38話 ボンヌ伯爵の狙い
「ボンヌ伯爵様、この度はご足労誠にありがとうございました。」
「よいよい、今回はお互い様じゃろう。儂もポーレンヌの泣き所を1つ手にいれたからな。」
そう言うと、宝玉の剣をポンポンと叩く。
リグルドを通して、ポーレンヌ伯爵様と敵対している伯爵を探してもらい、そこにポーレンヌ家の宝の1つである宝玉の剣を買って貰ったという事だ。
更に、念を押して、調味料セット(精製塩・胡椒・砂糖)を100g×3本組で送っておいた。
「まぁ、更にお主には、この調味料セットなるものを貰ったからな。どっちかと言うと、今回は、これに釣られたのが大きいわ!」
ボンヌは破顔で大笑いした。
「特に砂糖なるものは凄いのう。あんなに甘いものは初めて食べたぞ。」
あぁ、そのまま食べたのね。
確かに使い方を知らないわな。
まぁ、もう少ししたら使い方も一緒に送ってやるか。
まだ、世に出ていくと困るからな。
「ははっありがたき幸せ。また手にいれましたら、必ずや伯爵様にお送りいたします。」
「おぉ!期待して待っとるぞ!こちらで購入しても良いから、必ずや連絡するのじゃぞ!」
「ところで、伯爵様。」
「なんじゃ?」
俺は、使いかけの砂糖が少し残っている事と、よければ、宿の厨房を使用して、砂糖を使った料理を一品作りましょうかと話しをした。
「それはまことか!!ぜひ頼むぞ!」
俺は、この間市場で見た卵があるか宿の従業員に確認してから、5つを1000リルで購入し、少しだけ厨房を借りると主人に話をしてから、料理を一品だけ作った。
残念だが、料理をする時は、ユリ以外は厨房から出て行ってもらった。
「何が金になるかわからないからな。」
卵5個と砂糖と塩を少しだけ、これらをよく混ぜて、白身をしっかり切ってからフライパンで焼き上げた。
周囲に甘い香りが漂い始めると、ボンヌ伯爵だけでなく、伯爵の騎士や宿の従業員そして主人とユリまでが、喉を鳴らした。
「ゴクリッ」
ボンヌ伯爵の前に卵を5個使った、フワフワ特大な「玉子焼き」をお皿に乗せて出した。
「なんじゃこれは、卵を焼いているようだが、この甘い香りとこの柔らかさは見たことがない。いや、甘い香りは砂糖じゃな。」
「さすがは、伯爵様でございます。卵に砂糖と隠し味を入れて、特殊な製法でフワフワに仕上げております。まずは、一口お食べください。」
伯爵が玉子焼きをナイフで切ろうと玉子焼きの上にナイフを置くと、弾力でナイフが押し戻されてきた。
「なんじゃこれは!」
何度か、弾力を楽しんだ後、口に入れると一瞬言葉を失った。
「 ………… 。」
「旨すぎる。フワフワで甘くて口の中が幸せじゃ。しかも甘さだけでなく濃厚な卵の旨味が感じる。」
俺は、次の言葉が出る前に伯爵に牽制をしておく。
「次に砂糖が手に入りましたら、伯爵様に作り方と一緒にお送りいたします。」
伯爵は、玉子焼きを口に頬張りながら、
「じぇったいじゃじょ。モグモグ」
何かあったら言ってこいと言ってから、笑顔でボンヌ伯爵は帰っていった。
「これで、ユリは何の心配もなく俺のものだよな?」
「はいっ!ご主人様!」
ユリは泣きながら飛びついてきた。
ユリさんや、お胸が当たっとるぞよ。
そのまま、部屋に戻って昼間っからナデナデしてまったりしたのは言う必要はないだろう。
さて、昼飯を食べ損ねた俺たちは、もう一度宿の厨房を借りて、昨日と同じだが、ユリが食べたいと言ったので、オークの塩胡椒ステーキを焼かせてもらって食べた後、明日の出発に向けて、買い出しをする事にした。
次の街『スードル』へは、馬車で5日の道のりとなる。
しっかりと準備する必要があるだろう。
馬車の予約はすでに済ましてあるが、道中の食事は各自なのだ。
一応、馬車には護衛も着いており、比較的安全な旅となる。
幸いにも俺には、アイテムボックスがあり、荷物運びに心配はない。
なんなら、交易品とかあれば、嬉しいんだが。
商人ギルドにもよってみるか。




