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Come Out And Play Act.2

 僕たちは建物の周りをぐるっと回ってから入ったところで円陣を組んで作戦会議を行った。

 指揮官にはヨウちゃんが任命された、部長を除けば経験が一番豊富そうだし言っている事も的確だ、何より先ず偵察して一番守りの弱い部分を突こうと提案したのも建物からの狙撃等警戒して正面に出ないように裏から偵察しようと提案したのもヨウちゃんだからだ。

 そこは3階建て位のビルで正面だと思っていたのは側面で敷地も結構な広さだ。

 駐車場にはナンバーの外されたクルマがそれっぽく配置されていいて、みんなで正面以外を半周してきて確認した結果突入口になりえそうな場所は正面玄関と入ってきた側にある1階非常口とそこから非常階段を登った2階非常口の3箇所だと結論づけた、それ以外は窓は全てに鍵がかかっていて正面玄関横に3つ並んでいる大扉には全て錠前が張ってあった。両非常口から内部構造をちらっと確認したところ建物はビルじゃなくて工場みたいな場所で等間隔にコンテナが置いてあり天井には周囲に廊下が張ってある感じであった。

 ヨウちゃんの作戦としては裏口と非常階段からの手前から奥への同時探索だ。そうすることによって下の侵攻を上が援護できるとの事である。なるほど。


「この中でスナイパー経験者は?」


「はい!」


 店長ちゃんがぴょんと跳ねながら挙手をした。


「じゃあ組分けはわたしとシイちゃん、吾妻くんが下、店長ちゃんとタマちゃんが上ね。上組は上からの狙撃と支援、下組が本命、上組は駐車場側から下組は真ん中の通路を通っていく感じで」

「劣勢になったら即時撤退して相手の方に合流して正面突破、ボーダーは上下共に1人やられた時ね」

「あと店長ちゃんが狙撃する都合上下を常に見ないといけないけから上はタマちゃん1人で防衛になるけどいい?」


「はい、大丈夫です」


「じゃあ野郎は1人しかいないけど野郎ども地獄で会おうぜ!」


 ヨウちゃんはニッコリと笑い僕たちは店長ちゃん達と別れた。

 下組は先頭がヨウちゃんで後衛は僕と偕成さんという陣形で機材の合間を縫って進む。ヨウちゃんと偕成さんが前で僕は左右を警戒していた。

 不意に発砲音が響いた、音が結構遠かったので上を見ると上組が廊下で戦闘に入ったのだ。そうしてから左右の警戒を強める。


「パン、パン」


 発砲音が響く。

 正面から5人の敵が進行してきた、銃種は不明だがハンドガンもあればSMGやフルカスタムされたM4もあるみたいだ。M4の相手は肩を正面にしてこっちを狙っている、綺麗なウイーバースタンスだ。

 僕たちは慌てて左右のコンテナに隠れ、田所さんは隠れずに片膝をついて射撃ポジションをとる、ちゃんと膝と腕が重なってる正しいポジショニングだ。

 田所さんが放った弾は見事に当たったらしく一人はM4を掲げて残り全員撤退した。


「ねぇ、相手ちょっと変じゃない?」


 3人で警戒しつつ話をする。


「こっちに5人いるって事は上には誰もいないって事だと思うの、だけど銃撃音は上が先でこっちが後なの」

「つまり相手は5人以上いるって事なの」


 偕成さんが推測を語る。


「でも誰もヒット無かったのは良かったんじゃない」


「いや、そもそも当たらなかったんじゃなくて当てられないんだ……このコンテナ一個が40フィートだとすると敵は3つ先のあそこを曲がって来たから隙間も考えれば交戦距離150フィート前後、少なくとも45メーター以上。わたしは正面立ってたからわかるけど弾は途中で威力が落ちてる感じだった」


 田所さんは警戒しながら歩き出ししゃがんでなにかつまんでから僕たちにみせた手にはオレンジ色のBB弾があった。


「このオレンジ色の弾は10歳以上用の弾」

「つまりこっちは頭数が少ない、相手は10歳以上用メインってところね」

「それとこのガンの性能が相当高いわね、当てるように狙ってはいたけどまさか一発で当たるとは思ってなかった」


「そんなのすごいの?」


 偕成さんが田所さんに聞く。


「すごいどころの問題じゃない。この距離はエアガンの世界だとフルサイズの電動やスナイパーライフルの独壇場よ。それをこの大きさでやるんだから、流石としか言いようがないよね」


 僕はその言葉である事に気がついた。


「思ったんですけどこっちも相手も不平等な状況じゃないんですか? 数は向こうが多いけど、銃の性能は圧倒的にこっちが上。こっちの勝利条件は作戦室へたどり着く事だけど相手は何処にたどり着く?」


「あ、こっちと相手の前提条件が違うのか」


「吾妻くん冴えてるの~」


 シイちゃんが僕の腕にぎゅうっと抱きついてきた。ボディタッチが激しい。

 ヨウちゃんが少し思考を巡らせてから口を開いた。


「こっちの利点は2つある。勝利条件が相手よりも1つ多い、作戦室を探す事と相手の殲滅、それと装備の質がいい」

「それでこっちから積極的な攻撃に回る、ただし分散はしない。正面突破で作戦室を探す。これでいい?」


「なるほど」


「それで行くの」


「それと前のグループは遠距離は不利と知ってるから次は奇襲に出る、だから今まで通り警戒しながらの進行ね」


 僕たちは警戒しながらでフィールドを進んだ。


「パン、パン!」


 進んでいくと左右挟撃を受けた、幸い警戒をしていたおかげて撃たれる前に視界に敵が入ったので回避と反撃することがで他の2人も無事であった。田所さんと偕成さんは右僕は左に別れて防戦に徹した。どうやら後詰めと合流したらしく人海戦術で攻めていく作戦らしい。

 肩の力を抜いてから狙いすます。


「パン」


 1人目。


「パン、パン」


 2人目。

 ここで一息ついて。


「パン」


 3人目を狙おうとしたら上から店長ちゃんが持っていってしまった。

 どうやら右も左も殲滅してしまったらしい。この2グループで10名弱、上の事を考えると相手は結構人数が多いかもしれない。


「この銃使いづらいの」


 シイちゃんは少し不満げに言った。

 ヤティマティックは不思議な形をしていてバレルとマガジンはL字なのだが普通の銃はグリップまで一直線のところをヤティマティックはマガジンから後ろは斜め上になってる感じだ。

 理由としてはリコイルを正面でなくて斜め上に逃すことによって反動を抑える目的がある。


「銃のプレスの模様に惑わされないで、フロントサイトとリアサイトだけを見て」


「分かったの」


 コンテナの区画を抜けると前から誰かがやって来た。

 その姿をみて安心した、それは部長だった。


「やあ、ご苦労だったね」


「部長、来たんですね」


やらなきゃ(・・・・・)いけない事(・・・・・)があってね)」


 部長はコンデターを僕たちにに向けた、シイちゃんは僕を押し倒してコンテナの角に隠し、一緒に隠れる。

 僕は音ででヨウちゃんと部長が応戦してるのを聞いていた。だがヨウちゃんは射撃ポジションを取っていたため反応が遅れてしまった。


「パン」


 その乾いた音が何を意味しているのか理解できた、ヨウちゃんの死と部長の裏切りだ。


「なんでわかったのかなー?」


「わたし達のチームのエアガンはこれ(・・)って言ってたけど部長は持ってなかったの!」


 部長の手にはコンデターピストルが握られていた。そしてシイちゃんが言うように僕たちのチームの銃はヤティマティックであると部長も言っていた。


「正解」

「正解チームにはわたしと殺し合ってもらうよ、無視してくれてもいいけど来てくれないなら厭なーぁ時に奇襲ちゃうからねー」


 部長は銃撃しながらコンテナの合間を縫って逃げる、僕はシイちゃんに起こしてもらい共に部長を追撃する。

 部長は逃げる時は逃げに徹し待ち伏せするときは待ち伏せに徹する、前回戦った経験が生きるが明らかに差は埋まらない、増援が来ていい頃なのだが何故か来ないということは部長はあくまで敵対的な第三勢力(・・・・・・・・)に過ぎない。


「シイちゃん!」


「何なの?」


「作戦……があるんだけど」


 僕はニヤリと笑ってからシイちゃんに作戦を伝えた。

 シイちゃんもニヤリと笑ってから僕たちは別れた。

 僕は部長を最短距離で追い詰める。全力疾走で走ってるっぽいが意外と部長は遅く簡単に追いつける、僕は狙って撃つ、部長も反撃したり待ち伏せしながら走る。


「何故、殺した!」


「その方が面白いからだ、少年」


 僕はその時に意図的に撃つ回数を減らしてわざと部長と同じ速さで走っていた、実はもうちょっと早く走っても大丈夫なのだが思ってたより部長は遅い。

 部長は来てくれないなら奇襲すると言っていたが誰も2人で来いとは言っていない。

 シイちゃんは途中まで追っているフリをして外から回って屋上組と合流する、人数が少ないとはいえこっちが3人共無事だったら人数が少ないとはいえ向こうも無事の可能性が高く既に向かっている筈だ。

 部長は推測が正しければ敵勢力の一旦ではなく単独の第三勢力であり攻撃力は高くとも僕が追撃している以上索敵能力は落ちているはずだ。

 それと僕は作戦室が何処にあるのか検討がついた、ビルだと思っていからこそ気が付かなかったが1フロアの3階まで吹き抜けの工場であるとわかれば部屋が外壁に面した場所にあるのは必然だ。つまり高い所から探せば必然と作戦室は見つかるという事だ。

 3分か5分か10分か部長と追いかけっこしていたら不意に放送が鳴った。


『戦闘終了です、繰り返します、戦闘終了です』


 部長はその放送を聞くと肩で息をしながら膝に手をついて止まった。


「部長、大丈夫ですか?」


「悪役は慣れているんだけど、こんなに走ったのは久しぶりだからね」


 部長は地面に尻をついて座る、今にも死にそうな勢いだ。


「ここ何なんですか」


「普通の元工場で未来のフィールド、今はコンテナと廃車予定の車の置き場さ。工場と屋外は分割しても良さそうね」


 僕たちは改めて相手と会った。

 相手は総勢20名近くの小学校高学年から中学生ぐらいの男の子と2人の女の子たち。

 様々な格好をしていたが皆一様に長袖長ズボン、二人はおそろいの緑系の迷彩ジャケットを着ていて女の子の一人はPOLICEと書かれたパッチが張ってあるタクティカルベストにフルカスタムされスリングが付けられたM4を持っていた。当たり前なのだが皆ゴーグルを付けていた。


(しずみ)一丁目、二丁目子ども会の有志の諸君らだ」


 鎮というのはこの辺りの番地の名前だ。


「心ちゃんさ、何人いたっけ?」


「保護者なんだからしっかりしなさい!」

「一丁目13名、二丁目10名、わたし1人の計24名よ」


 心ちゃんと呼ばれた最年長らしき女の子が部長に指摘をする。多分中学3年か高校1年位。


「サバゲー楽しいな」


「そうだよ」


「よかったお小遣い出して」


「いけると思ったんけどなー」


「あの距離は無理だべ」


――――――――――――――――――――――――


「弾の補充まだの人は急ぐであります」


「マガジンなくしたー」


「筒マガジン落ちてたよ」


 心ちゃんとPOLICEの子は皆の準備を手伝う。それを僕たちは休憩所のベンチに座りながら眺めている。

 店長ちゃんは心ちゃん達を手伝いヨウちゃんは男の子と達と写真を撮っていてタマちゃんはクルマに荷物を取りに行ったが僕とシイちゃんはやる事がないので座ってそれを眺めている。


「シイちゃんの可愛さは可愛い子達には理解できないの……」


「不人気乙」


 部長がシイちゃんを弄る。


「う、うるさい!」


 部長とシイちゃんが組んでしまったので僕は心ちゃん達を手伝う事にした。


「心先輩、ちょっとマガジン探してきますのであとよろしくであります」


 POLICEの子がフィールドへマガジンを探しに行った。

 それと同時に準備も一段落ついてしまってやる事が無くなってしまった。


「えっと、吾妻さん……でしたっけ?」


「ええ」


「吾妻さんって実は特別な訓練とかやってます?」


 僕は少し驚いて「なんで?」と答えてから「特別な訓練って?」聞き返した。


「うーん、軍隊経験とか?」


「ないない」


 僕は笑いながら心ちゃんに返した、お世辞としてもすごいぶっ飛んでてちょっと笑いがこぼれる。


「作戦室のモニターから見てたんですけど、単純なキルレシオが高いのはあのお姉さんなんですよ」


 心ちゃんは意外な事にお菓子を持ってきたタマちゃんを指差した。


「ですけど一番被害を抑えてたのは吾妻さんなんですよね。吾妻さんが通路の左右抑えててくれたお陰で追撃が難しかったんですよ」


 確かに左右からの奇襲を警戒していた。理由は暗いものの見通しがよく上からの狙撃による支援もある正面よりも上からは死角になり、接敵距離の短い左右を警戒したほうがいいと感じたからだ。


「追撃自体は上の損害が思った以上に酷かったのと3方向同時攻撃が見破られて各個撃破を目論んで全員上に回したんですけれども……ちなみに最後まで残ってたのって吾妻さんとあのお姉さんだけですよ」

「ちなみにあのお姉さんすごい強いですね、大体半分以上はあのお姉さんの戦果です。のほほんとした外見なのに中身は戦闘マシーンですね」


 上は意外と接戦だったのか。


「はい次のゲームの前にチーム分けするであります。子ども会はグーパーで別れて、赤と黄色のゼッケンをつけてほしいであります」


「わたしは観察に回るよ。そうだね……サカタとヨウちゃんチーム、タマちゃん、シイちゃん、吾妻くんチームだね。マーカーは付けておきなさいよ」

「それと追加ルール。走るの禁止、弾は1人1マガジン分、相手からのタッチアウトアリね。それぐらいないとキミ達の撃ち合いにあの子達が付き合わされてる感じになるから」


 部長は僕たちにそう言うと打ち合わせのため心ちゃんと一緒に何処かに消えた。


――――――――――――――――――――――――


 昼まで5回遊んでわかった事が幾つかある。

 思ってた以上に自分に体力がない事から、歩きの戦闘は神経使う事、数の暴力が怖いこと。

 他にはタマちゃんの体力と集中力がすごく心ちゃんが言ってた戦闘マシーンぶりに納得した事と偕成さんの体力が僕よりも無い事、ヤティマティックの性能が素晴らしい事。

 タマちゃんはガツガツ動いてバンバンヒットを当てる、それに対して相手はタマちゃんに対して機動戦を仕掛けたり大人2人で包囲を敷いたりするが、タマちゃんは冷静に反撃して半分近くは当てる位の勢いであった。1年生3人の中だと一番つよいんじゃないだろうか?

 ヨウちゃんや店長ちゃんは経験者らしく堅実な戦闘を行っていた。

 シイちゃんは4回戦から見学に回り昼食前にベンチの椅子で死んでいた。

 具体的には椅子にもたれかかって半分融けているような感じ。

 僕は昼食のお弁当を片手にそれを見ていた。


「シイちゃんは小学生にすら勝てないクソザコナメクジですよー、不人気だし」


「なんで勝つ必要があるのかい?」


 後ろを向くと部長が立っていた。


「これは野球でもサッカーでもない何でもありの果し合いって奴でね。大物食いなんて日常茶飯事だし力こそ正義だ、ただ負けることも楽しめるというのが他のスポーツとは違うのだよ」


「負ける事?」


「ダイ・ハードのハンス・クルーバーしかりコマンドーのベネットしかりマトリックスエージェント・スミスしかり悪役が映えるというのは戦闘において重要なファクターのだよ」


「それと、よく想像してるじゃないか? 負けて陵辱されるっていうのを」


「え……」


 部長がシイちゃんの後ろに回って肩に手を回した。

 その動きは何というか蠱惑的で色気どころか美しささえ感じた。


「拝見させてもらたよ。中々のドスケベさんじゃないの、ギチギチに縛られてバシバシ叩かれる絵を上げてるなんて、しかもこの前同時にランキング入りとトレンド入りしたよね?」


「ききき気のせいなの!」


「ホラ、元気出た」


 部長は笑いながら手を戻した。


「ご飯食べて栄養つけておきなさいよ、少女」


 そのまま部長はコンテナを後にした。


「ええと……何でもないの! 何でもないの!」


 シイちゃんが言い訳をはじめた。

 帰ったら調べてみよう。

 天気がよかったのと休憩室がかなり混んでいたため僕は外でお弁当を食べる事にした、そして外階段のことを思い出しそこに向かって座ろうとしたら心ちゃんがいたのでその横に座る。


「いただきます」


「いただきます」


 僕はご飯と漬物を取って口に入れる、温かくもなく冷たくもない硬めかつ粘り気の非常に強いお米と塩気と色がやたらと強いだけが取り柄の漬物の組み合わせは意外と好きなのだ。


「吾妻さんって本当に大学生なんですか?」


「ブッ」


 吹き出しそうになった漬物を慌てて飲み込む。


「酷いこと聞いてくるな……立派に大学生だよ」


「お酒飲めます?」


「18だし……飲めないよ」


「免許は?」


「一応持ってるけど自分の車がない」


「おうちは?」


「親子三世帯5人同居」


「全然大学生らしくないです」


 それは侮蔑というよりか単純な好奇心や可愛らしいからかいだと思った。

 僕は心ちゃんの顔をまじまじと見た

 美少女だなぁとか、顔の作りが誰かと似てるなーとか、高校時代に同じクラスだったら惚れてたなとか、色々考えながら弁当の残りを掻き込んだ。


――――――――――――――――――――――――


 午後のゲームにはシイちゃんも戻っていた。

 シイちゃんはやる気を出していたのか急に戦果を挙げはじめた。しかも好戦的になっていて子供たちに怖がられていた。

 その後の4ゲームは4勝した、ぶっちゃけシイちゃんのおかげだと思う。僕たち3人の集中運用によって見つかればシイちゃんに当てられ逃げれば子供たちが追撃する、襲撃しようものなら集中砲火に晒される。

 気迫が戦術を上回る瞬間を見て軽い感動を覚えた。

 体感的な時間は結構長かったが実質、休憩抜いたら6時間しか遊んでいない、家でダラダラしていたらほんの一瞬だ。

 皆で撤収の準備をしていた、まさに小学校の掃除そのもので落ちてるBB弾をほうきで掃いてちりとりで集める作業だ。ヨウちゃんがサボり魔なのとタマちゃんはともかくシイちゃんがてきぱきと働いてるのには驚いた。

 それとPOLICEの子、鈴羽ちゃんは話を聞くに小学校の5年からサバゲーをやっているベテランらしくこの辺りのフィールド事情やサバゲー事情に詳しいらしくアドレスの交換をした。

 掃除が終わったら部長が皆を集めた。


「今日はみんなわたし達と遊んでくれてありがとう。今日のこの会が楽しめたのなら幸いだ。これからサバイバルゲームの道へ進むも今日のを思い出として残すのも自由だ」

「ここで年長者からの小言を一つ、法律、校則、お父さんお母さんとのお約束、まぁ所謂ルールはちゃんと守ろう。ルールを守っているという事は同時にルールに守られているという事なんだ。それとルールを破ってやってはいけない事をしてしまってそれが見つかってしまったら、やってしまったキミ達はともかく周りが一番迷惑を被るんだ、実際わたしも色々やらかした事があって多くの人々に迷惑をかけてしまったんだ。何人もの人々がエアガンを手放してしまったしね」

「とやかく言えた義理はないが何人かが18歳以上対象のエアガンを所持していた、それは申し訳ないが預からせてもらった。ただ18になったら絶対返しに来る。幸いにして18歳以上対象である事以外は何も良くない所は無かった」

「まぁ色々やらかした人間の言う事を聞くのもバカらしいと思うが是非とももう一度聞いてもらいたい、ルールは守ろう。幸いにして人間という生き物はルールを破るのと同じくルールを守るのも、見極めるのも得意だ。説教臭くなったけどこれで終わり。今日は楽しかったよ」


 そこから子供たちが帰ったり一部の子は親の迎えが来たりしていた。

 僕たちもクルマを停めていた空き地へ戻った。


「すまないけど銃を回収するよ」


 部長がそう言って銃を持ってきた箱を開けた、僕たちはその箱の中に銃をしまった。


「ありがとうございます、撃ちやすくて当てやすいいい銃でした」


「使いづらかったけど使いやすかったの」


「これ売る予定とかありますか?」


「帰って分解して特に問題無かったから来週から生産体制に入ろうかと思う。その関係でしばらく部活来れないから鍵を吾妻くんにわたしておこう」

「ちなみに一挺5000円+税を予定してる、お求めはお近くの遊戯銃のサカヤ商店まで」


 部長はビシっと店長ちゃんを指差した。


「はい、皆様のご来店お待ちしております」


「それはそうとシイちゃんタマちゃんそれに円くんはウチ以外でもエアガン仲間や代返してくれる友達作りなさいよ。便所飯なんて本校舎のトイレ改装したてで綺麗とはいえそもそもが不衛生だしグルメ漫画が闊歩してる今日日流行んないよ」


「便所飯なんかしてないの!」


 シイちゃん便所飯なんだ……


「じゃあ、帰りますかね」


 ヨウちゃんが言うとそうして皆車に戻った。

 僕はハッとして手を引いた。

 つい乗ってきたワゴン車のドアノブに手を付けてしまった、それを後悔してから意を決して助手席に座った。


「じゃあ帰りますか」


「お母さん、吾妻さん落としてからスーパー寄ってね」


「オーケイ、心ちゃん」


 ん?

 んん?

 んんん?

 お母さん?

 僕は慌てて横を向く。

 何故か真ん中にに心ちゃんがいた。


「なんで鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしてるんだい?」


「もしかして……お母さん! わたしの事言ってないの?」


「言ったっけ?」


「聞いてないです」


 心ちゃんの顔つきが誰に似てるかと思っていたが今部長だとハッキリわかった。


「じゃあ言ってないね、紹介するよ。ウチの娘の心ちゃん」


「母が毎回ご迷惑おかけしてます。他人の事煙に巻いてて大人っぽく見えるかもしれませんけどこの人中身基本アホの10才児なので……年下に接するぐらいの感じでお願いします」


 ますます部長の謎が深まって人物像がわからなくなってきた。

今週のエアガン



電動ガンBOYs M933ショーティーカスタム(鈴羽仕様)

メーカー:東京マルイ(カスタム)


 M933はM4カービン系列の銃でバレルを短くした仕様である。

 電動ガンBOYs M933ショーティーカスタムは実銃に比べ子供の体格に合うように8割サイズにしたものであり、レイルは独自規格の18ミリを使っている。

 鈴羽ちゃんはタンカラーからブラックに再塗装し独自規格の18ミリレイルから20ミリレイルに変更したものを使用している。



電動ガンLIGHT PRO M4CQB

メーカー:東京マルイ


 電動ガンBOYsと違いLIGHT PROは18歳以上用電動ガンと同じ実寸サイズで製造された銃である。

 18歳以上用の電動ガンとは細部が違う仕様でありデルタリングがなくレシーバーとハンドガードが一体化している仕様であり正規ラインナップにないタンカラーも存在している。

 また電動ガンBOYsとLIGHT PROにマガジンやオプションパーツの互換性は基本的に無いので間違えないように気をつけよう。

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