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New Tribe Act.1

 サバゲー部でしばらく過ごして大体の勢力図がわかってきた。

 わたしが所属している主流派にはカジュアルにサバイバルゲームを楽しみたい人々が集まっていて。わたしを含めた半数以上の部員を4人の幹部がまとめている。

 1人目は久間田さん、ゲーマーとしての技量はそこそこ立つ(・・・・・・)らしい。部員や他の幹部をまとめるまとめ役で体育会系特有の面倒見の良さを備えるゴリマッチョだが見てくれは爽やか系の偉丈夫だ。あまり関わりがなくそれ以上の詳しいことは知らない、学年は3年。

 2人目は女子チームの実質的なリーダー格の皆元さんだ、彼女はゲーマーとしての技量は上の下くらいだが彼女の真価は初心者への初歩的なマナー指導、部内部外のトラブル仲裁等の目立たない部分や裏方での活躍の諸々である。外観は凄く大人しく真面目そうなショートボブの女性だ。ただ彼女もあまり関わりがなく久間田さんほどじゃないにしろそれ以上の詳しいことは知らない、学年は3年。

 3人目は実質的なナンバー2とされている滑川先輩だ、先輩ははゲーマーとしての技量は下の上位の実力だが調達やマネジメント等が専門で主流派が主流派になった主因とも言って差し支えない。ゲームのセッティングから装備品の見立て、部費、消耗品等の調達、管理、戦術講義、ビデオ撮影等をしている。猫背のガイコツに眼鏡とチェックのネルシャツを着さてノートPC持たせれば大体滑川先輩だ、見てくれは根暗なオタク風だが付き合ってみる以外と楽しくジョークを口に出したり薀蓄も豊富な面白みのある人だ、学年は院2年。

 4人目はタクさんという人だ、見てくれは金髪ロン毛とやや色の浅いガングロでハーフミラーグラスを付けている骨付きのしっかりしたチャラ男を想像してくれれば大体それだ。顔が広く企画(・・)人集め(・・・)が得意でデッカーズ(ウチの店)ではないけど別のショップの店員やっているらしい。学籍上は3年だが留年してる影響から少なくとも皆元さんや久間田さんよりも年上らしく、久間田さんにまとめ役を譲っていて他3名と優劣が無いように見せてるが実質的な主流派のボスはタクさんであると思う。

 ちなみにあの新歓はどうやらタクさんの一存ではないそうだ、部内ではタクさんが責任をおっ被って決着がついたらしいが。

 それ以外の2つの派閥にも考察を入れておく。

 部長派、元々のサバゲー部の古参部員たちの派閥。ディープに愉しむ人々が少数集まっている感じで、およそ30名近くが所属しているそうだ。

 ヒーローズ派、ヒーローズとそのフォロワー集団を集めた派閥。こっちは部長派とは対照に2年や1年の若手が主体となっているそうだ。ちなみに例の新歓を仕組んだのはこいつら。

 話しを戻すがわたしは主流派の運営に潜り込み今はタクさんの元で使いっぱしりをやっている。


「んで、なんでわたしがこんな格好してるんスか?」


 自問自答しながらわたしこと後藤希子は月曜の昼間からバニーガールの格好させられて『WELCOME To TOUOU University Devil Dogs!!』と書かれたウェルカムボードを持たされて校内に立たされている。

 辛うじてジャケットは許されたものの、胸元は空いているし、ハイレグがきついし、ハイヒールのせいで土踏まずが吊ってるし、食い込んでるし、目立つし、恥ずかしいしで最悪だ。

 予定よりも大分過ぎた頃に奥からデカい外国人の一団の4人ががやってくる。彼らのもてなしがわたしの役目で英語を喋れる(・・・・・・)という理由からだ。

 彼等はタクさんがアメリカから呼び寄せた教導隊(アグレッサー)で、米軍の就学プログラム生としてウチの大学に在籍するらしい。

 メンバーはリーダー格と思われる金髪角刈りグラサン「ダニエル・G・ワシントン」、短髪ながらもアフロ気味で目がデカイ黒人「エドワード・ジェファーソン」、スキンヘッドの美形な黒人かラテン系かネイティブアメリカン「ハーマン・アダムス」、堀の深い顔立ちに黒髪の天然パーマと初代ランボーのスタローン似「ジョニー・ハリスン」の4人だ。

 ここで愛想悪くしては誰も特をしない。


「キミ達海兵隊員?」


「ああ」


「マジかよ、俺らこんな歓迎されてるのか!」


「ようこそサバゲー部に」


「キミ英語喋れるのか?」


「もち」


 金髪グラサンがグラサンを外して言う、戦場帰り特有の眼力がありつつもどこか優しげな眼をしていた。


「ぶっちゃけ、それ上司の命令だろ?」


「あ、バレた?」


「上司がアホだと辛いな」


 意外と話せる奴でよかった。


「こっちとしてはM4で大学行けるなら何でもいいんだよ、付き合ってはやるから適当な所で切り上げてくれよ。ただ私服でも付き合ってくれるなら歓迎だぜ。ニホンに詳しいやついねーしこちらとはいつでも美女は歓迎だしな」


 そうと決まれば、最早こっちのものだ。

 男4人を引き連れて歩く、途中でメイド服と学生服を着た外国人ぽい2人組の美人が『教務課棟はどちらでしょう?』としっかりとした日本語で聞いてきたので丁寧に教えた。メイド服の方は白人の金髪でシニヨンヘアで長髪を結っている、学生服の方は男かという位に身長が高くメイド服と打って変わり国籍不明系のエキゾチックな顔立ちだが目鼻立ちは整っていて男ウケしそうな美女だ。つまりどっちも美人の2人組だ、こんなナリであらば1人でも大学では目立つであろうが両名共に見たことがない。


「この大学ってアンタやさっきの美人コンビみたいなあんなのばかりなのか?」


 ダニエルが聞いてきた。


「100人中3人が多いと見るか少ないと見るかだね」


 わたしはニッコリと返した。


――――――――――――――――――――――――


 授業が終わったので僕達は部室でミーティング(ヒマつぶし)をしていた。

 この時間帯はいつもなら部長+部員4名全員がいるはずなのだが、4人に加え今日は学校帰りの心ちゃんと店長ちゃんも来ている。ただ先週の半ばぐらいから部長の顔を全く見ていない。

 旧工学部棟と呼ばれているこの校舎はかつては様々な機材や設備を使った実験研究棟であった、工作室のあの一連の工作機械類もそれのひとつであったそうだ。部長曰くアルミ缶のリサイクル機と金属3Dプリンターの複合機だそうだ。

 サバイバルゲーム研究部会は地下の全区画を使っていて北側の3部屋はぶち抜きで繋がっていて工作室と部室があり、南側には例のゲームをした倉庫以外に2つ部屋があり部長曰く「全部私物のガンとか入れてる」そうだ。どんだけ持ってるんだあの人。

 それ以外に地下にはトイレと階段裏の給湯室がある。

 部室にあるものは工作機械の他には店長ちゃんとタマちゃんがコルト・コマンドーの整備作業をしている作業台と僕が心ちゃんに宿題を教えていてその向かい側で店長ちゃんが帳簿をつけている作業台の2つ、壁際に置いてある角度がキツイ製図台を乗せた事務机、ヨウちゃんが家から持ってきたベレッタを撃ちまくってるシューティングレンジ、ちなみに僕たちが入部してから危ないとの事で単管パイプと分厚い遮光カーテンで区切られて使用中/未使用とデフォルメされた「ミニ部長」が喋ってるプラ製の看板がついた。知恵熱を出してダウンしたシイちゃんが休んでいる俗に部長席(・・・)と呼ばれている革張りのソファとローテーブルとその下に敷いてある4畳分の新品の柔道畳とコタツ、ビデオ再生専用のプロジェクター機とスクリーン代りのホワイトボード、部長コレクションの一部であるエアガン雑誌やカタログが平積みされたり並んでいたりする本棚、部長ストックと呼ばれる非常食料の山と冷蔵庫、シイちゃんの熱望で付けられた更衣室等がある、部長ストックは常識的な範囲内で食べた後に片付けるという条件下なら部員(と店長ちゃんと心ちゃんなら)食べていいそうだ。

 特筆すべき事として部長は絵心もあるらしくよくよく探してみると部内のあちこちに部長のデフォルメのキャラ「ミニ部長」がいて注意事項や禁止事項の説明をしてくれている。ミニ部長達はみんなが部活に入った頃から現れ始めた。

 ちなみに僕は作業台で心ちゃんに宿題の解説をしていた。僕が来る前にシイちゃんが顔を真っ赤にしながらウンウン涙目でうなりながら宿題を手伝っていた、僕が来た途端に泣きそうな顔で「選手交代なの」とつぶやいて、ふらふらと部長ストックのポカリスエットを冷蔵庫から1本抜いてソファーに倒れ込んで今はコマンドーを見てる、丁度「とんでもねぇ、待ってたんだ」のシーン。

 そんな事から僕が代わりに宿題を手伝っていた。宿題自体は僕の得意分野の数学なので、説明を交えながら心ちゃんに解説する。


「吾妻さんって先生向いてるんじゃないですか?」


「心ちゃんの理解が早いおかげだよ」


 心ちゃんは理解が早く一を教えれば十を知るぐらい聡明であった。

 タマちゃんが「皆さんまたあした」と言ってガンケースを背負って部室から出てた。

 なんの変哲もない穏やかな午後であった。


「たのもー!」


 「バァン!」という擬音と共に可愛らしい声が部内に響き渡る。

 僕は少し驚いて入り口の方を向いた、入り口には学生服とメイド服を着た外国人の女性が立っていた、白人の金髪のステロタイプ的なメイドと女性にしては背の高い彼女よりも一回り大きい学生服の色黒であるが人種不明系の銀髪の美人だ。

 シイちゃんが何かに反応したようにキョンシーみたいにむくりと起きて荷物を持って更衣室に向かった。

 ヨウちゃんは多分イヤーマフを付けながら射撃してるのでそもそも気付いてないと思う。

 つまり部内でこの2人組に対応出来るのは僕と店長ちゃんと心ちゃんだけで、正式な部員は僕だけなのだ。

 店長ちゃんが髪の毛の奥から目配せで「行け、行け」と言っていて、心ちゃんは宿題に集中している。


「何の御用でしょうか」


 僕は2人組に聞いた。


「入部! 2人! なる早で!」


 学生服の方がまくし立てる様に喋る。


「主様とわたくしめのサバイバルゲーム研究部会への入部についてお伺いします」

「詳しい内容は加藤様(・・・)に信書を通して話を通してあるはずですが……」


「とりあえず入部届……」


 メイドの方がが2人分を提出した、中々に手際がいい。

 僕は部長から教えてもらった事務机の中の引き出しからサバイバルゲーム研究部会の受領印を出して二人の入部届を確認する。


「えーとジブリール・ベン・ワイさんとシャルロッテ・クェルさんでよろしいですね」


「ええ、はい」

「うん!」


 そうしてから判を押す。


「じゃあ提出してきます」

「それとシイちゃん後よろしくね」


 更衣室のカーテンが勢い良く開いた。そこにはバッチリとキメたシイちゃんが立っていた、いつものシイちゃんでありながらもやや暑くなってきたので半袖でスカート下はタイツではなく白靴下にブーツの代わりにローファーという出で立ちだ。


「はい、任されましたの!」


 シイちゃんは敬礼ポーズをビシっとキメた、やる気モードに入ってるらしくその証拠に動きが機敏だ。

 僕はとりあえず安心してから部室を後にした。

 小脇に入部届を抱えて教務課へ向かう。

 教務課へ向かう途中に多分米軍の就学プログラム生の一団とそれを率いているバニー姿の後藤さんを見た、見た瞬間に後藤さんが顔を赤らめて「あっち行け」的なジェスチャーをしたので興味のないフリをしてやり過ごした。意外と着痩せするタイプなのね……

 教務課へ行き女性の職員さんに書類を提出して事務処理を終えるまでソファーに座って待っていた。

 その間に教務課をせわしなく何かを探してる風の一団を見つけた。男子生徒2名がせわしなく解散して集合してを繰り返す。

 それを2回ほど目で追ってる合間に事務処理が終わったみたいで入部届が返却されて「一応個人情報ですので」との事で2部の封筒に入れられて返えってきた。この中に入っているのは入部届の控えであろう。


「あなた達は次は授業棟をおねがい、わたしはもうしばらくこの辺りで聞き込みして回るから。20分後に部室に集合」


 男子2人に女子が指示を出し男子達はそのまま外へ向かった。


「あーえーと、そこの1年の君」


「僕ですか?」


 彼女が僕に「中東系の男女を知らないか?」と聞いてきた。


「特に見てないですね」


「そう、ごめんなさいね」


 その彼女(・・)が新堂さんだと気づいた時には既に新堂さんは遠くに行ってしまった。

 新堂さんの事は置いておいて僕は中東系の男女の話を頭の片隅において部室に帰宅した。中東系というからには男女共に眼力のある人で男はシェグマ、女はヒジャブでも付けてるんだろうなと思った。

 外国人と言えば今教務課へ行った理由もそういや外国人関係だなと思った。


「いや、まさかねー」


 そもそもウチに来てるのは女二人だし、そもそも先ず中東系(・・・)ではないしましてや男女(・・)でもないし中東系特有の眼力も感じない。

 そういやもう一組外国人の集団がいたなぁと思い出して、鉢合わせしないように普段通らない教室の中を突っ切ろうと思って入ったら鉢合わせしてしまって気まずいまますれ違った。ごめんよ、決してバニーが見たくて探してたわけじゃないんだ。

 部室に戻るとシイちゃん、田所さん、心ちゃんとジブリールさんとシャルロッテさんが和気あいあいとお茶会を開いていた。


「店長ちゃんは?」


「部長探しの旅に出たのー」


 僕の席が丁度開いていたのでそこに座る、見たことのない形の具体的に二段重ねの金属製ポッドとバーナーでシャルロッテさんがお茶を沸かしてた。


「丁度お茶が湧きました、吾妻様もどうぞ」


 シャルロッテさんが手早く皆のお茶を淹れる、ヨウちゃんは無骨なステンレスのマグカップ、シイちゃんはネスカフェの赤いマグカップ、心ちゃんは部長とおそろいの湯呑み、僕はデッカーズで買ったベレッタのマグカップだ。シンプルな三本矢が特に気に入っている。

 シャルロッテさんとジブリールさんは透明なグラスだ。

 お茶請けはタマちゃんが用意してくれていた饅頭と足りない分は部長ストックのチョコバーで補っていた。


「入部届は受理されたみたいです、内容は確認しておきます?」


 ジブリールさんが封筒を受け取って確認してからシャルロッテさんに渡した。その動作は王様と家来みたいな感じだが不思議と嫌味はまったくない。


「あ、アズマには自己紹介まだだったよね! 僕はジブリールでこっちはシャルロッテだよ、気軽にジブって呼んでね。様付けとかNGだからね」


「吾妻ですよろしくおねがいします」


 お茶に口を付ける。先ず甘みが来て次に刺激が来たてからやや遅れて紅茶の風味と牛乳のまろやかさが来た。1口飲んだだけでで欧米系の紅茶ではない事は一目瞭然であった。かといって不思議と味には親しみを覚える。


「あ、そーだ。銃、銃、一番いいの! それと銃」


「この辺りで銃砲店また武器商人の伝手とかはございますか?」


「じゃあ、みんなで行こうよ、店長ちゃんと部長は……」


「わたしは宿題あるから残ってますよ」


 心ちゃんが提案してくれたので留守番を頼んだ。

 僕は残っている心ちゃんに部長向け、タマちゃん向けとそれと店長ちゃん向けの書き置きを残しておいた。そもそもタマちゃんは知り合いなのになんで挨拶もせずに帰ったんだろうなと思ったりもした。彼女の性格上そういう事は先ずしないはずなのに。

 ヨウちゃんのゲレンデワーゲンに5人で乗り込む。

 なんだかんだで車を出してもらってばかりなので今度何かしらのお礼をしようかと思う。

 PRIMARY(プライマリ)、すみそに屋、ダックホビー、新日本兵器廠と行ったことのないアウトレンジという山の方にあるお店も回った。シャルロッテはPRIMARY(プライマリ)でソードオフ・ショットガンと予備のショットジェルを八個それに頑丈なAKとフルメタルのマガジンを4つとドラムマガジンとバッテリー周り一式を買い、新日本兵器廠でチェストリグと迷彩服を買った。


「ダメ、全然ダメ」

「もっと強いのじゃなきゃヤダ」


 ジブリールはむくれながら後部座席中央で怒ってる。

 行く店、行く店で「一番最強なの」と指定して出された銃に対して不満だそうだ。


 PRIMARY(プライマリ) M4A1 ALPHAカスタム 63800円

 すみそに屋 M249 バリバリモーター&マガジンスイスイ 82500円+1万円割引クーポン付き

 ダックホビー 東京マルイ SGR-12+ドラムマガジン 72000円

 新日本兵器廠 MG42+電動ドラムマガジン 148000円

 アウトレンジ VSR-10 100Yard Killer 56000円

 以上のが各店舗で勧められた一番最強なのだ。


「ミニミや電動ショットガン以上となるとなー、こっちはネタ切れ。あとはサカヤかねぇ?」


 僕はもう1つ店を知っていたので田所さんにその場所を指示した。

 そう、デッカーズだ。

 それともし僕の推測が合ってるなら多分ジブリールの「強いの」が何なのか解ってると思う。

 デッカーズに入った瞬間にジブとシイちゃんは目を輝かせた。

 ヨウちゃんやシイちゃんも驚いていた。


「今日はお友だちも来てくれたのかい?」


 松岡さんが出迎えてくれた。


「彼女の装備なんですけどM4以下のサイズの銃、カービン……いやPDWやSMGクラスでいいのって何かありませんかね?」


 僕はジブリールを松岡さんに紹介する。ジブリールは「はじめましてー」とにこやかに挨拶する。彼女のいいところは常ににこやかというところだと思う。

 松岡さんやジブリールと一緒にガンコーナーを見て回る。

 ジブリールが一番評価していたであろう銃はM4だがそれでも彼女は「大きい」と却下したのだ。それに他の銃はM4よりも大きい銃ばかりであった、たしかに大きい銃は強いのが定石ではあるがジブリールが本当に欲しかったのは小さい銃なのであったと考える。


「一般的に勧めるならP90、βスペツナズ、ハイサイクル(HC)でいいならパトリオット、MP5KHC、ステアーHC辺り、後はガスブロの小さいのやエアー系のショットガンだろうけど……個人的にはこれを勧めたい」


 松岡さんはラックにかかってあったあるカスタムガンを手に取った。それはVz61のカスタムガンで木目調のピストルグリップとAKMSU風のフォアグリップが美しい。


「スコーピオンだね!」


「よくご存知で。ベースはマルイの電動コンパクト……特に注目してもらいたい部分はっと」


 松岡さんはスコーピオンのフォアグリップのサムホール部分をL字レンチで弄る、フォアグリップが外れそこには小さなネジ穴以外何もなかった。


「これ外部パーツ扱いで、外せばノーマルに戻せるってところだね。もちろん付属のレイルもつけられるよ」

「それと初心者はバッテリー管理が難しいだろうから純正の充電放電機しかないこのタイプを勧めておきたいのと同時にカスタム品を買うことによって銃に対しての愛着を持ってもらう事も重要」


 松岡さんの言ってることには確かに一理ある。


「電動コンパクトの他の種類で行くとMP7やスコーピオンmodMはカスタム部分が多いけどその分タクティカルすぎるきらいがあるのと。MAC10ぶっちゃけオススメしないね、グリップが握りづらい、セレクターが二種類あってSMGのくせに片手での操作が困難、ストックの展開が面倒、カスタムパーツ自体多いけど20ミリレイルやキーモッド対応はほぼ皆無とデメリットばかり多いので80年代に戻ってまで悪役になりたいとかいう理由が無い限りオススメできないね」


 松岡さんの説明に少し笑った。たしかにあの時代の映画の悪役は大体MAC10を持っているイメージだ。

 松岡さんは手元でフォアグリップをスコーピオンに手早く組み直す。


「よければ試射の方もどうぞ」


 松岡さんが白人の方の店員さんにジブリールを任せた。

 松岡さんが耳を貸せとジェスチャーする。


「そういえば、だけど……キミって結構モテるの?」


「え、なんでです?」


「いやぁ、あんなに女の子集めて来たのキミが初めてだよ。普通は男女比逆かそもそも女子がいないよ」


 言われて気がついた、新歓では男女混合で並ばされていたが分母数が少ないとは言え男女比でいえばサバゲー部よりも女子が多いのか。


「言われて今気が付きました」


「やっぱり、何というかハーレムと言うよりか純粋な友人関係って感じだしね」

「あとついでに一応忠告しておくけどあの子だけはやめておいたほうがいいよ」


 松岡さんはジブリールの方を向いて言う。


「何故?」


「うん……本人の名誉の為に言わないでおくけどとりあえず止めておいたほうがいいかなって感じで」


 ジブリールは近寄りがたい雰囲気というよりはシイちゃんみたいに親しみやすい雰囲気を持っている、どちらかと言えばシャルロッテさんの方が近寄りがたい雰囲気だ。

 よくよく考えてみれば、メイド付きという事は裏を返せば身分やスキャンダルの問題を防ぐためとも見て取れる。ジブってどこかの会社の御曹司か何かかな?


「肝に銘じておきます」


「まぁ友達ぐらいならお互い傷つかずに済むでしょ」


 松岡さんはそう言うとレジの方に戻った。

 入れ替わりにヨウちゃんが話しかけてくる。


「いつの間にこんな店が生えてたなんて……」


「今年の3月ぐらいから営業してましたね」

「ヨウちゃんとしてはどうです?」


「銃自体はそこそこだけど女の子向けの装備が特にいいね、わたしもレディースのチョコチップ買ったし、シイちゃんなんかずっと悩んでるよ」


 ヨウちゃんの視線の先にはシイちゃんが財布とにらめっこしていた。

今週のエアガン



PRIMARY M4A1 ALPHAカスタム

メーカー:PRIMARY


 PRIMARYが東京マルイ製のM4A1R.I.Sにモーターの変更を始め、電子制御スイッチ、高集弾バレル等を施しPRIMARYオリジナルのガンケースと通常のマガジンに加え多段マガジン1本もセットにし独自の保証書をつけた初心者向けのハイカスタム。お値段高めながらも性能も非常によくこの辺りのサバゲーマーのハイスタンダードとなっている。ちなみに保証書つきであればPRIMARYでの買取査定が1.2倍保証がつく。

 M4A1R.I.Sが基本モデルだが注文があればM4A1やM733コマンドにもモデル変更が可能。また他にもMP5-JをベースにしたMP5系列、M14SOCOMをベースにしたM14系列等もあり、追加費用がかかるがマルイやマルイクローンのエアガンもPRIMARYで購入していれば換装可能。

 ちなみにシイちゃんのXM-8は中古ながらもその仕様でありなおかつ付属品も地味に多かったため衝動買いした今、シイちゃんのお財布はピンチだ。



すみそに屋 M249バリバリモーター&マガジンスイスイ

メーカー:すみそに屋


 PRIMARYがスタンダードなガンをサバゲーマーに売る店であれば、すみそに屋はマニアックなガンをガンマニアに売る店である。

 カスタムにおいてはPRIMARYみたいに全部をカスタムするのではなく、快適なシューティングに必要な部分にのみ絞ったカスタムを行っていてモーターと配線と自動給弾マガジンのみのシンプルなカスタムとなっている。

 バリバリモーターは機銃向けの連射用のハイスピードモーターでハイトルクモーターははビシバシモーターと呼ばれていて両方オリジナルブランドで単品販売している。

 ちなみに1万円割引クーポンは総額7万円を超えるカスタムガンを購入するとついてくる。



アウトレンジ VSR-10 100YardKiller

メーカー:アウトレンジ


 PRIMARYやすみそに屋が幅広い銃種や装備、ガンパーツを満遍なく揃える店であればアウトレンジは狙撃銃やバトルライフルと光学機器、様々な狙撃銃のオプションの専門店だ。サバゲーマーばかりでなく本職の猟師等も通う程の品揃えと品質であるが基本的に客層は狭い。

 また客層と同じく扱っているエアガンやカスタムの間口も狭く。100YardKillerはその最たる例である。

 100YardKillerはその名の通り100ヤード(90メーター)先のブルズアイに当てられるだけのスペックを有するが、そのスペックをフルに発揮出る人物はそれこそ多大な修練と狙撃センスを有するごく一部の人間のみで、大半の人間からしてみればやたら高い上にほぼノーマルのVSR-10という以上の感想を得られない。



デッカーズ スコーピオンサムホールグリップ+ウッドペイント

メーカー:デッカーズ


 デッカーズは新興の店舗という事で周りの既存店とは雰囲気を画する店舗として設計された。スタイリッシュさやエアガンに対してのユーザーフレンドリーさを基本としていて広めの駐車場をはじめ更衣室、撮影ブース、飲食可能な談話室、シューティングレンジ、小さめの室内フィールド等を併設している。またエアガンに関してもLMGやフルサイズライフルみたいな大型銃よりもSMGやPDW等小型の銃をメインに扱っている。

 また他の店舗にないサービスとして撮影サービスやエアガンのペイント代行等も行っている。

 銃の方は東京マルイの電動Vz61スコーピオンのカスタムのカスタムとして、アンダーレイル増設部分ににサムホールのグリップを装着しサムホールグリップとピストルグリップにはスコーピオン特有のウッドペイント施した。ちなみに中身はノーマルである。

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