ムハンド国王
ムハンドの首都
金の迷宮からスタンピートの知らせを受けた王宮は混乱していた。
(国王)
「冒険者達は何をしておる⁉︎」
(宰相ナーマル)
「コンセキに配置しております。しかし、魔物の群れは想像以上に多く、この首都に向かっているという情報が…」
(国王)
「すぐに逃げるぞ!」
(騎士団長)
「住民への避難指示は?」
(国王)
「知らん!騎士団は首都を死守せよ!」
(宰相ナーマル)
「それでは示しがつきませんぞ!」
(国王)
「ワシあってのムハンドだ。神々も許してくださる。」
(騎士団長)
「魔族の遺体はどうしますか?」
(国王)
「あんな物、もはや価値はない。地下にでも捨てておけ。それよりもすぐに逃げるぞ!」
国王は王妃と子供達を連れて北の都市に逃げた。
宰相ナーマルは住民への避難指示を出し、騎士団は首都の門外で魔物襲撃に備えた。
(騎士団長)
「来たぞ!魔法職第1部隊は上空の魔物を攻撃、第2部隊は地上の魔物へ攻撃、近接部隊は右翼と左翼で挟み込め!」
(騎士団)
「うぉぉ!」
魔物の群れは統率されていて、上空のドラゴン型は岩を放出、陣形の中に落としていく。
地上の魔物は動きの速いウルフ型が騎士団の両翼から翻弄していく。
騎士団の魔法職は上空や地上に炎球や風球を放つが当たりはしない。
近接部隊が攻撃しようとすると左右に分かれて後ろの巨人型が岩を投げてくる。
(騎士団長)
「陣形の意味がないな、総員手当たり次第攻撃せよ!」
一度崩れた陣形は元に戻らず、魔物の群れに屠られていく。
(騎士)
「団長、城壁が持ちません!魔物が都市内になだれ込んでます。」
(騎士団長)
「城内は捨ておけ!我々には神々がついておる!その場を死守せよ!」
魔物は縦横無尽に駆け回り、都市内になだれ込んだ魔物達は逃げ遅れた住民を手当たり次第襲っていた。
(騎士)
「団長!首都上空に巨大なドラゴンが現れましたアアア!」
(騎士団長)
「こんな時に!ドラゴンだとぉぉぉ!」
首都上空に現れた巨大なドラゴンは稲妻を纏い、上空に飛来するドラゴン型の魔物を屠っていく。
更に首都に落雷して地上の魔物も倒れていく。
(騎士団長)
「何が起きてる⁉︎」
(騎士)
「団長ぉぉぉぉ!地上の魔物も逃げて行きますぅぅ!」
魔物の群れは蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
上空にいたはずのドラゴンは忽然と姿を消し、瓦礫の山と魔物に殺された人の死体と魔物の死体が残された。
(騎士団長)
「勝ったぞぉぉぉぉぉ!勝鬨を上げろぉぉぉ!」
「おぉぉぉ!」
避難していた王族や住民は魔物が逃げた事を知り喜びに浸った。
(国王)
「すぐに王宮へ戻るぞ。やはりワシには神々がついておる!」
国王は急いで王宮に戻り宰相ナーマルから報告を受けた。
(宰相ナーマル)
「魔物の群れは突如現れたドラゴンに恐れをなして逃げました。被害は…」
(国王)
「そんなことより王宮が被害を受けなくて良かった。魔物が溢れた原因はなんだ?」
(宰相ナーマル)
「原因はまだわかりません。それより、首都とコンセキの復興、経済基盤の再興が急務かと」
(国王)
「そんなもん、周辺国から奴隷を集めてやらせればよい。経済はなんとかせよ」
(宰相ナーマル)
「そんな、ここは私財を投げ打ってでも」
(国王)
「いちいちうるさいのう。お前はクビじゃ!最後にお前の助言を受けてやる。お前の私財は没収して再興に充てる。」
(宰相ナーマル)
「なっ⁉︎」
(次官タナーフ)
「そうゆう事だ。ナーマルよ。王への不敬でお前はクビだ。今までの功績に免じて投獄はないそうだ。良かったな⁉︎寛大な王で!」
(国王)
「タナーフ、お前は今から宰相となり例の件を進めよ。」
宰相のナーマルは私財を没収され、首都から追放された。
新たに宰相に就いたタナーフは速やかにセントラルに使者を出し、併せて奴隷500人をセントラルに提供した。
(国王)
「タナーフ、セントラルに今まで100万人は提供しておる。そろそろ魔族の提供があっても良いと思うがな。」
(タナーフ)
「魔族の軍隊が手に入れば神々の横に王が神として君臨できますな」
(国王)
「ふふふ、そうであろう!ガイアに先を越されてはならんぞ!ヤンバルという魔族は確かに神の如き強さじゃ。が、ワレに逆らう者はいらん。ワレの命令に従う魔族を手に入れよ」
(タナーフ)
「心得ております。セントラルではすでに魔族の実験段階は終了しております。しかし、魔族適性がないと作れないそうでして、追加で20万人の奴隷を送っております。」
(国王)
「ふふふ、その方、優秀じゃな。魔族化が完成した時はソナタも加えてやろう」
(タナーフ)
「有り難き幸せ。」
ムハンド聖教国はそれからも奴隷を送り続けた。周辺国から集められない時は自国の住民も無理難題を吹っかけ奴隷化していた。
緊急国際会議が開かれ、セントラル中立国で新種の魔物が周辺国を襲撃する事態を調査する為の採決が行われた。
(国王)
「まずい事になってきた。タナーフよ。すぐにセントラルに使者を出せ。それと魔族の実験がどうなってるかも調べて来い。」
(タナーフ)
「かしこまりました。」
タナーフはセントラルに赴き、状況を把握した。魔族化はほぼ完成しており、開発者のマッドや支配者のカオスは魔族となり、その異常な存在感に圧倒された。しかし、反乱軍がセントラル国内で暴れており、反乱軍の主要なメンバーも魔族だという事も調べた。
タナーフはセントラルに救援部隊を派遣する約束を取り付けるとともに、ムハンド国王の魔族化の約束まで結ぶ事ができた。
タナーフは国王に報告し、騎士団の派遣を決定して準備にかからせた。
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