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Welcome to The Jungle Act.3

 破れかかったひさしと軒先にあるヒビの入った看板からそこがサカヤ商店という店である事が伺える。ただ入り口以外の窓にはシャッターが降りていてるし営業中なのか休業日なのか閉店したのか空き店舗なのか全くわからない。

 入り口のガラス戸には男女が銃を持っている写真にMGCと書かれているポスターとその下に銃刀法改正とSTOP改造のポスターが貼られている事からかろうじてガンショップであるとわかった。

 丸さんがここに集合と告知してくれてSNSで地図まで送ってくれた。時刻にして4時半位だ。

 意を決して中に入ろうとすると店のドアが開いた。


「ぴゃ!」


 彼女はわたしに驚いたらしく尻もちをついてしまった。

 年は私よりも年下、油染みをつけたエプロンには(有)サカヤ商店とプリントされている事からサカヤ商店の従業員なのだろう。

 表情は長い前髪に遮られ伺えないもののどうやらころんだわけではなく同時にドアを開けようとして驚いてしまったようだ。


「大丈夫?」


「はい! 大丈夫です」


 わたしはその子に手を貸し、彼女は起き上がる。


「サカター、ころんだのかい?」


 奥から丸さんが現れる。わたしの顔を見るなり壁掛けの時計を確認する。


「もうそんな時間か」


「少し早めに来たんですけどね」


「いいよ、いいよ。サカター、大丈夫?」


「はい、先生(・・)大丈夫です」


「わたし田所……丸さんに呼ばれて来たの」


「サカタです! よろしくお願いいたします」


 サカタちゃんはお辞儀をしカウンターに頭をぶつけ悶絶する。

 サカタちゃんに釣れられて店の中に入る外と比べまた違う異質さがあった。

 エアガンの箱がラックや足元に所狭しと平積みされていてカウンターの隣に置いてあるショーケースには様々なガンが順番としては無秩序だが整理整頓されて置かれていた。

 ショーケース内も平積みのガンも見たことのないレトロなものばかりだ。

 棚の前のカゴにはむき身の銃やパーツが積まれていてショーケースの端にはホルスターが大量にかかっているラックがあり、ショーケースの裏手には作業台があり幾つかのガンが箱に入っている、今までに見たことのないタイプのショップだ。ヤバい。


――――――――――――――――――――――――


「すごい怪しいお店なの」


「ですね」


 僕とシイちゃんは部長に呼ばれた場所、サカヤ商店まで来ていた、メールアプリに地図が添付されていて「5時頃来てね」と本文に書かれていた。

 道中ではシイちゃんとサバゲーに入るきっかけ、シイちゃんはアニメや漫画、僕は午後ローの話をしていた。

 ふと車の気配がして振り返る、オレンジ色の大型車が止まりタマちゃんが降りてきた。大型車はそのまま去ってしまった。


「今のは? 彼氏さん」


 シイちゃんはいたずらっぽくタマちゃんを見る。


従弟(・・)におくってもらいました。あ、吾妻くんとシイちゃんも乗せればよがったですね。気が利かなくてごめんなさい」


「大丈夫ですよ、吾妻くんとおしゃべりしながら歩いてきたし」


「じゃあ入りましょう」


 タマちゃんがサカヤ商店の戸を開け中に入る、僕は慌ててシイちゃんと一緒に入る。

 中にはヨウちゃんと部長と見たことのない女の子がいた、部長と女の子がカウンターの内側でヨウちゃんが売り場側だ。

 彼女は前髪が伸びていて顔の上半分が隠れ所々に油ジミのあるエプロンをつけてカウンターの内側にいる事から多分ここの店主なのだろう、店とは違い偏屈ではなさそうだ。伸びた前髪から表情が伺えないものの多分、同年代だと思う。


「全員来たね」


「まあ田所くんには説明したんだけど、彼女ちょっとした事情があってわたしが面倒を見ているんだ、この店は彼女の親類の店で営業の再開を行いたいとの事で君たちに来てもらった」


「お店の改装?」


 シイちゃんが部長に聞いた。


「それは手配済みだ。どちらかといえば君たちにこの店を広めてもらいたいのだよ。まぁ先代の保管が良かったのかどれも古い銃だがちゃんと稼働するし、稼働しないものに関しては彼女が大体直せる、わたしがそう仕込んだ」


「サカタです! よろしくお願いいたします」


 サカタさんがお辞儀をするが背が低いからかカウンターに頭をぶつけてしまい悶絶している。


「まぁ見ての通りヌケてる部分もやや目立つがこう見えても私のかわいい一番弟子(・・・・)だ、技術力に関しては保証するよ」


「はい」


 シイちゃんが挙手をした。


「どうぞ」


「私達に口コミで広めてもらいたい的なアレだとおもうんですけど、ぶっちゃけ店長ちゃんが表に立ってというか悪い言い方すれば女の子の武器使えばすぐ満員御礼になるとおもうんですけど?」


 つまりは可愛さを全面に押し出してサカヤ商店を流行らせるという事だろう。新歓の時に進められた店みたいなやり方。


「いいアイデアだ。わたしも考えたがただそこも事情があって、彼女まだ学生で学業との両立というところから来てほしいけどあまり多く来てほしくないという理由と彼女君と違ってそういったのには慣れてないんだ」


「じゃあ、しょうがないですね」


「それに専門店はPRIMARY、すみそに屋、新日本兵器廠、LIMITLESS、それと街道沿いの新しい店、山の方にアウトレンジ、取り扱いという意味ならダック、バルクリユースとかこの辺りには同業他社目当ての客が多いからそんな事をしなくても君たちが広めれば自然と集まるし、先代の客も来るだろうしね」

「ところで店長ちゃん?」


 シイちゃんが慌てて口元を塞いで「まずかったですか?」と部長に聞く。


「サカタはどう思う?」


「可愛くていいと思います!」


 店長ちゃんはニッコリと笑った。


「だって」

「あと、みんなに私からのプレゼントあるから。サカタ、出しちゃって」


「はい!」


 店長ちゃんはカウンターの裏側から三つの箱を取り出した。

 どうやら三つともエアガンの箱らしい。


「偕成さんはKSCのベレッタM93スパルタン」

「加藤さんはマルイのコルトM1911」

「田所さんはタナカのブローニングハイパワー」


「それともう一つお願いなんだけどこだわり等あるだろうから各自ゴーグル用意してほしい。ここで買うもよし他所で買うもよしって感じで」

「というか前回買い忘れた上に開成さんは前回買ってて、加藤さんはすでに用意していて田所くんとサカタは経験者たから実質吾妻くんだけだね」

「じゃあよろしくね」


――――――――――――――――――――――――


「ここにガンショップが出来てたのか……」


 去年までは街道沿いにある物流倉庫か何かだった記憶だが10月辺りから改装が入っていつの間にか原色のペンキを塗りたくってその上に落書きの様なペイントが目立つお店になっていた、僕は後輩がやっていたゲームから「スプラトゥーン」と勝手に呼んでいて、多分ストリートファッションか何かの店だとばかり思ってた。オープンは記憶が正しければ今年の3月ぐらいだ。

 改めて店の名前をみるDeckersと書かれていた。デッカーズ?

 ここがガンショップだとわかったのはたまたま置いてあった自販機に僕の好物が置いてあって近づいてわかったのだ、二重の意味でもっと早く気づけばと後悔した。

 僕は興味本位で店の中に入った。中はサカヤとは毛色の違うどちらかと言えばプライマリみたいなお店だ、ただPRIMARY違う点を挙げるなら明らかにこっちの方がオシャレだ、プライマリが全体的に白を基調としてるのに対しここは黒地の部屋に青や紫などの寒色系のペイントをぶちまけているような店だ。


「いらっしゃい」


 痩せ型で髪の毛がもじゃもじゃだか不潔感を感じない店員さんが出てきた。名札には「松岡」と書かれている。

 なんとなくカウボーイビバップの主人公と似てる気がする。


「何かご入用で?」


「サバゲー用のゴーグル、BB弾とエアガン用のガスいい感じので」


「サプライ系はレジ横、マスク系はこちらの方になります」


 店員さんに付いていくと壁一面に様々なゴーグルが並んでいた。フルフェイスやシューティンググラスをはじめガスマスクや狐面、中華風の仮面、ベネチアンマスクなどもあった。


「お客さんサバゲーの方ははじめてで?」


「はい」


「それですと……個人的にはフルフェイス系の方をオススメしたいですね、アイウェアやゴーグル系は格好はいいけど安全性をはじめとした総合力ではフルフェイスに勝るものではないです」


 店員さんは袋詰めされたフルフェイスを見せる、中には仮面型の防弾マスク風ゴーグルがあった、意外と高いものかと思いきや1980円とそこそこ安い。それになんとなくカッコいい。


「他にもフルフェイス系ですとメット型じゃなくて仮面型の方が持ち運びに便利ですね」


 財布の中には1万円入っていて都合使える額はどう見積もっても5000円であったがこれなら抑えられそうだしさっき980円でガンケースが売っていたのでそれを追加で買ってもいい。

 次に僕はエアガンのコーナーを見て回った。

 珍しい事にネットとかだとカスタムガンはAR系ないしAKやMP5系がメインなのだがどういう訳かARやAKと並んでSMGがかなり豊富だ。UZIのカスタムは他では見たことがないしTEC-9の電動なんてはじめてみた。

 SMGが多い影響からストック周りのカスタムも豊富だ。


「ここで買ったのかー」


 新歓の時の隣の子が持っていたMP5が置いてあった。あの子元気でやってるといいなぁ。

今週のエアガン



フルフェイスマスク

メーカー:東京マルイ サンセイ 他


いわゆる仮面型のゴーグル、目元だけではなく口元の被弾も抑える有能で、サバゲーでは主流派だ。湿気で視界が曇らないように排気機能がついていたり、デザインが個性的だったり、千円で買えるぐらい安かったりするぞ。

ちなみにサバイバルゲーム研究部会では吾妻がケブラーマスク型を店長ちゃんと部長がサンセイのをノーマルで使ってるぞ。



バンド付きアイウェア

メーカー:東京マルイ、サンセイ、他


一般的にゴーグルやシューティンググラスと呼ばれる装備でフィクションのサバゲーマーの女の子が付けてるのは大体コレ。仮面型と比べ防護範囲は狭いものの目元と口元が別装備で覆えるからおしゃれさんに向いてるぞ。

シイちゃんはゴーグルに女の子の口元を模った自作マスクを製作中で、タマちゃんは下をシュマグで隠してるぞ。



シールド付きヘルメット

メーカー:


シールド、いわゆるカバーが降りて頭部全体を覆うヘルメットや装備類だ。コレ単体でも防弾は出来るがゴーグルとセットが基本でゴーグルがないと先ずフィールドに入れないぞ。

ちなみにヨウちゃんが米軍の放出品をカスタムして使ってるぞ。

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