500文字で私と彼の愛の物語を書けといわれたので、書いてみた
まずは偶然出会うところから始まるのだけれど、恋愛が始まるのはいつも奇跡だから、奇跡だったと書くしかない。そして彼は私の名前を知り、私はしばらく彼の名前を知らなかった。彼のことを『たまちゃん』と、随分長いあいだ呼んでいた。ネットで慣れ親しんだその名前のほうが、私には彼の名前だったから。ネットのむこうにしか知らない頃から彼のことが大好きだった。彼を知ったらもっと好きになった。側にいるだけで世界が幸せに満ちた。何も会話は交わさなくても、体温を感じているだけで時間は充実していた。私たちの愛は流れることなく、積み重なっていった。どこまでも、どこまでも、永遠に積み重なるんだと思っていた。色んなところへ行って、いろんなことをして、そんなことを重ねているうちに、行くところもすることもなくなってしまった。交わす会話がなくても時間の隙間は埋まっていたのに、言葉がなければすれ違うようになってしまった。あなたに会いたい。もう一度、あの頃のあなたに。でも二人はもう戻れない。だから未来を作った、二人のあいだに。あんなに色んなことがあったのに、たったの500文字で書けてしまう私たちの歴史。これからも続けていきます。