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俺も絡まれました

本日2話目になります!

1話目を読んでない方はそちらへ!

あの後はライオスとシリカを家に送り届けた。

親に事情を説明したところとても感謝された。

2人を届けたあとは無茶をしたアリスを少し叱りつけたりした。


「全く無茶をして。俺がいなかったらほんとにどうなるか分かんなかったんだよ? もう少し慎重になってよ」


「ご、ごめん。でも放っておくことなんて出来なくって……」


「気持ちは分かるけどさ、あの場は大人に任せておくべきだって」


「でも誰も動かなかったわ! あんなことをされてたのに誰も動かなかったもの!」


アリスは少し正義感が強すぎる。

正直見ててとてもはらはらするので自重して欲しい。


「相手は剣を持ってたんだよ? 一歩間違えたら殺されていたかもしれないんだよ?」


実際さっきはとてもひやひやした。

俺自身もとても怖かったし。

平和な現代日本人が剣を持った相手の横を走り抜けるなんて冗談じゃない。

もう二度としたくないな。


「でも……」


アリスは納得していない様子だった。

アリスは変なところで正義感が強いからなぁ。

強情になるのも予想していた。


「みんなに心配かけさせないでね」


しかしそう言って撫でるとアリスはかなり素直になる。

正直とても助かってます。


「あ……うん!」


撫でられるのが恥ずかしいのか耳まで真っ赤にしてうつむいていた。

うん可愛い。


「やぁアリス! 元気にしてたか!」


途端にアリスの機嫌が急降下したのが分かった。

正直俺も不機嫌だ。

こいつにはアリスしか目に入ってないらしい。

俺隣にいるんだよ? 名前ぐらい呼べや。


「……久しぶりアックス」


アックスはそれなりに大きな商会の幹部の息子なのだ。

将来は跡を継いで幹部になることが決まっているらしい。

そのせいで冒険者の両親を持つ俺を馬鹿にする。


アリスは人を蔑む人間が大っ嫌いなのだ。

おかげでアックスはアリスからはとんでもなく嫌われている。

しかしアックスはそれに全く気づかない。

照れてるんだとか素直になれないだけだとか自分の都合のいいように考える。

何度いい加減気づけよと言いたくなったか分からない。

声をかけるたびにアリスの機嫌が悪くなっている事ぐらい簡単にわかりそうなものなのだが。


「何か用?」


アリスの声は氷点下まで下がっていると錯覚する様な低い声だった。

それでも気がつかないアックスの鈍感っぷりはたいしたものだろう。


「見かけたから声をかけただけだよアリス。それとも未来の妻に声をかけちゃいけない理由なんてあるのかい?」


よし殺そう。

絶対に殺す。

何がなんでも殺す。

この世で一番の苦痛を与えてから惨たらしく殺してやる。


そう決意して一歩踏み出すがその歩みは他でもないアリス自身に止められた。

その顔は嫌悪一色に染まっていた。

その顔が出来るならば問題ないだろう。

アリスの気持ちを尊重してここは下がる事にする。


「私はあなたの妻なんかになるつもりはないわ。私は.....」


あの〜アリスさん?どうしてこっちをチラチラ見てるんですかねぇ。

いや何となく分かってっるよ? でもこれってあれだろ? 子供が「私お父さんのお嫁さんになるの!」っていうやつでしょ?

アリスは可愛いしとても嬉しいが期待し過ぎるとあとが怖いのであまり期待はしない。

アリスのような可愛い子ならいくらでも貰い手はいるだろう。

だけどアックス、てめぇはダメだ。


「おやぁ? リョーマくんじゃないか。君居たのかい?」


ピキっ

イラッと来た〜

この糞ガキ親の力のおかげで周りが従ってることに気づいてんのか? 気づいてなさそうだなぁ。

こいつ馬鹿そうだし。


「アリスの隣にいたのに気がつかなかったのか? 将来のマルクス商会の幹部になるのに周りが見えて無さすぎじゃないか? そんなんで本当に大丈夫なのかい?」


「なぁ!? 貴様!」


えぇ〜煽り耐性低すぎるだろこいつ。

本当に将来が心配になるレベルだな。


「おおここにいましたかアックス様!」


どうやらアックスの取り巻き連中も来たらしい。


「貴様!将来マルクス商会の幹部になるこの僕に向かってなんて口をきくんだ!」


「どうかなさいましたか?アックス様」


アックスは俺達よりも1歳年上だ。

だから口答えする俺を目の敵にしている。

当然、アックスの取り巻き連中もアックスにならうように俺を敵視する。

こいつらは親の命令でアックスとずっと仲良くしてきたたらしい。

こいつらの親はアックスの父親の部下なのだそう。

上司の子供と仲良くしておけというのは子供を道具のように見ているようで嫌いだ。


「この糞ガキがこの僕に向かって生意気な事を言ったんだ!」


ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながらアックスは嗤っていた。

アックスの取り巻きは3人いる。名前は覚えるのも嫌で全く覚えてないがまぁ気にすることでもないだろう。

アックスは数が多いからか俺をどうにでも出来ると思っているらしい。

魔法があるこの世界で数の有利という考えはあまり意味が無い。


アックスは俺が魔法を使うとは思ってもいないんだろう。

まぁそれも仕方が無い。

5歳児で魔法が使えるのは俺ぐらいだろうからな。


取り巻きその一がニヤニヤしながら喋り出す。


「まぁたお前かリョーマ〜今日という今日は殴ってやるよ」


「まぁ待て。今から土下座しながらアックス様の靴を舐めると言うならまだ許してやらんことも無いぞ?」


「よかったじゃねぇかリョーマ。ついでだから服脱いで全裸でやってくれよ!」


「ギャハハハハハ!それ最高!」


「あんた達ねぇ!」


いつ殴って来るのか待ってたんだがいつまでも殴りかかってこない。

これ以上待ってるとアリスがキレそうだしなぁ。

というかもう半分程キレてるな。

しょうがない。


思いっきり煽るか!


「おやおや! アックス様は誰かに頼らないと喧嘩すら出来ないようだ! たまたま商会の幹部の家の長男に産まれたからといって別にあなたが偉いわけでもないのにふんぞり返って命令だけしているアックス様は本当に幹部になれるほどの器なのかな!?」


アックス達はポカンとしていた。

ついでにアリスもポカンとしていた。

しばらくして理解が追い付いてきたのかアリスが笑いをこらえるために俯いていた。

アックスは怒りで顔を真っ赤にして怒鳴り散らすだけ。

命令するよりもこの距離なら自分で殴った方が早いのに.....

まともな状況判断も出来ないらしい。

本当に商会の幹部の息子か?


「き、貴様ぁ!!もう泣いても許さん!立場の違いってやつを教えてやれ!」


命令を受けてほうけていた取り巻き連中が俺を睨みつける。


「お前! アックス様に向かってなんて口を! もうゆるさぼがぁ!」


喋る暇あったら攻撃をしてこいよ。


「くそ! おおおおおおおおおおおお!」


「叫びながら突っ込んでくんな。もっと静かに背後から回り込むとか出来んのか?」


「げぇ!」


パンチも遅すぎる。

魔法が効かない相手のために毎日身体を鍛えてるのだよこっちは。


パンチを外側にかわし、右手で腕を掴む。

その腕を体重を乗せて思いっきり引っ張る。

バランスを崩し俺に向かって倒れてきた所を左手で殴り付ける。


全く身体強化さまさまだね。

俺の中身がいくら高校生だからといっても身体は5歳児なのだ。

身体強化が無ければここまで余裕はなかっただろう。


「このやろう!」


最後の一人はそばに落ちてた石を投げてきた。

しかしコントロールが悪くそもそも俺には当たらない。

石を無視して最後の取り巻きに向かって走り出す。


「く、来るなぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


目をつぶって殴ってきた。

目をつぶって当たるとでも思ってんのか?

だとしたら舐めすぎだろ。


危なげなくパンチを受け流しそして急所である金的を思いっきり蹴り上げる。


「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」


情けない悲鳴をあげて倒れ込む。

話にならないな。


「次はお前がやるか? アックス様? もう頼りのお仲間はいないぞ?」


「ッッッッ!! くそ! やくたたずどもめ!」


そう言うとアックスは倒れている取り巻き連中を置いて走り去っていく。


「待ってくださいよ〜」

「アックス様〜」

「痛ぇ、痛てぇよぉ」


3人も起き上がりアックスを追いかける。

やがて3人の姿が見えなくなると周りから歓声が上がった。

俺達のやり取りを見ていたのだろう。

アックスの父親は権力を鼻にかけて時々横暴を働く。

それが気に食わない人々だろう。


「よくやった坊主!」

「見ててスカッとしたぜ!

「かっこよかったぞ〜」


なんだかいい事をした気分だな。


♢♢♢♢


「ちくしょうあいつ! アリスの前で恥をかかせやがって!」


「おかえりなさいませアックスお坊ちゃま」


メイドが話しかけてくるが怒りに染まった彼の頭はメイドの声を認識していなかった。


「帰ったかアックス、そろそろ勉強の時間だぞ」


アックスの父親であるガディアスがアックスに話しかける。

流石に父親の声は聞こえたのか、ハッと我に返る。


「今帰りました父上」


「うむ、それでどうしたのだ?随分不機嫌ではないか」


「それは.....」


アックスはそこで思いついたことがあった。


「父上! 聞いてください! 実は.....」


アックスはガディアスに今日の事を伝えた。伝えてしまった。

それが破滅に直結している事を知らずに。


「なるほど.....分かった。何とかしておこう」


「ありがとうございます! 父上!」


(これでリョーマも終わりだ!)







こういう分かりやすいモブが実力を見誤ってボロ負けするの大好きw

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リッチ(金持ち)でリッチ(死体)なダンジョンマスター https://ncode.syosetu.com/n9823fi/ こっちもよろしくお願いします!
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