の商人たちに話を聞いてみよう。それと同時に、ギルドで鍛錬を続ける。これで俺たちの選択肢が増えるはずだ。」


ふと、リクの胸に一抹の不安が過ぎる。この先、交易の情報を追うことで、思いがけない危険に巻き込まれるのではないか。だがその不安を振り切るように、彼は強く拳を握りしめた。


「今は、前に進むしかない。」


交易と戦闘の両立を目指すリクの決意は、彼の未来に向けた新たな一歩となった。まだ小さな一歩だが、その先には確かな成長が待っているはずだった。

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