初の会話です
え? なにこいつら喋れんの?
今まで話したことなかったじゃん。
(こいつら割とマジでなんなの?)
「妖精だよー」
「妖精なんだよー」
「凄いんだよー」
「偉いんだよー」
「………」
(え? なに? 会話が出来てる? てことは俺の声が聞こえてるって事だよな? というか妖精ってガチのファンタジー要素じゃないですかー)
「ふぁんたじー?」
「なぁにそれ?」
「分かんなーい」
「知らなーい」
「………」
うんやっぱ聞こえてるらしい。
これはあれか? 神様と同じ感じのやつか?
(なぁ妖精さん達、聞きたいことがあるんだけど)
「なぁに?」
「答えてあげるー」
「何でも聞いてー」
「妖精は大体のこと知ってるよー」
「………」
(そうなの? それは凄いな。 じゃあ聞くけどなんで俺の声が聞こえてんの? なんで俺だけ君たちの事見えてるの? 後最後の子はなんでずっと無口なの?)
「心の声を読み取ってるんだよー」
「なんで見えてるかはわからないよー」
「この子は無口なだけだよー」
「私たちにも質問してよー」
「………」
心の声を読み取るって……すげぇな。
そんな便利な力があるのかよ。
そして何故見えてるかは分からないか……
この子達の頭緩そうだしほんとに大体のことを知ってるのか疑いたくなってくるな。
そして最後の子は無口なだけかよ、一言も話さないからちょっと気になってたんだが思ったよりも軽い理由だったな。
(なるほどよく分かったよ、ありがとう。とりあえず今はこれ以上聞きたいことはないかな~)
「え~」
「もっとお話ししようよー」
「遊ぼー」
「質問してってばー」
「………」
(そんなこと言われてもなぁ~俺はここから動けないし……」
あ! 一つ思いついたことがある。
これが上手く行けば俺はここから一切動かず情報を手に入れる事が出来る!
(なぁ妖精さん達。俺はさここから動けないから外がどうなってるのか分からないんだよ。だからさ外の事を色々と教えてくれよ)
「いいよー」
「何が聞きたいのー」
「なんでも聞いてー」
「次は私が答えるー」
「………」
(じゃあまずは龍脈について、最近龍脈が活性化したとかない?)
「最後に活性化したのは三十年前だよー」
「ずるい!次私が答えるー」
「じゃあその次私ー」
「私も答えたいー」
「………」
ちょっと待て三十年前!?……なぁ龍脈が枯れたのは何年前だ?)
「それはねー」
「百年前だよー」
「あの時は凄かったねー」
「そうだねー」
「………」
まぁ確かに転生するのは龍脈が枯れた直後だなんて一言も言ってなかったけどせめて一言言って欲しかった。
(マジか~最後に龍脈を活性化させたのが誰かわかるか?)
龍脈がひとりでに活性化する事はありえない。
必ず誰かの手が加わっているはず。
「えっとねー」
「確かねー」
「ジャンって言う人だよー」
「あの人も凄かったねー」
「………」
そうそう、この世界基本的に平民は苗字が無い。
だから俺もただのリョーマだし妖精達も言わないってことはそのジャンとか言うやつも苗字はないのだろう。
(そのジャンって人はどこにいるの?)
「どこだったかなー」
「ねー」
「隣の帝国にいるよー」
「私が答えたかったー!」
「………」
バスキア帝国。
五大大国の一つでありその中でも最も高い軍事力を持っている。
現在も侵略により領土拡大を行っている国家である。
(なるほどな~)
そのジャンってやつは転生者である可能性があるな。
実祭に会って確かめたいところではあるが今はとりあえず無理だな。
(色々助かったよ。ありがとな)
「どういたしましてー」
「困った事があったら聞いてねー」
「また遊ぼーねー」
「今度は私が答えるからー」
「………」
妖精達はふわふわとどこかへ消えていった。
(帝国に転生者がいる可能性ありね…覚えとこうか)
そこでふと思ったのだ。
転生前の自分であればありえないことをしていた事に。
(あれ?そういえば俺、普通に妖精と目を合わせて会話出来た?もしかしなくても会話力のおかげ?)