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28話 商人ギルドでの攻防

 

 テルマ4日目は、昨日狩ったロックバードを解体場に持ち込んだら、数に驚かれたが、笑顔で昼までに終わると言っていた。

 やっぱり、解体屋は解体が好きなんだろう。



 その後、特にあてもなく歩いていると、声をかけられた。


「ユーキさんっ!」


 振り返るとリグルドが息を切らせてこっちに走ってくる。


 何かあったんだろうか?


「やっと見つけましたよ。今から時間がありますか?」


「ん?あぁ、あるけど?」


「よかった。商人ギルドに来て貰えませんか?」


 リグルドと一緒に商人ギルドに着くと、受付から個室に案内される。


 暫くすると、ドアが開き人が入ってくる。


「おぉ!ユーキさん、またお会いできて光栄です。」


 商人ギルドのギルドマスターのテトラだった。


「あぁ、テトラさんでしたかね?」


「はい。覚えて頂き、これまた光栄です。」


 どうやら、先日の塩と胡椒の件で、探しており、なんとかリグルドと面識がある事を突き止め、呼ばれたようだ。


「先日は失礼いたしました。初めての方に利益の高い条件を提示してしまうと、身内からよく思われませんので。」


 それはそうだろう。

 俺も演技した甲斐があったと言うもんだ。

 商談が決裂した体を周りに見せた上で、利益があるから良い条件を提示したという言い訳が必要なんだろう。


「はい。解ってますよ。それでは、商談の本番と行きましょう。」


 テトラは、ニコリと笑うと


「ユーキさんとは、末長いお付き合いの予感がしますから、上限一杯で提示させてもらいます。」


 精製塩=5万リル/kg

 胡椒=30万リル/kg


「で、いかがでしょうか?」


 うん、俺が考えていたラインが出てきた。

 流石は商人ギルドのギルドマスターってところだろう。

 リグルドを見ても頷いている。

 おそらく、リグルドは実際に食べてもいるので、その品質はテトラに伝わっているのだろう。


「その条件でお願いします。」


 お互いに握手を交わす。


「さて、それでは、どの程度我が商人ギルドに卸して頂けますか?」


 ここが悩み所なんだ。

 ここ2日間ずっと考えていた。


 正直、スキルを使うと10㎏/日出す事が出来るが、胡椒は出しすぎると価値が下がる。


 また、高価な調味料をたくさん持っていると周りに知れ渡ると命を狙われる事は間違いない。

 ここは、ユリの購入費用分に押さえておくべきか。


 しかし、その後の生活もあるから少し余裕はほしい。


「あまり在庫に余裕がないので、あるだけ全部でもよろしいですか?」


「勿論、と言いたい所ですが、果たして購入金額を準備できるか。」


「わかりました。」


 俺が沢山持っているとは、あまり思わせたくないからな。


 俺は、頭の中で


「調味料 塩10kg 」


 と思い浮かべると、アイテムポーチから出す素振りをして、アイテムボックスから塩を取り出す。


 俺の世界の塩をこっちでは精製塩と呼んでいる。


「まずは今ある精製塩です。」


 精製塩10kg


 それから、「調味料 胡椒2kg」と頭の中で思い浮かべる


 胡椒2kg


 これで、全部です。


「あとは、自分で調理する分だけです。」


 と言って、使いかけの塩と胡椒が入っているビンを出した。


「これは売れませんよ?」


 と笑いながら言うと、


「いやぁ、これほどあるとは、購入できるギリギリですな。」


 嘘を言うな。


「それでは、110万リルとなります。お確かめください。」


 そう言うと金貨110枚を渡してきた。


「いやぁ、これほど良い取引は久しぶりです。特に胡椒については、また購入が出来ますかな?」


「冒険の場所次第ですが、在庫を確保して必ずこの街に行く予定を作って、売りに来させて貰いますよ。」


 また準備できる事を伝えておく事で利用価値があると思わせておきたい。


「ぜひ、お願いしたいものです。」


「こちらこそお願いします。」


「あぁ、もしまた手に入った時は、他の町の商人ギルドでも売って貰えると助かります。」


 ここだけじゃなくていいのか。


 直接販売が一番困るからか。


「わかりました。」


 そろそろお暇しようかと腰を浮かした所で、リグルドが声をあげた。


「そうだ!もし、良かったらユーキさん、ギルドランク上げませんか?」


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