10 レア
ってことなんだけど、どうかな、ナナさん。
イオちゃんも、ご意見があれば、よろしく。
「……かなり危険な依頼ですね」
……ナナさん?
「王家の方々の、威信や面子へのこだわりというのは、私たちの想像をはるかに越えるものなんです」
「場合によっては戦争の火種ともなり得るほどの」
「もし吸魔虫が発見されれば、処理に成功しても秘密を守るためにアマツさんを……」
いやいや、いくらなんでも。
「その宝物庫の秘宝の価値こそが、積み重ねられてきたその国の歴史そのものなんです」
「そして、それらを永年にわたって大切に守り続けているということが、その国の誇りでもあるのです」
「アマツさんが想像しているよりも、はるかに大きく重いものなのですよ」
うー、俺の考えが甘かったってこと、かな。
「私はいつも通り」
「アマツさんを全力で守護するだけ」
「国が害を成すなら、その国を捻り潰すのみ」
イオちゃん……
出来れば捻り潰す前に、ひと言相談してね。
……うん、決めた。
俺、受けてみるね。
なんだかこの依頼から呼ばれてるような気がしてさ、
俺しか出来ないんなら、やったほうがいいかなって。
いや、ちょっと待って、
俺しか出来ないってわけじゃないのかな、もしかして。
イオちゃんだったら分かるのかな。
今、この世界に"無魔力"の人が何人いるのかって。
「現在、該当者は、ひとりだけ」
ってことは、マジで俺だけ!?
「元々、無魔力とは、この世界ではあり得ない存在」
「ごく稀に突然変異的に生まれるが、歴史上数えるほどしか確認出来ておらず、その全てが国のお抱えとして隔離幽閉されてきた」
あー、俺って、ある意味激レアだったのね。
これのお陰で魔法も使えない激弱でもあるんだけどさ。
まあいいや、サクッと終わらせてくるんで、
帰ったらご馳走、よろしくね。
「フラグ……」
ちょっとイオちゃん、それやめて……




