第12話 ゴルムの進化とスキルツリー
ギルドの宿舎に戻ったリクたちは、ひとまずの安全に安堵しながらも、進化したゴルムの姿を改めて観察していた。ゴルムは以前の小柄な影の魔物から、一回り成長し、その背中に小さな翼のような影が揺れている。その姿は愛嬌を残しながらも、確かな力を感じさせるものだった。
「ゴルム……本当に進化したんだな。」
リクが呟くと、ゴルムは自慢げに胸を張り、小さく唸り声を上げた。その様子にカイルが笑う。
「見た目はまだ可愛いけど、あの力は半端じゃなかったよな。影の刃であんなに動きを止められるなんて。」
エリナも微笑みながらゴルムの頭を撫でた。
「ゴルムがいなかったら、私たちはどうなっていたか……本当にありがとう。」
ゴルムは嬉しそうに目を細めると、その影の翼をふわりと揺らした。
「でも、進化ってどういう仕組みなんだろうな。」
カイルの疑問にリクは頷き、宿舎の簡易机に置かれた書物を手に取った。それはギルドの蔵書から借りた『魔物使役の基礎』という本だった。
「俺もよく分からないけど、これを見て少し調べてみたんだ。」
リクは本を開き、あるページを指差した。そこには「スキルツリー」という項目が記されていた。
スキルツリーの説明
スキルツリーは魔物だけでなく、人間や魔族にも存在する。その本質は、潜在的な力を体系化したものであり、生まれ持った天性の才能と後天的な経験に基づいて成長していく。
スキルツリーの階層:
スキルは以下の4段階と特別スキルに分かれる:
初級スキル:基本的な能力や特技。ほとんどの者が持つ。
カイルの『爆裂剣』はこの初級スキルにあたる。
中級スキル:訓練や条件を満たすことで派生するスキル。ギルド内でも中級スキルを持つ者は数えるほどしかおらず、精鋭とされる。
上級スキル:非常に稀な存在で、ギルド全体でもこれを持つ者はいないほど珍しい。特別な訓練や才能を要する。
特級スキル:伝説的な存在が持つ、戦場や歴史を一変させるほどの力を秘めたスキル。
役職特別スキル:特定の役職のみが使用可能なスキル。例として、「剣聖」のみが使える天断剣や、「大賢者」のみが使える時輪の法が挙げられる。
役職とスキルの関係:
上位のスキルを取得すると、新たな役職が付与される。たとえば、剣士が中級スキルを得ると「熟練剣士」となり、上級スキルを得ることで「上級剣士」、特級スキルに到達すると「剣聖」となる。
一部の役職特別スキルは、その役職に就いた者のみが使用可能である。
スキルの派生と条件:
スキルは単純な階層的な成長ではなく、初級から分岐して異なる系統のスキルに派生することが多い。
中級スキルに進むためには、実戦経験、体力、精神力、さらには特定の条件を満たす必要がある。
複数役職の稀有な例:
通常、一人が得られる役職は一つだが、極稀に複数の役職に就く者がいる。一国に一人いるかどうかというほど珍しい存在であり、その力は国家や大陸の歴史を左右する。
アイテムや特別な手段:
後天的にスキルを得る方法として、特定のアイテムや儀式、秘術が存在するとされるが、その詳細は謎に包まれている。
リクはページを指しながら説明を続けた。
「カイルが使った『爆裂剣』もスキルツリーの中の一つだ。この本によると、それは初級スキルらしい。スキルツリーの中でも一番基礎の部分だけど、それでも十分戦闘に使える。」
カイルが驚いた表情で頷く。
「俺のスキルがそんなに基本的な位置づけだったのか……。でも、上位スキルってどれくらい強いんだ?」
リクは本の一節を指差した。
「上級スキル以上は、このギルドですら誰も持っていないくらい希少だって書いてある。特級スキルや役職特別スキルなんて、本当に伝説級の存在しか扱えないらしい。」
エリナは眉をひそめた。
「そんなスキルを持ってる人がいるの?」
「少ないけどいるらしい。それに、スキルを極めた者はギルドや国家で特別な地位を得ることが多いって。」
リクは少し考え込んだ。魔物使いの役職がアイテムによるものではないかという考えが頭をよぎったが、それを確信するには至っていなかった。それでも、もしそうだとしても黙っていようと決めていた。この秘密が明かされれば、利用される可能性が高いからだ。
「俺ができるのは、今の状況でやれることを全力でやるだけだ。」
彼はそう心に決め、仲間たちに笑みを向けた。
進化したゴルムは、リクの指示でスキルツリーを開くことができるようになった。そのツリーには3つの選択肢が表示されていた。
影の刃(攻撃特化):
影の刃をさらに強化し、敵を切り裂く速度と威力を高めるスキル。
影の壁(支援特化):
味方を守るための影の盾を作り出すスキル。
影の舞(バランス系):
攻撃と防御を同時に行うためのスキルで、影を自在に操り、状況に応じて切り替えることが可能。
リクはゴルムを見つめながら、仲間たちに意見を求めた。
「どれがいいと思う?」
カイルは腕を組んで考えた。
「俺たちの戦い方を考えると、攻撃特化で一気に倒すのもいいが、影の壁があると安心できるな。」
エリナは微笑みながら答えた。
「私は影の舞がいいと思う。どちらにも対応できる力があると、どんな状況でも役立つから。」
リクはゴルムの頭を撫でながら笑みを浮かべた。
「ゴルム、お前もどう思う?」
ゴルムは低く唸りながら、影の舞のアイコンに向けて影を伸ばした。
「決まりだな。影の舞でいこう。」
リクが選択すると、ゴルムの体がわずかに輝き、影が彼を包み込んだ。それは新たな力を手に入れた証だった。
「これで、次の戦いにも対応できるはずだ。」
リクたちは互いに頷き合い、次の冒険への準備を進める決意を固めた。




