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モス進化1


マスキンダ王国の首都ブランドから逃げる様に旅立ったカイト達は、いつもの様にモスの鍛練をしながら移動する。

マグはキャラとバンに速く走る方法や検知魔法を教え込む。

モスの成長速度にライとカー子は息を呑む。身体の大きさはすでにカイトを上回り、サイズ変更も自由にできる様になった。


鉱山が遠くに見えるほどの距離でオーガの群れに遭遇する。数にして約40体

頂点はジェネラルオーガだ。

オーガ達は全員武装しており、こちらを確認すると雄叫びを上げて襲って来た。


カイトはモスにアイコンタクトで行っていい許可を出した。

モスの動きはもはや捉えられない。

鎧を着ているのに鎧ごと斬り倒していく。闘いにはならず一方的な殺戮だった。ジェネラルオーガの首が胴体から切り離された時、ジェネラルオーガから魔石が飛び出した。

「魔石だ」と思った時にはモスが食べてしまい、幻の魔石となった。

全てのオーガを取り込んだモスは急に小さくなり動かなくなった。

(カー子)

「まさか、これは…」

(ライ)

「おそらく…」

(カイト)

「何が起きてる⁉︎カー子教えてくれ」


カイト達は動かなくなったモスを心配し、カー子の説明を待つ。


(カー子)

「ワシも話だけしか知らんが、おそらく進化する前兆じゃと思う。」


(カイト)

「えっ⁉︎進化するのか?」


モスの身体は真っ黒に変色し、死んでいる様に見える。

黒い殻の中が緑、赤、青、茶、黄、金などに目まぐるしく変色し、心臓部は一定のリズムを刻む。


しばらく観察していると背中が割れ始め、中から産まれたてのハイマンティスが出てきた。

顔は大きく変わらないが、身体は全体的に紺碧色でオレンジ色、群青色の市松模様で羽根はダークレッド、脚元は靴下を履いている様な黒い色で覆われていた。

節々はオリハルコンで出来ているかの様な金属特有の光沢を放ち、鎌はノコギリ刃状で空気すら切り裂きそうだ。

(カイト)

「カー子?モスはマンティスからハイマンティスに進化したのか?」


(カー子)

「だと思う。見た事がないハイマンティスだがな。鎌の形状を見るともしかしたらサーマンティスかも知れん。」


(リュート)

「サーって事は騎士か?」


(ライ)

「通常進化は、ハイクラス、スーパークラス、ウルトラクラスと上がっていく者がいる。稀に、サー、ナイト、ルーク、ジェネラル、クイーン、キングになる者がいる。モスはもしかしたらキングの素質を持つかもな」


(カイト)

「まぁ、どんなふうに成長するかはお楽しみだ。」


(モス)

「やばいよ!やばいよ!力の制御ができない。」


産まれたてのモスはどんどん大きくなり、ライの本来の大きさ並になった。

それと共に身体の周囲に炎を撒き散らし、地面は凍りつき、毒霧が降り注ぐ。

(カイト)

「やばっ!」

(カー子)

「集まれ!結界を構築する!」

急いでカー子の近くに集まり、カー子は周囲に結界を張った!


(カイト)

「モス!落ち着け!ゆっくりと魔素を集めろ!」

(モス)

「やってる!でも、どんどん力が湧いてくるんだ。」

(シロ)

「仕方なし。少し痛いが我慢せぇ!」

シロはモスの脚6本と羽根をむしり取った。そして背に乗り、後ろからモスの触角を掴む。

(シロ)

「モスよ。手脚と羽根を再生してみろ!少しは魔素が減るはず。」

モスは言われたとおり再生したが、魔素が減る気配はない。

シロはカー子の所に戻り、解決策はないか考えた。

(カー子)

「急激な成長による暴走じゃな!周りの魔素も取り込んでおる。このまま行くと魔素によって身体が破裂して死ぬぞ!」

モスは苦しそうに息を切らしながら、まだまだ身体が大きくなる。


カイトはモスの背中に乗り、両手で魔素の同期を図る。

(カイト)

「モス、お前の身体を直接いじるぞ!魔素循環が始まったら同じ様にしてみろ。」

カイトの魔素がモスの中に拡がる。カイトはモスの魔素と同期させ、暴走する膨大な魔素を自ら取り込み続ける。モスの身体の中にある魔素量を少なくし、魔素をゆっくり循環させていく。

周囲からの魔素を取り込む事はなくなり、大きくなる事も止んだ。

落ち着いてきたモスは少しずつ小さくなっていく。

(ライ)

「なんという器!あれだけの魔素を吸収してなお余裕がある。カイトは本当に人間か⁉︎」

(カー子)

「もはや人の領域にはないのぅ⁉︎我ら聖獣もはるかに超えとる。」


(カイト)

「ふぅ…何とかなったな⁉︎」

(モス)

「ごめん。助かった。ありがとう!」

(カイト)

「いいってことよ。それより身体に異常はないか?」

(ライ)

「人の心配よりお主だ。大丈夫か?」

(カイト)

「ん⁉︎何かあったか?」

(カー子)

「馬鹿じゃのう⁉︎あれだけの魔素を取り込むって自殺行為じゃぞ!しかも毒霧の魔素なんぞ!」

(カイト)

「えっ⁉︎毒はさぁ、分解すれば毒にならないじゃん!それにそんなにいうほどの量じゃないじゃん!」

カイトは規格外だったのを改めて思い知らされたラークスのメンバーだった。


鉱山に入ると岩の魔物が増えてきた。

ゴーレム種と言われる無機質の物に生命が宿った魔物だ。

ゴーレム種は魔素を纏うが、自然界の魔素とほぼ一緒のため、検知魔法で検知するのは難しい。

良質な鉱山ほど強いゴーレムがいるのも特徴だ。

四日ほど鉱山を進むと反対側に出た。セントラル中立国だ。


(カイト)

「ここに今日はキャンプを張ろう。これまでの所でドワーフの住みやすい場所はあったかな?」


(リュート)

「どこも険しい荒れた場所ばっかりだったぞ!住むには不適だろう⁉︎」


(サーシャ)

「そうね。山を降りたこの辺ならまだしも…」


(リン)

「ここや反対側の山の下だと攻められれば陥落する。防御を考えれば山の中が一番いい。」


(カイト)

「山を全部繋げてみるのはどう?」


(ライ)

「山を繋げるって、できるわけなかろう⁉︎」


(リン)

「カイトのあの顔は出来そうよ!どうやるかは知らないけど」


(カー子)

「規格外の発想じゃ。楽しみだのう。どうやるんじゃ⁉︎」


(カイト)

「ライ!プレートドラゴンを呼ぼう!」


(ライ)

「なるほど、ヤツの大きさならこの広さは十分じゃな!だかのう、ヤツは極度の面倒くさがりじゃ。来るとは思えんがのう!」


(カイト)

「そこはライの腕の見せどころだろ⁉︎」


(ライ)

「なっ⁉︎ワシが行くのか?」


(サーシャ)

「ライしかいないね。私も一緒に行ってあげるから…」


(カイト)

「プレートドラゴンに山を慣らしてもらったら、その横に竪穴式の都市を作ろうかと。手足が短く、動きが鈍いらしいからな、あんまり動かずに済む機能的な都市がいいな。」


(リン)

「都市なら交流がなければ滅ぶぞ。どうするつもり?」


(カイト)

「ここの位置ならマスキンダのブランドへの道とアテンナへの道、そしてアーリーへの道を作ればすぐ人の流れができると思う。それにここの鉱山は孤独島よりも良質な鉱物が取れそうだ。ナンカイやマサルを連れて来れば武器製造の拠点にもなるかなぁと」


(サーシャ)

「ナンカイを拉致ってくればいいのね」


(リュート)

「シロ!国に戻ってマサルを拉致ってくるか!」


(アリス)

「世界三代工って他に誰がいるかわかる人いる?」


(リン)

「この前調べたよ。アーリーのナンカイ、ガイアのトレードナーフ、モーラのハーベストだって。魔剣のナンカイ、妖刀のトレードナーフ、聖剣のハーベストと呼ばれているらしいわ。」


(アリス)

「武器屋ばっかりだな。防具や道具の名人はいないのか?」


(リン)

「魔道具で有名な人はグリーンのエテシアとアテンナのメラニー、防具はルーポのランバルとクイナの兄弟、ドンイオのドンクリーク、モーラのルクセンあたりが有名らしいわ。」


(カイト)

「まだまだすげぇヤツはいっぱいいるんだな!グレートウェイには誰もいないのか…」


(リン)

「マサルはいずれ世界のトップになると思うわ。口コミで人気が上がってるから。私達の武器を参考に収納式武器を作ってるから。道具や防具ならトレックかな⁉︎」


(カイト)

「イーサンが連れてくるドワーフってヤツらはどんな奴らかわからんからな。合流してから考えるか。それにしても、毎回拠点を作るけど、ベッドとかテーブル、ソファなんか作れる人いねぇかなぁ⁉︎家具職人みたいな⁉︎それと家そのものを作れる職人とかさぁ、あぁいうのセンスある人が作った方がいいと思うんだよね。」


(リン)

「マスキンダにいるらしいよ。この前ブランドにいる時そんな噂聞いた。候補は五人。おすすめは商業者ギルドからはじかれてるセンスの塊[オツカ]は生活用品職人。ギルドへの上納金に不満を言ったらはじかれたらしい。屋敷などを手掛ける建築職人[ルーイ]もギルドからはじかれてるけど、センスは良いらしい。まぁギルドに入れない時点で生活はいっぱいいっぱいだろうけどね。」


(ライ)

「ならワシはプレートドラゴンを説得しに行ってくるわい」


(リュート)

「オレはシロと一緒にマサルを拉致ってくるわ。」


(アリス)

「私はマグと一緒にアテンナでメラニーを口説いてくるわ。」


(カイト)

「待て待て!ここを武器製造の拠点にするとかはドワーフが来てから考える。今はライがプレートドラゴンを連れて来るのを待つ。暇ならイーサンを探してここに連れて来てよ」


アリス、マグ、リュート、シロは大きく頷いた。

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