04 訪問
てなわけで、やりたいこと探し中の、俺。
でも、ひとりで悩んでてもラチが明かんのですよ。
なんせ、おツムの出来はアッチの世界のまんま、
つまり、異世界召喚特典とかのブースト無しの素のまんまだし。
おまけに、あのふたりは隙あらば甘やかしてくるし。
で、せっかくだから先人のお知恵拝借ってことで、
頼りになる先輩のお宅を訪問することに。
---
ここですよ、アランさんのお宅。
このペンネッタの町の、俺んちとちょうど反対側の町外れにある、広い敷地のお宅。
ってか、お屋敷だよね、コレ。
敷地内には、安全闘技場っていうめっちゃデカい建造物もあるし、
さすがは特使公爵様って感じ、かな。
「いらっしゃいませ、アマツ様、イオタ様」
「今日はご主人様は安全闘技場でお仕置き中」
「じゃなくて、特訓中ですよぅ」
こんにちは、ニエルさん。
今日もミニスカメイド服姿が可愛らしいですね。
「いやですよぅ、召喚者の皆さまがこういうのが大好きだってことは知ってますけど、私のコレは昔っから変わらない制服ですから、別にコスプレしてるってわけじゃないんですよぅ」
いえ、コスプレうんぬんじゃなくて、普通に可愛いなって。
「もう、奥様同伴の場でよその家のメイドさんを口説いちゃダメですよぅ」
「アマツさんは、ニエルさんルートをご所望?」
ご所望らないですってば、イオちゃん。
あー、そんなに口説いてましたか、俺。
「召喚者の皆さまって、天然ジゴロさんばかりなんですねぇ」
「まあ、うちのご主人様からして、アレですものねっ」
アレなんですか、アランさんって。
「最近ようやく落ち着いたのですよぅ」
「でも、発散させ方が少々過激ですので、よろしかったら安全闘技場の方、見学していってくださいねっ」
「殿方は一見の価値アリッ、ですよぅ」
はい、ありがとうございます。
---
ニエルさんは、アランさんのお屋敷のメイドさん。
4人もいるメイドさんのうちの、一番最初のメイドさんだそうですが、
なんと種族はサキュバス。
その証拠に、ミニスカメイド服の大きく開いた背中から、ちっちゃくて可愛らしい羽根がチラリズム。
ただ、ルックスやらスタイルやらがイオちゃんよりも幼げなので、当然お色気皆無。
せっかくのミニスカメイド服姿も、学芸会の手作りコスプレちっくになっちゃうわけで……
「余所のお宅のメイドさん相手に、そこまで思うところアリなのですね」
「やっぱりニエルさんルート……」
違うって、イオちゃん。
ってか、心を読むのはいいけど、声に出すのは禁止。