我慢の限界
カイトとリュートは暗い地下室の牢屋でローシンの悪行が行われている事を逐次報告を受けていた。
もちろん本国にも報告した。
国際会議に緊急議題として提出したが、一冒険者に国際社会が動く事はなかった。
リュートは我慢の限界を突破し、地下室は瓦礫の山と化した。
リュートはそのまま王宮に向かい、警備にあたる人を手当たり次第斬り伏せていった。
そして、リュートと共にシロは本来の大きさになり、縦横無尽に暴れまくっていた。
瓦礫の山から出て来たカイトもまた我慢の限界は突破し、リュートの後を追う。
二人の通った後はまるで初めから何もなかったかのように瓦礫や死体全てが土中に埋められ、木々や草が一面を覆っていた。
王宮の入り口ではリュートと護衛隊との一戦が始まり、そこに王宮騎士団や近衛騎士団も加わり、戦闘は激しさを増していった。
カイトはリュートの戦いを邪魔しない程度に、王宮の周りをくり抜き、建物ごと巨大な木で空中に押し上げていた。
突然王宮が空中にせりあがり、慌てた王宮騎士団の団長達はカイトを仕留めようとカイトのいる場所に向かう。
リュートは少しずつ護衛隊の隊士を斬り捨て、戦況は有利に見えた。
(護衛隊長)
「お前は何をしているかわかっているのか?」
(リュート)
「オレはクズと話す口は持ち合わせてねぇ!」
(護衛隊長)
「虫ケラがよく鳴くのう。」
リュートは限界まで身体強化してもはやその動きは見えず、護衛隊長は手足が細切れとなっていく。
(護衛隊長)
「待て!…これを見ろ!…もはや戦う事も出来ない状態の者を斬るつもりか?」
勝負は決したかに思えた瞬間、リンの声が聞こえてくる。
(リン)
「待って、リュート!」
(リュート)
「リン!大丈夫か?」
(リン)
「大丈夫じゃない!コイツらは私達にやらせて!それよりもアリスが…」
サーシャに抱えられ、手脚のないアリスは悔しさに血の涙を流していた。
(リュート)
「アリス…わかった。とりあえずカイトの元へ行こう!」
護衛隊の連中や近衛騎士団の連中を拘束して縛り上げ、王宮の中央の庭園に積み上げた。
それから急いでカイトの元へ行く。
カイトの怒りは収まらず、王宮以外の家屋は人もろとも地中深くに生き埋めにされていく。
(カイト)
「この国の責任者は出て来いよ!さもなくば多くの民が犠牲になるぞ!出て来いよ!クソ野郎が!」
(騎士団長)
「国王が出てくるわけなかろう!バカか?騎士道精神に乗っ取りオレが一人で相手してやろう!」
(カイト)
「お前じゃ足りない!国王を連れて来いよ!」
騎士団長が剣を抜くと同時に首筋から血が流れ、騎士団長の視界はゆっくりと地面に吸い込まれた。
(騎士団)
「なっ⁉︎団長が!おい!誰か国王に報告を…」
2人の騎士は国王に報告しに王宮に戻った。
(カイト)
「死にたいヤツはかかって来いよ!生きたいヤツはここから立ち去れ!まぁ、リュート達が許すかどうかは知らんがな」
騎士団はもはや組織としての機能はしておらず、蜘蛛の子散らすように逃げていった。
その場に残ったのは、副団長と数人の隊長格だった。
(副団長)
「もはや我々は刃向かうつもりはない。が、事の結末を見学させてもらえないだろうか?」
(カイト)
「国王次第だ。クズならお前達もクズとして処分してやるよ!」
カイトの殺気は常軌を逸している。副団長はかろうじて立っているが、他の者は気を失った。
(サーシャ)
「カイト!」
(カイト)
「サーシャ!…アリス⁉︎」
アリスの有り様に言葉を失う。
(アリス)
「カイト、頼む。手脚が…」
(カイト)
「喋るな。少し強引に行く。痛いけど我慢な!」
カイトはアリスに魔素を流し、手脚を再生していく。アリスの手脚はみるみる内に再生していった。
(アリス)
「カイト、ありがとう。ごめん!私のせいで…」
(リュート)
「アリス、誰のせいでもない。オレたちは仲間が傷付いたらこんな力が出ることを知った。まぁ、オレが言うことじゃねぇけどな」
(カイト)
「俺はとりあえずここで国王を待つ。サーシャ⁉︎お前達はクズどものに復讐して来いよ!気が晴れるまでずっとな。リュート⁉︎悪いけど、ポロンド達の所に行ってくれないか?革命が大失敗だ。この状況なら革命軍をここに呼んでも問題なさそうだしな。」
(ライ)
「いやいや、革命が失敗どころかポロンド達がここに来た時点で革命成功と同じだろう⁉︎」
(カイト)
「まぁ、後でどうにでもなるか。カー子⁉︎国王達はどうなってるかわかるか?」
(カー子)
「さっき見て来たが、国王とその一族は王宮から逃げようとしていたぞ。」
(カイト)
「まぁ予想通りか。逃げ道はそこだけだしな。待ち伏せするか。おい!お前は騎士団のトップか?」
(副団長)
「確かに団長が死亡した今は私が長だ。見せしめに処刑でもするか?敗北した我々に選択権はない」
(カイト)
「国王達が逃げようとしてるらしい。民を見捨て、自分達だけ逃げようとしてる。どう思う?」
(副団長)
「王たる者は決して民を見捨てない。民を見捨てるという事はもはや王ではない。」
(カイト)
「だよな。国家を自分の私利私欲に使った。これは国として許されるのか?今からコソコソ来るぞ。全員ひっ捕えよ!出来るよな⁉︎」
(副団長)
「わかった。おい、全員で国王を名乗る者達を捕まえるぞ。一人も逃すな。捕まえたら広場に連行しろ。国民の前で断罪する。」
(カイト)
「断罪するのは待ってもらおう!ポロンド達が来てからセレモニーとして処刑してやるよ。」
こうして騎士団は国王達を拘束し、カイトが新たに作った地下の牢屋に幽閉した。
数日後にポロンド達革命軍が集結し、あっけない幕引きとなった。
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