まともな戦闘です
タイトル通りまともな戦闘です。
あと皆さんに聞きたいのですがカギカッコは
「」
「」
このように1段開けるかそれとも
「」
「」
こんな感じで間を開けないか。
どっちがいいですかね?
「待やがれ!」
「! クソ! この化け物め!」
一分も掛からず追いつくと速攻で魔力弾を連射する。
しかしその全てが紙一重で躱される。
「避けんな!」
返答は闇に紛れるように黒く塗られたナイフだった。
そう言えばさっき投げられてたものはこれだったかもしれない。
周りが暗かったしあまり余裕がなかったから確かめる余裕がなかった。
いや今も余裕があるわけじゃないけどね。
正直に言えばたまたま目に入っただけ。
まぁ今はそんなことはどうでもいい。
さっきから男はずっと魔力弾を間一髪で避け続けてる。
「いい加減当たれ!」
「ちっ!”燃え盛れ紅蓮の焔! 咎人を焼く聖なる火よ”! 『ホーリーフレア』!」
火属性魔法中級 『ホーリーフレア』は『ファイアーボール』の強化版とも言える魔法である。
『ファイアーボール』が10センチほどの火球だが『ホーリーフレア』の大きさは3メートル程度はある。
さらに『ホーリーフレア』にはアンデッドに対して特攻がある。
『ホーリーフレア』は火属性魔法中級と神聖魔法の中級を持っていなければならない。
そして神聖魔法は神官が使う魔法だがこの男が使うということはこの男も神官、つまり教会の関係者だということだろう。
「”風よ、我を覆い被せ!”『ウィンドカーテン』!」
風属性魔法初級 ウィンドカーテン。
風を自分の周りに展開して飛び道具などから身を守る風属性魔法の基本の魔法である。
ウィンドカーテンによって『ホーリーフレア』はリョーマに触れること無く後方に流れていった。
「『ウィンドカーテン』で『ホーリーフレア』を完璧に凌ぐか!」
「この程度なら問題はないなぁ! ”汝は深淵の淵に立つ者、刮目せよ!”『アビス』!」
闇妖精魔法今までの妖精魔法は通常の属性魔法に妖精の魔力を付与しただけのものだった。
しかしこれは違う。
正真正銘、闇属性の妖精魔法である。
そして肝心の『アビス』の効果は。
突然男が居た地面が消えた。
地面が消える幻覚を見せるだけ。
しかしいきなりのことで対応できるはずもなく突然の事に驚きバランスを崩す。
そんなあからさまな隙をリョーマが見逃すはずも無く、身体強化で一気に距離を詰められる。
「シッ!!!」
「ごふぅ!?」
短い呼気とともに繰り出された右手が男の顎を綺麗に捉える。
男の身体はふわりと宙に浮き一泊置いて落下した。
男の周りに常に展開されていた魔力が無くなったのを確認して息を吐いて構えを解く。
「さて.....尋問タイムといこうか」
「.....俺は何も喋らねぇぞ」
「いいや、絶対喋ってもらう。そうじゃなきゃ割に合わんしな」
「.....5歳のガキには似合わない口調をするもんだ。それに聞いてた口調とは全く違うじゃねぇか」
「こっちが素だ。しかし今口調を聞いたと言ったな。誰に聞いた?」
「喋らないと言ったはずだぞ。拷問でもしてみるか?」
「やめとく。教会の中には裏仕事を専門とする部隊が存在してるって聞いたことあるし、拷問に対する耐性ぐらいあんだろ?」
「.....どこでその情報を?」
「教会の裏組織についてか? それならそこら辺のやつに聞いたよ」
そこら辺にいた妖精だがな。
それは別に言わなくてもいいだろう。
まさか妖精に聞いたとは思わないだろうしな。
ついでに言うとその時は妖精達と契約して無かった。
「そんなわけがあるかよ…...全く底知れないガキめ、これはハズレの仕事だったな」
予想どうり妖精に聞いたとは思わなかったらしい。
「まぁその辺はいいよ。さっきはあえて質問したけど聞いたのはどうせガディアスだろ?」
「.....あいつらが喋ったのか?」
「まぁな。その時に魔物をこの街に仕向けるとかいうとんでもない計画を聞いたからな。慌ててあんたの所に来たってわけ」
「そこまで喋ったのか…...ならあまり隠す意味は無いか?」
「無いな。さっさと吐け」
何故か苦笑いされた。
解せぬ。
「ほんとに5歳か?お前.....まぁいい、どこから知りたい?」
「知ってることを一通り話せ」
「分かった。だがその前にひとつだけいいか?」
「あ?」
「あいつらは無事なんだろうな」
なんだそんな事か。
この状況で交渉でも持ちかけてくるのかと思ったじゃねぇか。
「無事だよ。気絶させて庭に転がしてる」
「そうか.....」
男は本当に安心したような顔をしていた。
案外仲間想いなんだな。
なら見捨てて逃げるなよと声を大にして言いたい。
まぁどうでもいいが。
「じゃあ質問その1、あんたが所属してる組織の名前は?」
「聖典黒書」
聖典黒書ね。
覚えとこう。
「質問その2、聖典黒書とガディアスとの関係は?」
「出資者とその手足みたいな関係だな。ガディアスが金を出して俺達はたまに来るガディアスの依頼を実行する。それだけの関係性だよ」
「じゃあ質問その3、何故俺を襲った?」
「坊主がアックスの野郎に恥をかかせたからその復讐らしいぞ」
「くっだらねぇ」
一言で切り捨てる。
本当に下らない。
そんな理由で家族との団欒を邪魔されさらに街に危険を持ち込もうとしたなんて.....すげぇ腹たってきた。
「気持ちは分かるが相手は大商会の幹部だ。その息子がただの平民に恥じかかされたんだ。面目を保つ為にも見逃せなかったんだろうよ」
「面目のためなら何百人死んでも構わないと?」
若干の怒気をにじませながら言うが男は両手を上げて苦笑いするだけだった。
その時だった。
「……リョーマ。こいつと同じ格好のやつが近くに居るよ」
仲間かな?
だとすればそいつも捕まえておきたい。
「捕まえてくれるか? 生きた状態で」
「……分かった」
メアが離れていく気配を感じる。
そして数秒後に近くの路地裏で悲鳴が上がる。
ドサッという音とともに目の前の男と同じ黒ずくめの格好をした男が倒れ込んでくる。
「……死んでないよな?」
コクンと頷く。
大丈夫らしい。
「なぁ坊主。そいつ一体誰よ? 俺と同じ服を着てるってことは聖典黒書のメンバーなのは間違いなさそうだけどな」
超会話で探るが嘘をついている感じは全くない。
「知らないのか? さっきから周りをうろちょろされてたからな。とりあえず捕まえてみた」
「ほんとにとんでもないなお前……」
すると路地裏から出てきた男は急に起き上がりいきなり喋り出した。
「なぁ俺を見逃してくれるなら取っておきの情報をくれてやるぜ?」
「……交渉出来る立場だと思ってんのか?」
「俺は死んでも話さないぞ? お前にとっては重要な情報かもしれないぜ?」
「……いいだろう。聞いてやるよ。その情報が有益なら見逃してやる」
そして男の口から出た情報は。
「アリスっていうお嬢ちゃんの所にも襲撃がある。坊主と同時に襲う手筈だから既に襲われてるはずだぜ」
最悪の情報だった。
「ッ! お前!」
「今なら急げば間に合う、さっさと行ってやれ」
「畜生が!」
こいつあえて間に合うかギリギリの所で情報を漏らしやがった!
こいつらはもう置いていくしかない!
全力で飛び上がり屋根に乗る。
そして次の屋根、また次の屋根へと移動する。
このペースなら一分も掛からないはず。
そして宣言通り一分も掛からずにアリスの家にたどり着く。
ノックもせず扉を開け放つ。
そこには胸から血を流して横たわるアリスの父親と男達に服を奪われ既に事切れているアリスの母親がいた。
そしてその奥に頭から血を流して身体を縛られているアリスが見えた。
ありがとうございました!