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第100話 再会は腹筋と共に

フィルメリアでの一連の騒動から数週間が過ぎ、リクたちは再び旅路へと足を踏み出していた。次なる目的地は、交易都市トリヴィス。各国から商人や冒険者が集う活気あふれる都市で、情報も物資も手に入れやすい場所だった。


その日も、リクたちはギルドで依頼をこなした後、酒場で食事をとっていた。


「なあリク、最近ちょっと丸くなったんじゃないか?」


と、カイルが冗談めかして言う。


「……太ったって意味か?」


「違う違う、そうじゃなくて。表情がさ。前はもっと尖ってた気がするんだよな」


「仲間を信じるようになった証拠でしょ?」とエリナが微笑む。


リクは照れくさそうに目を伏せたが、内心ではその言葉が嬉しかった。


その時だった。酒場の扉が勢いよく開いた。


「運が良かった? いや、強いやつを倒したのは私のおかげだろ?」


その声に、リクたちは振り返る。入り口に立っていたのは、褐色の肌と引き締まった腹筋を堂々と晒した短剣使いの女性だった。


「ライザ……?」


リクがぽつりと呟くと、彼女は片眉を上げた。


「おや、覚えててくれたか。光栄だね。影の支配者サマ」


リクは思わず咳き込んだ。「そ、そんな呼び方するな……!」


「じゃあ、何て呼ばれたいんだ? 腹筋フェチの魔物使いとか?」


「ち、違う! そもそも見てない!」


ライザはケラケラと笑いながらリクの隣の席に腰を下ろした。影狼とゴルムがじっと睨んでいる。


「……なんで睨まれてるんだ?」


「お前のせいだ」


カイルが飲みかけのエールを吹き出し、エリナはそっとリクの背をさすっていた。


「で、何の用だ?」


リクが尋ねると、ライザは真面目な顔になった。


「お前たちに会いに来たのさ。最近、ある組織が影術に興味を持って動き始めたらしい。名前は……『月影の祭壇』。聞いたことあるか?」


リクたちは顔を見合わせた。初耳だったが、嫌な予感がする名前だ。


「どうやら、影術を使って“神を模す存在”を創ろうとしてるらしい」


「また、面倒なことになりそうだな……」


「ま、その話はまた明日。今は酒だ。おい、店主! この腹筋に似合う筋肉飯を持ってきてくれ!」


「腹筋に似合う……?」


エリナが苦笑いし、カイルは「意味わかんねぇ」と首を傾げた。


リクはため息をつきながらも、どこか楽しそうにライザの隣でグラスを掲げた。


こうして、再び物語が動き出す。


だがその裏で、月影の祭壇と呼ばれる存在が、静かに影を伸ばしていた——。



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