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36話 クリス・ポーレンヌ

 

 さて、テルマ7日目の朝。


 勿論、起き抜けのキスをしてから、仲良く朝食を食べる。


 オークションは朝からなので、念のため荷物をまとめる。

 っていっても、アイテムボックスだから関係ないけどな。


 とりあえず、冒険者ギルドに行って、解体した素材を回収。


 オーク肉×230kg

 オーク牙×46

 ホーンラビット肉×30kg

 ホーンラビット毛皮×3

 ロックバード肉×30kg

 ロックバード羽×6


 そのまま宿に戻ってもう1日だけ宿泊の延長をする。

 主人が部屋が空いたと言っていたが、1部屋のままでいいと伝えたら、ユリが嬉しそうだった。


 そこで、宿にズカズカも入り込んでくる集団が。


「ユーキと言う冒険者はいるかっ!?」


 宿の主人に高圧的な態度で怒鳴る男。


 貴族『クリス・ポーレンヌ』その人だ。


 オークションの始まる時間は過ぎていたから、ソロソロかなとは、思っていた。


 護衛は10人位だろうか、フルアーマー装備の騎士といった風貌の10人に、奴隷商で見かけた執事が1人だ。


 宿の主人は、俺を見ると行けと目配せをするが、ユリを少し離れた所に行かせると、俺は顔を横に振った。


「俺が、ユーキだがなにか?」


「お主がユーキか、先日テルマ奴隷商会でハーフエルフの奴隷を買ったであろう?その奴隷は僕が買う予定だったのだ。手違いでお主に売ってしまったので、直ぐに引き渡すように。勿論、買取り価格以上の費用は払ってやる。」


 どこまでも、上から目線のクリスには腹が立つが…。


「お見受けした所、貴族様かと思われますが、先日私が購入した奴隷を貴族様に渡せと言うことでございますか?」


「うむ、僕は、ポーレンヌ伯爵が息子のクリスだ。中々物分かりがよくて良いではないか。あれは、僕がず~と目をつけていた奴隷でな。今日のオークションまでに買い手が付かなかったら僕が購入するはずだったんだ。」


 あ~あ、


「それが、オークションまでに私と言う買い手が着いてしまったという事にございますか?」


「そうじゃ、そうじゃ、もういいから、あいつはどこにおるんじゃ?」


「それは、災難でしたな。」


「うむ、苦しゅうないぞ。で、どこじゃ?」


 キョロキョロするクリスを前に


「しかし、困りましたな。実はあの奴隷は私も気に入っておりまして、手放す事を考えておりません。」


 すると、クリスの顔がミルミルと赤くなる。


「なっ、なっ、なんと無礼な!貴様!」


「いや、しかし貴族様、私は残念ながら貴族様の奴隷だとは知りませんでしたし、私が買った奴隷ですから、致し方ないかと。」


「むぅ、」


クリスは一瞬黙ったが、すぐに大きな声で騒ぎ出した。


「オークションで手に入れたら、ペットにしてやろうと思っていたのに!」


 もういいか、


「ユリっ!こっちへ。」


「はいっ!ご主人様。」


 隠れていたユリが急いで俺の左斜め後ろに立つ。

 そのまま俺の左腕にヒシっと両腕を絡ませる。


「おぉ!お前じゃ、何をしておる早くこちらへ。」


 ビクッとするユリ。


「貴族様!困ります。貴族様と言えども、他人の奴隷に手を出すと、只ではすみませんぞ?」


「なに?元々僕の奴隷じゃないか!だかっ」


 クリスの言葉の途中でぶったぎって


「元々も何も貴方様の奴隷になっておりません。契約書はございますか?どちらにせよ、私は、この奴隷を手放す事は考えておりません。お引き取りを願います。」


「き、き、貴様ー!無礼な!僕にそのような口を利いて只ですむと思ってかっ!」


「どうなさるおつもりで?この場で私を消して、この場にいる見物人の口も封じるおつもりですか?それがばれたらお父上も只ではすみませんぞ?」


「ばれなければよいわっ!爺っ!」


「はっ!」


 意外と爺やんの動きが機敏やな。


 既に宿にいた客は避難させ、主人は後ろに控えさせている。


 騎士達もかまえている。


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