08 依頼
奥さまたちとメイドさんたちにご挨拶してから、お屋敷を退出。
うん、召喚者の先輩としてのアランさんのお話し、すごく参考になったね。
「つまり、8人までならOK、と」
いやいや、イオちゃん、マジで充分に間に合ってますから。
本当、毎日大満足ですから。
「今日はこれからどうします」
そうだね、せっかくだからギルドでも覗いていこうか。
冒険者として自分なりに頑張ってたら、そのうちなんか見つかるかもね。
「出会い、大事」
あー、そっちの方は頑張らない方向で。
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冒険者ギルドには、採取依頼が少々、討伐依頼は無し。
エルサニア王都周辺は、アランさん以外にも強者ごろごろ状態なんで、
正直、討伐関係は間に合ってるそうで。
俺みたいなヘボちん冒険者は、経験値稼ぎの場を探すのもひと苦労。
まあ、いざとなったらイオちゃんの『転移』で、
あちこちの狩り場を飛び回っちゃいますが。
はて、受け付けのサリアさんからお熱い視線がひしひしと。
「サリアさんルート?」
違うでしょ、イオちゃん。
えーと、俺たちに何か?
「はい、実はパーティー『両手に華』のアマツさんに指名依頼が入っております」
おっと、ご指名ですか。
なんかちょっと嬉しいね、
って、いつの間にパーティー名、ソレに決まっちゃったの!?
「先ほどイオタさんから申請が」
ちょっと、イオちゃんっ。
勝手に決めちゃダメでしょっ。
「パーティーメンバーの多数決により決定」
うわっ、嫁ふたりの共謀ですよ、
そんなん通るようなら、俺の出る幕無いよね、この先ずっと。
「依頼、どうします?」
あー、まずは内容、お願いします、サリアさん。
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『宝物庫の虫干し』
依頼内容:当家の宝物庫にある家宝の虫干し
場所:--
依頼主:--
期間:作業の進捗次第
報酬:達成状況により応談
難度:依頼遂行者により変動(生命の危険を伴います)
……なんぞ、コレ。
分からんことだらけの上に命が危険って。
そもそも、なんで指名依頼?
「ギルドの冒険者登録情報からの選抜だそうです」
えーと、教えられる範囲で良いので、もう少し詳しく願います。