01 天都
『リヴァイス 78 はぐれ召喚者とリスタートな世界』の続きで、
アマツのお話しです。
お楽しみいただければ幸いです。
おはようございます、アマツです。
名前が天都なもんで、"テント"なんていうアダ名で呼ばれてましたよ、学生の頃は。
で、『テントがテント張ってるぜ』っていうのが、鉄板のからかいネタ。
「本当、朝からお元気ですこと」
あー、おはようございます、ナナさん。
ただの生理現象ですので、お気になさらず。
「嫁がふたりもいるのに、なんだか悔しいです」
あー、おはよう、イオちゃん。
コレって健康な男なら誰でもこうなっちゃいますので、本当お気になさらず。
どんなに夫として頑張っていても、本人の意思とは無関係でこうなっちゃうことも多々ありますので、出来ればお気になさらず……
---
死因は知らんけど、とりあえずこの異世界に来ることになっちゃって、
"天使"のイオタちゃんを連れてくことに特典ポイント全ツッパしたおかげで、
スゴい能力とかは全く無しのままコッチの世界に来ちゃった、俺。
本来の正規の手順で『召喚』された人たちは、
『鑑定』『収納』『翻訳』っていう、3点セットなんて呼ばれている便利な能力を必ず持ってるもんなんだそうだけど、
俺、イレギュラーだから、当然そんなの持ってなくて。
いや、イオちゃんとコッチに来たことを後悔なんて絶対にしないけど、
3点セット所有者なら当然持ってる魔力すらも、全く無いわけで。
つまりは、剣と魔法の異世界なのに、魔法は全く使えないわけで。
もちろん無理すりゃ剣を振れなくもないけどさ、
身体能力もアッチの世界にいた時そのままで来ちゃったから、
強い剣士になりたかったら普通に修行しやがれってなわけで。
つまりは、剣と魔法の異世界なのに、剣もダメダメなわけで。
要は、異世界未対応のままコッチに来ちゃった平凡以下野郎が、
こじんまりした一軒家のあるじとして、
無敵で可愛い歳下っぽい嫁と、
相性抜群で素敵な歳上っぽい嫁と、
つまり、ふたりの嫁を養っていかねばならんわけで。
ホント、朝から元気にテント張ってる場合じゃないだろ、俺。