07 先達
安全闘技場の屋上テラスでお茶しながら、
アランさんのお話しを拝聴。
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戦争の手駒として、この国から召喚されたアランさん。
当時のエルサニア城内は、今と違って雰囲気やら何やらが最悪で、
同じ頃に召喚されたマユリさんと、真面目に訓練教官してたリリシアさんと、
相談の末、召喚者としての諸々を捨てて、城を出て暮らすことに。
ここペンネッタの町で暮らし始めてすぐに、おふたりと結婚。
ニエルさんやメリルさんという素敵なメイドさんたちとも出会えた家族5人での生活は、
穏やかで落ち着いたものだったそうです。
ただ、マユリさんとリリシアさんという素敵な奥さまたちとの結婚生活で、アランさんの中の何かが変わっちゃったのだとか。
えーとつまり、この異世界での一家のあるじとしての生活があまりにも幸せ過ぎちゃって、
それまで普通の男だと思ってた自分のタガがスポンと外れちゃって、
コッチの世界でならやりたいことやっても良いんだって、はっちゃけちゃったそうで。
で、自分の気持ちに誠実になり過ぎて、やりたいことに全力で邁進するようになったアランさん、
アルセリア王国のお姫様ユイメイア姫に惚れられて結婚しちゃったり、
いろいろと規格外な魔法使いのハルミスタさんから惚れられて結婚しちゃったり、
つまりは、思う存分はっちゃけまくっちゃった、と。
まるで引き寄せられるように、
ゼシカさんとフルリさんという素敵なメイドさんも側に寄り添うようになって、
特使公爵としてもますます絶好調。
4人の奥さまたちが自分にベタ惚れなのに甘えて、
やりたい放題のやらかし放題。
そしてついには一線を超えちゃって、
ヤンチャでは済まないほどのやらかしをしでかしてしまい、
気付けばマジでシャレにならん状態。
大切な家族や仲間たちの信頼を裏切ってしまったことにようやく気付いたアランさん、
今は自分を見つめ直して鍛え直す毎日、だそうです。
「信用って、失って初めて、どれだけ大切かってことが分かるんだね」
「いや、俺の場合はもう手遅れかもしれないけどさ」
「だから、アマツさんには、俺みたいな道に進んでほしくないなって」
でも今はちゃんと反省して、自身のはっちゃけを制御出来るようになったんですよね。
だったら、なんもかんもがこれからじゃないですか。
そもそも、支えてくれる家族には不自由してないってことでしょ。
「ありがとう、アマツさん」
「でも、また調子に乗っちゃうんで、それくらいにしといてね」
はい、お話し、とても参考になりました。
ちなみに、今日はこれからまた鍛錬ですか。
「えーと、武術鍛錬はリリシアだけだね」
「妻たちそれぞれのやり方で俺を鍛え直すってことらしくてさ」
「冒険同伴やら、内職やら、お勉強やら、夫の務めやら……」
あー、頑張ってください。
じゃあ、あんまり長居しちゃうと奥さまたちに悪いかな。
「たまにで良いから、顔を出してくれると凄く嬉しいよ」
「息抜き出来るって、大事だよね」
はい、同じ町ですし、これからもよろしくです。
「うん、よろしくね」