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遺物管理局捜査官日誌  作者: 黒ノ寝子
第四章 蛇と黒猫
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19 頼れる兄妹


 アレク捜査官は躊躇いも無くローゼス捕獲に同意し、笑顔で出迎えに行って、そのまま連行して来た。

 鮮やかな手際だな。この調子で潜入捜査してくれればいいものを。


「ちょ、ちょっと何なの!?いえ、分かってるわ、ええ、あんたの顔見た瞬間に分かったわ。また事件に突っ込んだのね?んもうやめて!デルシーに行く前に<菩提樹>でフラグ立てたりするからよ!

 でも事件が起こってしまったなら、仕方ないわ。それで、アタシに何させたいのよ。アタシはね、これから妹と一緒にデルソレに突撃しないとならないのよ。あの子が切れないようにするのが本当に大変で過酷な任務前なのに、面倒事は嫌よ!」


「ローゼス、さすが親友はオレのことを分かっているな。そうだ、デルソレに突撃しろ。支援は惜しまない。それで、ロージーもここに来るのか?」


「え?えーと、そうだけど?え?何でデルソレに突撃するのよ?取りあえずロージーとはデルシーで待ち合わせなの。あわよくばドルフィー見たいし」


「了解した。オレが個人的に兄妹をご案内するから、取引しようか。多少の危険があるかもしれないが、ロージーならいける。協力要請できるか?」


「あらやだ、結構緊急事態なのね?ユレスがドルフィーご案内してくれるなら、もちろんいけるわよ。ついでに支配人に交渉してくれるかしら。アタシのご招待枠でロージーを呼んであげるつもりだけど、あんたが支配人に言った方が最速で通るでしょ」


「了解。ついでに二人のご案内予定の調整も投げとく」


 支配人に通信文を送ったら、ロージーの宿泊許可がすぐに出た。ローゼスがロージーに連絡している間に、マークに向き直った。


「ミヤリとリマは目撃者だし職務上の関係者だから問答無用で巻き込むが、マークはどうする?さすがに潜入捜査とか危険任務につき合わせるのはどうかと思うが、目撃者の一人だし、本件の協力者とするよう警備局に頼むこともできる。いいよな、アレク捜査官?」


「歓迎します」


「え、俺もいいんですか?だったら、やる、やります!ドルフィー狙いの可能性もまだあるし、もうララのように誘拐されるドルフィーは見たくない」


 きりっとした使命感溢れる顔で言われたが、あくまでドルフィー優先なあたり、いっそ清々しい。ロージーとの連絡が終わったローゼスが話に参加して来た。


「え、また誘拐なの!?ロージーが来てからでいいから、ちゃんと説明してよね。それから、アレク捜査官、ロージーも協力者にしてもらえるかしら。アタシの妹でね、デルソレの招待状貰ってるの。それって重要だったりする?」


「とても。勇敢なお申し出に心から感謝します。デルソレに急遽潜入して探らねばならない状況ですから」


「あらまあ、だからユレスが飛びついたのね。でもアレク捜査官ならいくらでも招待状貰えそうだけど」


「貰ってるのに絶対嫌だと拒否したんだ。捜査官としての使命を思い出すよう説得してくれ」


「あーうん、人生に傷を負いかねないなら仕方ないと思うわ。ロージーもそれが嫌で駄々こねてるんだもの」


 ローゼスが何故かアレクの味方をした。


 ロージーが到着したらまとめて説明と報告を終わらせてしまおうと、警備局長と支配人を呼び出したら、ちょうど全員揃った。

 だが、警備局長と支配人は、まずオレに説教し始めた。


「ユレス、あんたね、事件引っかけるのもいい加減にしな。どうして海に沈めたフラグを引き揚げちまうんだい。あたしゃここに休暇に来てるんだよ。いいかい、このあたしが休暇だよ?あんたに言われた通り、バトルドレス着て交流場で遊んでるってのに、あんたもたまには真面目に休暇を満喫しな!」


「そうですな、ユレスは休暇でドルフィーと戯れることが最優先任務だというのに、誘拐事件だなどと、予定に狂いがでたらどうしてくれるのですか。ぎりぎりの限界まで調整しきってのこの日程なのですぞ?

 事件に首を突っ込んでいる場合ではありません。ですが、ドルフィー誘拐の可能性も否定できないとなれば、致し方ありません。本件はわたくしが預かりますので、ユレスは最優先任務を果たすようになさい。ローゼスとロージーの個人的ご案内も含めて再調整したばかりですので、少しの日程の乱れも許されませんぞ。警備局長、協力者要請は」


「やる気があるならいくらでも許可でも承認でもしてやるから、好きにおやり。ロージーは治療局だったね?今の治療局長の説得なんて一瞬で済むから安心しな」


「ありがと、マダム。時事情報放送でも見たけど、そのバトルドレス、すごく素敵だね」


「あたしもまんざらじゃなくてね。着てみたいなら貸してやるよ?」


「ボクにはこっちの方が似合うだろ?」


 ローゼスの妹のロージーは兄と反対というか、体も心も一応女性であるが女好きという性癖で、しかも旧世界の男装の麗人を目指しているという兄妹揃って倒錯的な服装を貫いている猛者だ。

 中性的な美男子に見えるので、女性人気も高いし、あらゆる年代の女心を容易くつかんでいく。


 説明会が始まる前にローゼスが手早くロージーの事情を語ったが、ロージーは結婚前の女性の心を奪って結婚を何件か取りやめにしたことがあって、世界管理局から指導を受けていたし、この度は厳重注意の代わりにお見合いするように指示された。


 相手は、性癖的に男を抱きたい男だ。こっちはこっちで何人もの男を恋人とか結婚相手から奪っているので、世界管理局から指導されている。

 世界管理局の担当職員は、ロージーとその男が上手く行けばいいのではないかと、色々とひっくり返った奇策を思いついてしまったそうだ。


 そして、世界管理局が監督しているお見合い施設で二人を引き合わせようと、デルソレの招待状を送ってきた。


 強制ではないが罰則に近いし、世界管理局の指示だから無視できないのでロージーはローゼスに相談したし、付き添ってくれと頼んだ。

 ローゼスもこれを拒否したら世界管理局にまた指導受けるだけと判断して、ロージーのお目付け役として同行することになった。


 割と突っ込みどころに溢れたロージーの事情を聞いた後、マークたち三人が誘拐事件の予告のような話を聞いてしまったことを説明して、どうやってデルソレで潜入捜査するかを話し合う段階に来たところで、支配人が断固たる口調で言った。


「ユレスは任務です。そろそろ午後のご案内の準備をお願いいたしますぞ」


 誘拐事件が差し迫っていそうな状況で、捜査官の最優先任務をドルフィーご案内にするのはいかがなものだろうか。


ここまで読んでくれてありがとうございました。

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