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Welcome to The Jungle Act.1

353 名前:ソルジャー774号

TO大サバゲー部って、例えるならコミュニティの一生で「残った凡人が面白くないことをする」の部分


354 名前:ソルジャー774号

>>353

ジャガーノートさんだけは許してクレメンス……


355 名前:春風弾芯◆45o72.1qw

>>353

前にTO大の子とゲーム当たったけどマナーなってないから楽しいどころかすごいヒヤッとしたわ。遅刻はわたしもやったことかるからともかくとして、飲酒やセーフティでの暴発はいただけないわね。


356 名前:ソルジャー774号

>>353

なんでやタクさん派やヒーローズは有能だろ!


357 名前:ソルジャー774号

新堂エリすき、あのデカケツもみしだいきたい


358 名前:ソルジャー774号

>>354

ジャガーノートさんは別所属な


 わたしは画面の向こうで交わされている素早く流れるスレッドをのんびりと芋けんぴを齧りながら眺めながらリロードを押している、TO大というのはわたしが今年から通っている大学の事だ。

 わたしこと偕成シイはオタクだ。眼鏡にジャージを着て半纏をまとって芋けんぴ片手に掲示板を見ている。

 最初に読んだ漫画は従兄が持っていたJESUS、そこからシティハンター、ガンスミス・キャッツ、ワイルダネス。

 自分のお小遣いが使えるようになってからは、GUNSLINGER GIRL、BLACK LAGOON、PEACE MAKER、ヨルムンガンド等を買っては読んでいた。

 ゴルゴ13やマッドブル34みたいな巻数が多くて濃い漫画は漫画喫茶で全巻を私物化するほど読み潰した。

 拳銃神やキリエ~吸血聖女~、THE EDGEみたいな希少(駄作)本は中野まで出張って全巻揃えた。

 映像系はお金がかかるのであまり手を出してないが、美少女ガンアクション3部作と呼ばれるNOIR、MADLAX、エル・カサド、それと古典の攻殻機動隊とカウボーイビバップは劇場版とTVシリーズの両方を網羅し、ルパン三世は実写版2本以外は全部DVDを揃えている。アルバイト頑張った。

 偕成シイという女はガンアクションに焦がれ、憧れている女オタクなのだ。

 つまりサバイバルゲームに興味を示すのは必然なのだ。

 ぶっちゃけ大学を選んだ理由はサバイバルゲームが盛んか否かで選んだ、ウチの大学は学内トーナメントが行われるぐらいに盛んだそうだ。おとうさんを説得するのと勉強が大変だった、辛うじて補欠合格できてすごい喜んだ。

 そこまで頑張ってサバゲー部に入ったのだが……

 一言で言えばダメだった、新歓でさえひどくお寒かった。

 内輪ネタ、アルコールの強要、上級生のヤリモク思考、新入部員の選別、ヒーローズとかいう動画配信者の宣伝動画。

 それだけならまだし何よりもM92とM16がダサいって風潮が蔓延ってるところとARがマイナーとかドヤ顔で言っちゃう教養のなさ。

 じゃあお前等が手に持ってるM4は何だよって聞きたかった。

 わたしは新歓を適当に切り上げて撤収した、初心者お断りみたいな風潮があったのもその決断をするのを助けた。

 人生でこれほど選択を後悔した事は生まれてはじめてだった。


「はぁ……サバイバルゲームしたい」


――――――――――――――――――――――――


 わたしは本当に呆れてこの子を連れ出してしまった。

 呆れた理由はこの子がこき使われてるのを見た上に裏でバカにされているのを見てしまったからだ。

 話を聞くとM4と間違えてM733コマンドを買った事に対する罰ゲームなのだそうだ。まったくわからん。

 そもそも部室の作業はメインが行うべきであり入部届すら書いていない新入生にやらせていいものではない。


「これ、M4ではなかったのですね」


 幸いその子はあんまり傷ついてなさそうなところだ、いやもしかしたら心の奥底で傷ついているのかもしれない。

 勢いで出てしまったがわたしはこの子の名前すらもしらない。

 彼女は背は中学生並に小さく髪の毛はおかっぱでリンゴみたいな頬をしていてなんとなく芋臭い。だからといってバカにしていい理由にはならないしあんな量の仕事を1人でやらせていい理由にもならない。


「わたし、3年の田所。あなたは」


「わたしは加藤。先輩、一緒に部活やめてよかったのですか?」


「あんなバカどもに付き合わんでよろしい」


 加藤さんとはまた会う約束をしてショートメッセージのアドレスを交換してから別れた。

 ただ今後のビジョンについては本当に何も考えてなかった。

 この子がエアガンを持ってなかったらまだ良かったのだが、エアガンおろか、予備マガジンからケース、ゴーグル、バッテリー周りまで揃えてたのだ。

 つまりサバイバルゲームを楽しみたいだけの子なのだ。


「はぁ……サバイバルゲームがしたい」


――――――――――――――――――――――――


 僕は教養課程の数学Ⅰの授業を受けていた筈なのに、何故か教壇には部長が立っていた。


「担当の日野教授は日課のティータイムの為代理で授業を受け持つ事になった、丸だ。まぁ今回2回目ないし3回目位で皆慣れただろうから言っておくけどあの爺さん基本的に菓子で買収できるからな、単位以外でヤバい時とかは美味いケーキとか茶請け、駅前の「ルヴレ」のザッハトルテとか得点が高くてオススメだ、わたしもそのテで何度買収したことか」


 皆どっと笑った。たしかに数学の日野先生というおじいちゃん先生はよくお菓子の話をしていたし、駅前の「ルヴレ」という店の名前の由来が「弾丸」であると教えてくれたりもした。


「あと。わたしが部長のサバイバルゲーム研究部会もよろしくね。リア充軍団のサバゲ部に入れないようなキミたちも歓迎するよ、出欠とるよ」


 丸部長の統計学の授業は意外なほどに普通でかなり分かりやすかった。

 復習位の気持ちで聞いていたが微妙に間違って覚えていた部分が一箇所あったり、各標本抽出法のデータの偏り方や利点、欠点等を教えてもらった。


「キリが良いので授業はこの辺りにしておこう。それと……吾妻円くん、偕成しいなくん、加藤環くんは個人的な用事があるので残るように。解散」


 周りの生徒は教室を後にした、教室に残ったのは僕と2人の女子生徒だけだった。

 1人は僕よりも小さく中学生ないし高校生ぐらいの身長でジーパンとジャンパーを着ていて、頬がリンゴみたいに赤く垢抜けない感じのかわいい子だ。

 もう1人は身体は細っこい感じでジャージを着ていて眼鏡をかけていて眠たげにしていた。怒らせたら怖そうだが顔立ちは美人だ。

 ジーパンとジャンパーの方は大きな布製のケースを荷物に、ジャージの方もポケットのやたら多い大きなボストンバッグを荷物に持っていた。


「吾妻くんはもうこっち側だよね」


 部長が手招きする。僕は部長の側につく。


「さてと、ここに残ってもらったキミ達の共通点は……」


 沈黙が部屋を支配する。


「サバイバルゲーム興味がある」


 なるほど勧誘行為の続きだったのね……

 この2人だけを残した理由はおいておいて行為自体には納得した。


「すごい、なんでわかったの?」


 小柄な子が驚いた。


「すいません、お話し長いようですしちょっとお化粧直ししてきてもよろしいでしょうか?」


 眼鏡をかけた子が先輩に聞く。


「どうぞ」


「わたしも人を呼んでも?」


「是非ともどうぞ」


 2人が外に出て講堂には僕と先輩だけ残っていた。


「ところでなんであの2人だけなんですか?」


 僕は疑問を部長に投げた。講堂にはもっと沢山の人がいるはずだし僕はともかく後の2名を何故名指ししたのか理由を聞きたかった。


「そこはご都合主義という事で」

「ところで仮にあの2人だったらどっちを選ぶ?」


「選ぶ?」


 僕は部長の意図を即座に理解して顔が真っ赤になった。


「……そ、そんな事急に聞かれても」


「恋愛と恥は若いうちに済ませておけってね、言うでしょ?」


 そんな名言聞いたことがない。


「んで、どっちを選ぶ?」


 部長がいたずらな瞳でこっちを見てくる、その選択肢に部長も入っていると言おうかどうか悩み、答えに詰まっているとジャンパーの子と一緒にタートルネックを着た美人さんがやって来た。ナイス。


「早かったね」


 部長がにこやかに対応するがかすかに舌打ちが聞こえた。

 タートルネックの人は髪が長く栗色で目鼻立ちも整っていて背も高い、髪の毛は長く整えられておりきれいな栗色で目は青色だ、髪と目の色からもしかしたらハーフかクオーターかもしれない。ジャージの方の子も美人だがタートルネックの人も負けず劣らずの美人だった、しかも小柄な子と同じぐらい親しみやすそうな雰囲気を持っていてなおかつ大人の女性みたいな雰囲気を持っている。


「わたし、3年の田所葉です」


「吾妻です」


「わたしは加藤環、よろしくです」


「ところでキミはサバイバルゲームはやるのかな?」


 部長は田所さんに質問をする。


「少し前までサバゲー部の部員でした、今は事情があって辞めてますけどサバゲーはやります」


「なら丁度良かった。でももう1人揃ってから話をしたいんだ」


「おーまたせしましたのー」


 すごい明るく甘く美しい声が教室に響いた、声量はともかく声質がすごく響く声だ。

 振り返るとそこには黒を基調としたシックな服に身を包んだ笑顔の美少女が立っていた。ジャケットに革製のコルセット、黒いブーツにリボンタイ、なんとなくアニメや漫画のヒロインみたいだ。


「えっと……偕成さん?」


 僕が彼女に聞いた。加藤さんがそこにいて吾妻が僕なのだから消去法的に偕成さんとなる。

 それと髪の毛や目元等僅かながらにジャージの子の面影が残っていた。


「お隣いいー?」


 偕成さんは僕の隣に座った。かすかに甘酸っぱいいい匂いがする。


「うーん、ケレン味しかない天晴な姫っぷり……じゃあ全員揃ったところで改めて、是非ともキミ達を我がサバイバルゲーム研究部会へ招聘したい」


「大学に3年いるけどサバイバルゲーム研究部会なんてサークル(・・・・)聞いたことないわ」


 田所さんが部長に聞いた、たしかにサバイバルゲーム研究部会という名前は部長と逢うまで聞いたことがなかった。


「サバイバルゲーム研究部会自体は由緒正しい部活動(・・・)だよ。不安なら学生課にでも或いは日野教授辺りにでも聞いてみるといい」


「また財政に関して言えば少々変則的な手法をとってる」


「わたしが設計したガンパーツの売上で基本的には部費及び遠征費は無料という事にしてある、ぶっちゃけわたしの財布から出てると思ってくれていい。だからあんまり期待しないでほしい」


「最後に聞きたいんだけど貴方は誰?」


「すっかり自己紹介が忘れてたね。丸全だ」


「……もしかして「なければ作ればいい」の丸さん?」


「その台詞は実際には言ってはいないが、多分その丸さんだ」


「部長って有名な人なんですか」


 僕は田所さんに聞いた。


「エアガン界で超有名な人よ。たとえば江崎グリコや永里レンみたいにゲーマーやレイヤー、コラムリストみたいに表舞台で有名な女性ならそこそこいるけど……製造関係みたいな裏方で有名なのって先ず彼女だけよ……っていうか女とは思ってなかったし同じ大学にいるとも思ってなかった」


「あ、握手してもらっても?」


 田所さんは部長と握手をする。


「そういう事でわたしはともかくとして部には出自に関して言えば特にやましい事はないよ」

「わたしは気が早いから全員入部したとみなして話の続きを行おうと思う。早速で悪いが加藤さんのそのケースの中身を検めさせてもらっていいかな?」


 加藤さんはケースの中からライフルを取り出した。

 一瞬M4かと思ったがキャリングハンドルが外れないタイプなので「アブダビ・カービン」かその近縁種であろう。


「M733だね、ちょっと失礼」


 部長はM733を構えたり弄ったりしている。


「申し訳ないがしばらく預からせてもらっていいかな?」


「なんでですか?」


「多分ミミ(・・)が折れてるからちょっと修理しておくよ」


「よくわからないけどよろしくおねがいします」


「ここに丁度暇を持て余したサバゲ初心者3名、上級者1名がいるわけだ。上級者の田所君にサバイバルゲームの必要なものとかを説明してもらってる最中にミミの再建手術をしてこよう」


「いってらっしゃい」


「さてと、吾妻君に田所さんに加藤さん……わたしの事は気軽にシイちゃんって呼んでねー」


「はい、よろしくおねがいいたします。わたしはタマちゃんでいいですよ」


「それならわたしはヨウちゃんでいいよ」


「じゃあ早速必要な物から挙げていくよ。メモとらなくても後でまた言うから」


 僕はメモを取り出した。


「メインアーム、サイドアーム、ゴーグル、ウェア上下、エルボーパット、ニーパッド、グラブ、ヘッドギア、ブーツ、タクティカルベスト、タクティカルベルト、ホルスター、スリング、メインアームかサイドアームが電動ガンならバッテリーと充電器、放電器、ガンケース、バッグ」


「どれがいちばん重要ですか?」


 僕はヨウちゃんに聞いた。


「メインアーム、サイドアームって言いたいけどやっぱりゴーグルかな? 安全装備は大切だしね」


「その次にウェア上下、ブーツ、グラブまぁいわゆる手袋ね。この次にはじめてガンよね」


「ぶっちゃけガン忘れてもフィールドには入れるけどゴーグルは忘れたら入れてすらもらえない場合もあるから気をつけてね」


「どういうのがいいのー?」


 シイちゃんがヨウちゃんに聞く。

 ヨウちゃんはスマートフォンを弄って画像を見せてくれた。

 僕たち3人は画面を見る、画面は何かのブログらしくシューティンググラスとゴーグルとフルフェイスのゴーグルが写っていた。


「ゴーグルの種類は3種類あって、シューティンググラス、アイウェア、フルフェイスがあって、それに加えメッシュとガラスの2パターンがあるの」


 スマートフォンをスクロールするとガラスのゴーグルと金属網のゴーグルの2種類があった。


「ここで注意しないといけないのはシューティンググラスは基本ゴムバンドとセットってところね」


「落ちないようにですか?」


 僕はヨウちゃんに聞いた。

 前回の反省を踏まえて実はこっそりと予習していたのだが実際にやってる人の話を聞くと足りないものが多かったりする。


「正解。基本安全装備は落とさないようにするのが重要よね。あとアイウェアとシューティンググラスは口元の防護用マスクも欲しいわね」

「メッシュの利点は何もしなくても曇らない事、欠点は時たま使用禁止のフィールドがある所。ガラスの利点はデザイン性がいいのが多い、基準を満たせば基本使用禁止が無い、欠点は曇り止めか排気しないと曇る所ね」


「メッシュは使用禁止なのですか?」


 タマちゃんがヨウちゃんに聞いた。


「時たまなんだけどBB弾の破片が入る事があるのよ。フィールド側がそれを嫌がって禁止にしてる場合もあるって程度ね」


 ヨウちゃんは目を指差しながら説明を続ける。


「次にウェア周りなんだけどやっぱりここは拘りたいよね」


 ヨウちゃんはまたスマートフォンを弄って画像を見せてくれた。

 そこには様々な迷彩服やアーマーを着た人が多数映っていた。


「わたしはデザート、ウッド、室内用シティカモってあるけどとりあえずは一着は必要よね、無難に行けば黒かウッドかな?」

「ブーツとグラブは怪我しないようにいいのを買ったほうがいいのとやっぱり合わせたほうが雰囲気が良くなるし気合が入るのよね」

「エルボーパット、ニーパッド、ヘッドギア、タクティカルベスト、タクティカルベルトは雰囲気作りという側面もあるけど射撃の命中にも若干寄与するわね」

「ホルスターとスリングは雰囲気作りというよりもこっちは実用重視ね、メインアームとサイドアームの切り替えが楽になるよ」


 ホルスターとスリングの有用性は十分に理解しているつもりだ。


「ガンケースとバッグはマナーという意味では必須ね。銃持ってウェア着て街中歩けないでしょ?」


「確かに」


「そうですね」


「なの」


「ここからがちょっと重要だけど、バッテリーの管理は結構重要なのよね。基本的にはニッケル水素かリポバッテリーの2種類ね」

「ニッケル水素、これはいわゆるメーカー純正。定期的な充電と、使い終わった後の充電、つまりは電気を切らさない事が重要ね。まぁ説明書の通りにすればとりあえずは安全ね」

「リポは便利で楽だけど初期投資がそこそこかさむから初心者には手を出しづらいわね、あと扱いを誤るとバッテリーや銃が焼ける。ちょっと前に銃を焼いた奴いるしね」


「こわいのー」


 シイちゃんがオーバーリアクションで驚く。


「扱い間違えたり落とすと化学反応起こして発熱して燃えるからねー。その分性能はいいし継ぎ足し充電も出来るんだけどね。わたしも使ってるから一応やり方は教えられるけどね」

「次はガンの種類だね。電動、ガス、エアーの三種類が基本。電動はさっきの話に出ていたバッテリーや電池で動く銃、ガスはエアガン用のガスで動く銃、エアーはバネの力で空気を押し出して動く銃」

「電動はこういったメインアーム」


 ヨウちゃんはカスタムされたM4カービンの写真を見せてくれた。HK416風のカスタムらしく小さくまとまっているがかっこいいし強そうだ。HK416風のワイヤーストックと大きいアングルドグリップとホロサイトが目を引く。


「ガスはサイドアームやグレネードが多くて、ボルトアクションやショットガンでガスのもあるね」


 次の写真はフラッシュライトのついたベレッタPX4を構えたヨウちゃんが映っている。


「エアーは10歳以上向けやショットガン、ボルトアクションアクションライフルとかかな?」


「ちなみにそれ以外だとエアータンクや炭酸ガスみたいな外部ソースや物理投擲型もあるよー」


 振り返ると部長がケース片手に話に混ざっていた。


「あ、部長おかえりなさい」


「ただいま」

「直したついでにグルーピングもやっておいたよ」


「ありがとうございます」


 タマちゃんが可愛らしい動きでお辞儀をする。


「そういえば丸さんってバッテリー何使ってます?」


「基本ニカドかな、ニッ水やリポなんかも使うけどね」


「今どきニカドなんて使ってるんですか!?」


 ヨウちゃんが驚く。


「色々と貰ったりしてね。ちゃんと使えるのは大体各種20本位はある」


「ニカドって?」


 僕は部長に聞く。


「ニッケルカドミウム蓄電池の略称だね。まぁ今使ってるのはものぐさの私ぐらいなものだから扱い方は各自調べるとして、わたしが使ってる理由は保存が楽だからという理由さ。長時間かまってやれなくても扱い間違えなきゃそんなに拗ねないのがいいよね」

「さてと、みんな時間あるでしょ。あるって言いなさい」


 部長が悪そうな笑みをわずかにこぼし、改まって皆に聞く。

 皆一様に肯定する。


「装備買いに行こうか?」


「「「「えっ」」」」

今週のエアガン



ニッケルカドミウムバッテリー

メーカー:東京マルイ、他


 通称ニカドバッテリー、古参のサバゲーマーには懐かしさを覚える、いわゆるレトロ装備。

 使用するにあたって必要なもの

・ニカドバッテリー

・ニカドバッテリー用充電器

・ニカドバッテリー用放電器

 扱い方

・サバゲー使用後または箱出し時に放電器につないで放電する

・サバゲー前日に充電する

・エアガンにつながずフィールドまで運ぶ

・サバゲーで使う

 部長が扱いやすいと言っていた理由は充電放電以外の作業に気を囚われなくて済み単純な事を言えば電池がカラの状態で保存できるという理由からだと思われる。



ニッケル水素バッテリー

メーカー:東京マルイ、他


 通称ニッ水バッテリー、いわゆる標準仕様のバッテリーで大体どこのガンショップに行ってもマルイの純正品が置いてある。ニッケルカドミウムと比べ容量が高くメモリー効果を心配する必要が薄い。

 使用するにあたって必要なもの

・ニッケル水素バッテリー

・ニッケル水素用充電器

 扱い方

・サバゲー使用後または箱出し時に充電する

・エアガンにつながずフィールドまで運ぶ

・サバゲーで使う

・長時間使用しないときは2ヶ月に1度位充電を行う

 登場した当初はサードパーティ製ばかりでわかりやすい解説もなく保管方法が暗中模索だった時代があったものの、今では純正の説明書を読んで、2ヶ月に1度位の充電さえ守っていれば安定した性能が出せるバッテリーである。

 ただ定期的に充電しないと過放電で使えなくなる難点がある。

 また金口が合うがニカド充電器での充電をすると発熱、発火の原因となるので注意が必要だ。



リチウムポリマーバッテリー

メーカー LayLax、他


 いわゆるリポバッテリーと呼ばれる物。ニッケル水素バッテリーと比べ容量が更に高く出力も高くなっている次世代型のバッテリーである。

 使用するにあたって必要なもの

・リチウムポリマーバッテリー

・バッテリーチェッカー&バランサー

・リチウムポリマー用充電器

・セーフティバッグ

 扱い方

・箱出しのリポバッテリーをバッテリーチェッカー&バランサーにつなぎ電圧が3.5V以上であることを確認し、3.0V以下であれば初期不良品であるので交換し、3.5V以下であれば電圧を整え即座に充電を行う、初期の基本または保管時の電圧はは3.7V~3.9Vである

・各セル(電気の保管場所)の電圧差が0.1以下であることを確認し、0.1以上であればバランスモードを起動し電圧を整える

・使用一日前にセーフティバッグにバッテリーを入れ充電器につなぐ、セーフティバッグに入れる理由は衝撃や化学反応等で発火しても被害を拡大させないため

・セーフティバッグに入れフィールドまで保管する

・サバゲーで使う

・セーフティバッグに入れ自宅まで保管する

・使用後にバッテリーチェッカー&バランサーを使用し3.7V~3.9Vまで放電する

・2ヶ月に一度電圧を確認し3.7V~3.9V辺りになるまで充電を行う

 注意事項

・動きが鈍くなったら即座に使用中止

・電池が変形したら使用中止し規定の方法で処分

 最新鋭のバッテリー、電圧が高くエアガンのレスポンスも良くなるが同時に移送や保管に細心の注意を払わなければならない。またこのバッテリーの特徴として充電コネクターと出力コネクターの二つがありニッケルカドミウムとニッケル水素みたいにバッテリーや充電器を混同しなくて済むという利点もある。

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