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1話 転生してしまったようで

気力が続くかぎり投稿したいと思います



 キンコーンとチャイムの音が鳴った。


「後ろから答案用紙回していけー」


 気怠い教師の声が聞こえてきた。指示通り、一番後ろの席にいる俺は前の人にテストの答案用紙を渡した。

 それからぐでーっと脱力した。

苦しかったテスト週間も今日で終わりだ。今まで張り詰めていた空気が霧散して、クラスの中では喋り声が聞こえ始めた。

 教壇で教師がペラペラと答案用紙の枚数と名前の欄が書かれているか確認して束を整えながらまとめていた。


「テスト週間もこれで終わりだ。じゃあお疲れさん、帰っていいぞ……とはならないからな。一先ず帰りの準備をしとけー。学校からの重要な知らせがあるからなー」


 教師はテストを入れた紙袋を持って教室から出ていった。


 えっマジ? もう帰っていいの? ヤッター!

 とはならず、渋々俺達は帰り支度を始めた。俺も期待して席を立ちかけた。

 クラス内はさっきよりも騒がしくなった。

 高校二年になってからは親しい友人たちと離れてしまったので、こういった時に軽く話しかけられる相手がいなくて暇だ。つまりボッチ。やーいボッチ……。言ってて悲しくなったから止めよう。

 仕方ないので家に帰ったらやろうと思っているオンラインゲームで何をしようか考えることにした。

 と言っても、レベルを上げる為にコツコツモンスターを狩ったり、クエストをこなしていくだけだ。

 オンラインゲームの方でもフレンド関係にある人がまったくログインしなくなったりしてんだよね。結構いるフレンドの中でいつ寝てるの? って感じにログインしてる人も数日前、ぱったりとログインが切れてしまった。

 多分ニートの人なんだろうけど、ハローワークにでも行ったのかな……。話してて面白かったから嬉しいような寂しいような。


「よーし席に着け。着いたなら静かにしろー」


 そうだぞ、早くお知らせとやらを聞いて俺は帰りたい。そんな俺の気持ちが分かる訳もなく、明るい陽キャたちはけらけら笑いながら席に着いた。


「最近ニュースにもなっているが……、ここ宇津噛町内で黒い穴が大量発生している。中には落ちて行方不明になってる奴もいるから見かけても入らないように」


 黒い穴か……。確かにニュースでもSNSでも話題になっている不思議な穴だ。何故か日本の中でしか発生していないらしい。

 穴は直径一メートルの物もあれば、直径が三十センチにも満たない小さな穴が発生しているのを見かけたという話もよく聞く。触ったら死ぬとか、そういう噂を聞く以外はよく知らない。なんで発生しているのかも分からない。

 そんなミステリーな穴だが、宇津噛町でも発生が確認されているらしい。

 ま、そう見かける事ないだろうし、見かけても触るなんてことは絶対しない。

 教師の話を半分聞き流しながら聞いて、やっと家に帰れるようになった。


 俺はさっさと家に帰ろうとした。けど、帰れなかった。


「く、黒い……穴……?」


 俺が道を曲がろうとした時、視界に一瞬黒い物が見えた。

 黒い物は――黒い穴だった。


「な、何で家の前にあんだよッ!?」


 そう、黒い穴は家の玄関前にあって、そして、――微妙に移動しているッ!

 お、おいおい。か、かーちゃんとか落ちてないよな? 家の駐車場には車も無いし、きっと買い物に出かけて……!?


 逃げようとした時には、足元に穴が見えた。それから、浮遊感を感じて……。











 俺は高校生だった。普通に勉強して空き時間にゲームして、たまにバイトするだけの学生。特に貧しくも無く、両親にも恵まれた高校生。

 でも俺はさっき死んでしまったみたいで。多分、家の前にあった穴で落ちてぐちゃあ……って。いや……、これ以上はよそう。吐き気がしてくる……。


 死んでしまったみたい、とあやふやなのは……。今も意識がある……、つまり生きていること。

 正確に言うのなら、転生ってやつなの? 高校生であった頃の俺の意識を持ちながら、再び新しい生を受けた状況って。

 しかも、クラスの奴が言ってた異世界転生ってヤツかもしれない。俺はラノベには疎いけど、クラスのオタクたちが大声で話しながらしていた状況に似ている気がする。

 ある日突然現代に生きる主人公(学生・大人問わず)が死んでしまって異世界で再び生を受けて、異世界人に現代知識を披露しながら成り上がる……みたいな?

 その異世界って考えた理由が――。

 

「貴方……名前何にしましょうね」

「前々から考えていた名前があるんだ。イリーガ。イリーガなんてどうだ?お前のイリナと私のガラーシュを合わせた名前だ」

「とても素敵な名前……。可愛い可愛いイリーガ」

 

 頭上で話しているのは俺の両親らしき人物。その頭髪と目に注目していただきたい。


 髪が水色である。


 現代じゃ染めてなきゃ再現不可能なカラーリング。そして、目の色は赤色。カラーコンタクトではない、ウィッグでもない、どれも人工物にしては自然な発色だった。

 ついでいにいうと多分、今の俺は赤ん坊なのにはっきりと目を開けられてるのがおかしい。まだまだ目の器官は発達してない筈なのにくっきりと見える。


「では転生者判定を行いますので、お子さんをこちらへ」


 は? 転生者判定?

 え? 何それ??

 突然入ってきた女性によって玉みたいなのを握らされた。一体何?


「……うーむ。微妙な反応ですね。もしかしたら転生者である可能性があるかもしれません」

「あら……ウチの子が転生者なんて嬉しい限りです」

 

 え?転生者だと嬉しいの? そうなんですか母上(今)!?


「転生者だと色々と便利だからなぁ~……。転生者だと良いんだがな……」


 はぁ……ってそんな溜息付くほど重要な事なんですか親父どの? ねぇ待って? どういうことなの??



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