孤独島1
カイト達は首都を出て西にある港町ロンリーに到着した。
この町から孤独島まで船で移動する。
孤独島は島嶼部のちょうど中心ぐらいに位置し、太陽島や満月島、ガラパン島、小麦島などの島へは孤独島を必ず経由する。その為、孤独島は島嶼部への交通の要所でもあった。
島に到着すると港でヘイメスやマイク、ヤッケルが出迎えをしてくれた。
マイクとヤッケルは兵士をやめ、故郷に帰って農業に邁進しているそうだ。
(カイト)
「マイク!ごめんよ。手紙をまだ渡してない。約束を守れなかったよ。」
(マイク)
「いいです、いいです。こうして無事に帰って親の安心した顔を見れましたから」
(ヤッケル)
「私も同じです。あの時カイトさんに言われて兵士を続けてよかったです。」
(カイト)
「そう言ってもらえると少しは救われるよ。後で家の方にお邪魔させてもらうよ。でっかい農地なんだろう?」
(マイク)
「是非是非!ウチは小麦、イモ、トウキビを育ててますから。」
(ヤッケル)
「ウチは野菜とキノコ類を育ててます。とても美味しいのでぜひ食べてください」
(カイト)
「ありがとうな!明日にでも行くよ。」
マイク達との会話が終わり、そろそろか?という表情でヘイメスが話しかけてきた。
(ヘイメス)
「改めて、今回の一件、孤独島を代表して御礼申し上げます。オフレコだが、我らはカイト達の功績に感謝しかありません。しばらく島を見て欲しい。それに、この島には世界でも有名な鍛治師がいる。其方達の武器手入れに是非寄ってください。」
(アリス)
「護衛隊長が持っていた魔剣の類もあるのか?」
(ヘイメス)
「あれはここの鍛治師が作った唯一無二の物。珍しい物もある。なんでも魔物を武器に憑依させて使う魔剣がある。数はないがな。私のこの細剣は海にいる魔物のリブァイシードラゴンを入れている。憑依したのは偶然だったが、迷宮攻略の時にトドメを入れたら勝手に憑依した。取り出しは不可能だが、この現象をここの鍛治師ナンカイに相談してからかな⁉︎まぁ、会って損はないだろう。カイト達には返せない恩がある。魔剣を作るならそのお代は全てこちらで持つ。」
(サーシャ)
「それはやり過ぎでしょ⁉︎」
(ヘイメス)
「そんな事はない。むしろ安いぐらいだ。国民は真実を知らないからできないが、国家予算の幾らかは毎年カイト達に渡したいぐらいだ。実際ポロンドも言ってたからな。」
(リュート)
「死ぬまで飲めるな!」
(カイト)
「俺にとってお金は重要じゃない。君達との出会いと繋がりが何よりの報酬だ。」
(ヘイメス)
「ねぇ、サーシャ!カイトって欲が無いの?」
(サーシャ)
「ふふふ、カイトを理解するには時間が足りない見たいね。カイトはある意味子供なのよ。お金に興味がないみたいに言ってるけど、いろんなところで色々やって、結果お金を産み出してる。」
(ヘイメス)
「今日はこちらで準備した宿でゆっくりして。カイトとリュートは先に宿へ案内する。アリス、リン、サーシャは少し付き合ってもらうぞ!」
(カイト)
「おい!何が狙いだ!」
ヘイメスの一言にカイトは強烈な殺気を放つ!リュートもほぼ同時ぐらいに殺気を放った。
これには従獣達もたまらず警戒の姿勢を反射的にとった。
(サーシャ)
「ま、待って、カイト…落ち着いて、」
(ヘイメス)
「お、おい、…何かまずい事でも、言ったか?」
(アリス)
「カイト、落ち着け、ヘイメスは、、たぶん、女子会を、しようと言ってる、と思う」
(カイト)
「俺達からサーシャ達を引き離そうったってそうはいかねぇぞ!あぁ⁉︎コラ!ヘイメス!何とか言えや!」
(ヘイメス)
「ごめんなさい、ごめん、ホントに、私はアリス達と女子だけで話がしたかったの、…」
よほど恐ろしかったのか、ヘイメスはその場に座り込み、地面にはシミが広がっていった。
カイトは誤解だとわかると殺気をおさめ、ワレに返った。
(カイト)
「ごめん!ちょっとトラウマが…」
(サーシャ)
「ごめんね。とにかくヘイメスと女子会をしてくる。カイト達は好きにして。私達は大丈夫だから、ね!」
(リュート)
「ごめん!カイト、ちょっとだけ付き合えよ。サーシャ、ライを借りたい。」
ヘイメスはアリス達女子組に連れられ、この島1番の美味しい料理屋に入った。
カイトとリュートは港町から少し外れた広場で話をし始めた。
(リュート)
「カイト、あの発言で俺達はあの悪夢が瞬間的に甦った。違うか?ライとシロに聞きたい!どうすれば良い?」
(カイト)
「リュートも一緒か?自分で制御出来なかった。」
(ライ)
「カイトもリュートもよほどあの事がこたえとるようじゃな。」
(シロ)
「仕方がなかろう。ワレも同じじゃ!本気でヘイメスを殺そうと思った。」
(ライ)
「ヘイメスはあの事件をすべて知ってるわけじゃないからな。それよりも、いつものカイトならヘイメスの真意と発言の意を汲み取り、冷静な判断ができたはず。それが出来なかったという事は、自分の中で後悔と懺悔が輪廻してるようじゃ。瞑想して己と向き合え。自己の鍛練の前に必ずやるのじゃ。」
(カイト)
「自分で自分をコントロールできない、かぁ…なるほど、瞑想な、リュート宿戻ったら瞑想しよう」
(リュート)
「だな!シロも瞑想だぞ。」
(シロ)
「なぜワレが?」
(リュート)
「ブチギレそうだったんだろ?」
(シロ)
「瞑想はじっとしてなきゃいけないから嫌いなんだよ」
(ライ)
「それにしてもカイトの殺気は尋常じゃないな。ワシは世界の頂点にいるドラゴンぞ。そのワシでさえ意識を持ってかれそうになったわい」
(リュート)
「一つめは解決だな。今日から瞑想しような。で、二つめだ。さっきヘイメスが言ってた魔物を武器に憑依させるって可能なのか?」
(ライ)
「どうだろうな、聞いたこともない。」
(リュート)
「そうか…」
(カイト)
「リュート⁉︎何か気になるのか?」
(リュート)
「いや、オレの兼近は切れ味がいいが、そこにシロの強さが加わったらどんな武器になるのかなぁ⁉︎って思っただけだ」
(カイト)
「なるほど、面白い発想だよな。属性を付与するならマサルが開発してたから可能なんだろうけど、武器自体が考えて戦うって戦闘の概念が変わるな。」
(ライ)
「人が恐ろしいのはやはりその発想力だな。世界を統べる地位になったのには理由があったわけだ。」
(リュート)
「最後の質問だ。マグが言ってた魔物に心当たりは?」
(ライ)
「知らんな。もしかしたらカー子の方が詳しいかも知れん。我らドラゴンは生まれた時から世界の頂点にいる。種族によって派生していった者もいるがな。だが、カー子やシロ達は初めから聖獣として今の地位にいたわけではない。進化の過程はその種族によってバラバラだ。魔物に関して一番の博識はカー子だろう。」
(リュート)
「そっか。色々教えてくれてありがとうな!」
(カイト)
「それも何か気になるのか?」
(リュート)
「ただの勘だが、エンプーサに似てるって言ってたろ!か弱い魔物を従え、成長の過程で進化していって、気がついたらエンプーサだったとか、面白えとバカな想像しただけだ。」
(カイト)
「おっ!おっ、おおおおう!それすげぇ面白い!ライ、カー子、マグ、シロ…確かにコイツらは出会った時から破格の強さがあった。なるほど、弱いけど努力によって聖獣に登り詰めるねぇ、リュート!それ採用だ。マスキンダに行ったらその魔物を探して、友達に!ハハハ、楽しみが増えた。」
(リュート)
「おい!カイト、ただの勘だぞ!」
(カイト)
「いいんだよ。勘でもなんでも、友達になったら楽しいし、なれなかったとしてもそんな出会いがあればそれはそれで楽しい。ありがとうな、リュート!」
(リュート)
「よし、話も終わったし、飲みに行こう!明日は鍛治師だ。楽しみしかねぇな!」
(カイト)
「だな」
こうしてカイト達は冒険者達や鉱山で発掘している人や農業してる人達と夜遅くまで飲んだ。
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