辺境伯はお見通し
ウェットの街が見える。
この街はマザコン子爵が治めていて評判は良くない。買収や賄賂で利権を貪り、逆らうと執拗な嫌がらせや脅し、最悪殺される。
だが、取り入る事ができれば自由に商売したり、嫌いな奴を陥れる事もできる。
街に暮らす人々は子爵の顔色を伺い、ひっそりと暮らす人々と子爵の子分として堂々と暮らす人々に分かれていた。
俺達は子爵の情報を集めるため、冒険者ギルドに移動する。
ここのギルドマスターは話のわかるヤツだ。
いろいろな話を聞くことができた。
なんでも子爵の屋敷にはいつも貢ぎ物を運ぶ人が出入りしているそうだ。なかには女性を商品として運ぶ人も。
1番の問題は奴隷商売を隠れてやっている。男女問わず売れるものは売ってる。もちろんこの国は奴隷禁止だ。バレたら爵位の剥奪と処刑される。
冒険者ギルドもその証拠を掴もうとしてるが、なかなか難しいらしい。
バレないのはグリーン王国の商人が勝手にやっているように見せかけているそうだ。商人と子爵の繋がりを証明できればなんとかなりそうだ。
グリーン王国の商人の情報が欲しいところだ。
グリーン王国の商人ダルカナさんと会えないかなぁ
南ルートから行くとするとこの先のストという街辺りで会えそうだ。
サーシャと相談し、ストに移動する事にした。
ストはグリーン王国に近い街でセントラルグリーン鉱山の北ルートと南ルートが交わる要所だ。
そして、この街を治めているのが人格者で有名なタランティーノ辺境伯だ。政治力もあり、軍事にも明るい。多くの有名な冒険者が集まっていると噂にもなるほどだ。タランティーノ辺境伯には子供が5人いて、武術に秀でた24歳の長男、美人で賢い22歳の長女、武術と戦術に長けた20歳の次男、魔法が得意な19歳の三男、お転婆で活発な17歳の次女だそうだ。
辺境伯は国の要所を任せられる人で国王の信頼が厚い人でなければなれない。
ウェットからストまでは1日あれば移動できる。
すぐにストに移動した。
辺境伯へのアポをとり、宿をとって待機する。
翌日連絡が来てあってくれる事になった。
応接室に通された時、珍しい品をあちこち覗くサーシャは放っておこう。
しばらくするとタランティーノ辺境伯がやってきた。見た目は40代で歴戦の勇士の雰囲気を纏っている。顔のあちこちに傷があり怖いイメージが拭えない。
辺境伯「良く来たな!カイト・オースティン公爵殿!私がナダエル・タランティーノだ。こちらは妻のナタリーだ。美しいだろう⁉︎ワシの宝物だ!ガッハッハッハッハッ!」
カイト「あの⁉︎なぜオースティンと?」
辺境伯「ブルーはワシの古い友人での。そなたが小さい時に会った事がある!ガッハッハッハッ!」
カイト「そうでしたか。すみません。覚えていませんでした。」
辺境伯「無理もない。そなたはまだ一歳ぐらいだったからのぅ!ガッハッハッハッ!」
カイト「そうですね。覚えていません。」
辺境伯「ブルーが亡くなったと聞いた時はワシの心に穴が空いた。そして心配したのはそなたら4人の子達じゃ!冒険者のアレックスからお主が生きている事を聞いてホッとしたわい。今はフリーキーが公爵家を継いどるようじゃのぅ!向こうの経済も発展しとるようじゃ!お主の入れ知恵じゃろう⁉︎」
カイト「かないませんね。すごい情報通だ」
辺境伯「アレックスも残念じゃったなぁ。あやつに会うといつもお主の話をしていたよ。それにアリスとリンとリュートの話もな!お主の話は実に面白い。よくよく知恵がまわるもんじゃ!最近はそこのサーシャといい感じだとも聞いておる。」
カイト「そんなに情報通なら今日来た用件もわかってるとか⁉︎」
辺境伯「あたりじゃ!ダルカナも呼んでおる。少し待っておれ!それまでもう少し話をしよう。サーシャはワシの妻が気になっておるから別室で女子会じゃな!」
そう言われ、サーシャはナタリーに連れられ別室にいなくなった。
俺はナダエルさんと昔話や最近の冒険談を話した。
改めて父上にどんなに愛されていたかを教えられた。自然に頬を涙が流れる。
そして、俺が持っている蒼剣は父上が鳶剣は母上が俺のために注文していた武器で大きくなったら渡すつもりだったらしい。父と母の形見の品だ。
ウェットの街の事情も把握しており、ガルカナの商売敵のチャイ商会が奴隷を売り買いしている。グリーン王国では奴隷制度は禁止されていないどころか歓迎されている風潮だそうだ。まぁグリーン王国だけではなく、他の国も同じ様なもので、この王国が珍しい方だ。
ナダエルさんもなんとかシッポを掴もうとしているらしいがなかなか難しいみたいだ。
しばらく待っていると、ダルカナさんが到着し、更に詳しく話を聞いた。
辺境伯「でじゃ!お主の作戦を聞こう?もう思いついておろう⁉︎」
カイト「ホントこの御老人は!わかりました。あくまで私個人的な意見ですよ?
最終的な体勢として、ウェットの統治権とウェストの統治権を辺境伯に纏めます。
それから、ウェストはグリーン王国との国境にある都市のため、ここに検問所を作り、人の監視と荷役の点検を行います。
統治権を纏める方法として、マザコン子爵は爵位を剥奪、ウェストのファザコン侯爵も爵位を剥奪します。剥奪の方法は後で説明します。
それとチャイ商会も今回の騒動に巻き込み一緒に排除します。その後始末はダルカナさんに任せれば問題ないかと思います。」
辺境伯「爵位の剥奪方法は?」
カイト「奴隷制度はこの国は禁止です。売買も禁止されている。もしやっていたとしたら爵位を剥奪するには良い理由になります。しかし、証拠がない。ないなら作れば良いと思うんですよね!マザコンは証拠隠滅にかなり気をつかっていますけど、ファザコンはザルです。子爵を与えたのもファザコン。繋がりがあるはず。そしてチャイはおそらくファザコンに取り入っている。
決行日は辺境伯が子爵を訪問する日。何か理由を考えておいてくださいよ。そして侯爵も招待される状況を作っておいてください。
辺境伯のツテで誰かをファザコン侯爵のメイドとして潜り込み証拠を集める。
俺はチャイから証拠を集める。
決行日にチャイの奴隷が逃げ出し、ウェットの街が奴隷騒動になる。いつもはマザコンが何とかするが、その日は辺境伯がいる日、下手に知られたくない子爵はチャイを叱る。チャイは侯爵に頼る。侯爵はシラを切る。辺境伯が事の真相を聞き出そうとチャイに詰め寄る。チャイが全てを自白する。侯爵と子爵は言い逃れをするためにチャイを切り捨てる。チャイは証拠を出して、辺境伯が王に報告、侯爵と子爵は爵位を剥奪!この功績でウェットとウェストは辺境伯のものって寸法です。」
辺境伯「その後は?」
カイト「ウェストは次男に統治させ、ウェットは長男に任せるのが良いと思います。そしてウェットで兵力を増強し、何かあればウェストにも首都にも対応できるようになるかと。」
辺境伯「いやいや!すごいすごい!もはやこれまでとは!お主を敵に回したら一国でも太刀打ちは出来ぬのう!さすがはブルーの子じゃ!一つだけ変更しようかのぅ?王に報告しに行くよりは来てもらおう!どうじゃ?」
カイト「あの王が動くか〜⁉︎王子ならどう?」
辺境伯「サイクロード陛下か?いいな!そうしよう」
こうして密談が終わり、ひとまず首都に戻る事にした。サイと話を合わせるために。
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