喧嘩です
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いやぁしんどかった。
なんとか余剰魔力を全部消費する事に成功したわ……
かなり大変だった。
しかしまぁそのおかげでかなり魔力総量が増えたし別にいっか。
「おうおかえり! リョーマ!」
「ガルムさん、ただいま」
「きっちり10分以内だな! 」
なんとか間に合ってよかったよ……
普通に遅れてた可能性があったし、まぁ結果オーライかな。
何はともあれ遅れずにすんでよかった。
「てめぇ!」
……帰ってそうそう問題とか勘弁して欲しいんだが……
嫌な予感を感じてガルムさんに挨拶してから怒鳴り声の上がった方に小走りで走っていく。
人ごみを掻き分けて、騒ぎの中心にたどり着く。
そこには数人の男達から暴行を加えられている俺と同い年くらいの少年とそのそばで泣く少女だった。
しかし誰も助けようとしない。
まぁそれも仕方が無い。
何せ男達の腰には剣があったのだから。
おそらく冒険者だろう。
しっかしガラ悪いなぁ〜
周りの人から思いっきり引かれてんじゃん。
「このくそガキ! 舐めやがって!」
「全くだぜ! これじゃあ金にならないじゃねぇか!」
なんか事情があったらしいな。
まぁだからといって人の通る往来でやる事じゃないけどな。
さてどうしたものか.....
このまま見なかったフリをするのもなんとなく人としてダメな気がするしなぁ。
とりあえず聞いてみるか。
「ねぇ何があったの?」
「なんだ坊主。子供の見るものじゃないぞ」
「まぁまぁそんなこと言わずに教えてよ。というか既に見てるし」
「それもそうか…...いや実はな? あの冒険者達が3日かけて取ってきた依頼品をダメにされたらしいんだよ」
うわぁ.....なんというかそれは.....冒険者達の気持ちも分からなくはないけどさ。
正直やりすぎじゃないのか?
「しかもその依頼品がな? とんでもないレアものらしくてな、確か水晶鳥っていう魔物の卵だそうだ」
水晶鳥はこの季節になると繁殖期に入る魔物である。
普段は標高の高い山に巣を作る。
繁殖期は唯一水晶鳥が山を降りて地面に卵を埋めるのだ。
わざわざ山を降りて卵を埋める理由は色々言われているが確実なことは何も分かっていない。
水晶鳥自体もその水晶のような美しい羽毛に目を付けられて取り締まりきれないほど密猟が横行したのだ。
そして卵はかなり美味いらしい。
それを3日かけて取ってきたのだ。
確かに怒るだろうよ。
しかしやっぱりこれはやり過ぎだろう。
はてさてどうしたものか…...
「ちょっと何してるの!」
おいおいおいおい!
何やってんの!?
人ごみを掻き分けて男達の前に出たのはアリスだった。
「大の大人がこんなことして恥ずかしくないの!」
「なんだと! このガキ!」
あ〜めんどくさいことになりそうだな…...というかなってるな。
どうしてこうも貧乏くじばかり引くのだろうか。
割といい加減にして欲しいと思う。
「くそガキがぁ! すっこんでろ!」
男の一人が殴り掛かる。
しかしアリスは全くどかない。
でもやっぱり怖いのか目だけは瞑っていた。
まぁ幼なじみが殴られるのを黙って見てるようなかっこ悪い男になりたくないし、それにこれを見過ごすのは人としてどうかと思う。
しかし俺もあまり目立つことはしたくはない。
だからこっそりアリスを助ける。
足元の石ころを拾い上げ身体強化!
周りから目立たないように手首の動きだけで石ころを投げると
でもそれじゃあ届かないので風で石の軌道をコントロールする。
結果は見事男の眉間の辺りに命中した。
「いってえ!?誰だコラァ!!」
うん気付かれてはいないらしい。
では今のうちにどこかに注意を引き付けますか…...
再度素早く石ころを拾い上げる。
そして石ころの隙間から火の魔力を注ぎ込む。あとはさっきと同じ手順。
違うのはこの石ころは男達に当てるつもりが無いということだけだろう。
そうして男達の頭上へと飛んだ石ころは空中で派手な音を立てて爆発した。
「なんだぁ!?」
よし注意が上に向いたな。今しかない!
身体強化で一気に飛び出す。
アリスを一瞬でおぶるとついでにそばにいた女の子と男の子を引っ張る。
ちょっと手荒だがこの際しょうがない。
びっくりして悲鳴も上げられないようでなんの問題もなく3人を連れて裏路地に逃げ込む。
後ろを振り返って追われていない事を確かめると息を一つ吐いてアリスを背中から下ろした。
その顔がどこか残念そうだったのはこの際気にしないことにする。
「全く.....いきなり飛び出しやがって.....俺がたまたまいたから何とかなったんだぞ?」
「あ、ありがとうリョーマ! でもなんでここに?」
「用事を済ませて帰ってみたらいきなり怒鳴り声が聞こえてさ。なんだろうと思ってみたらその子達が絡まれてたから」
「ふーん.....ねぇあなた達、名前は?」
「ぼ、僕はライオスです」
「ひっく.....えぐ.....」
「こいつはシリカって言います。俺の双子の妹です」
泣いて答えられない彼女の名前はライオスが教えてくれた。
「そっか、じゃあライオス。なんであんなことに?」
「それは.....」
話を聞くと以下の通りだった。
シリカとライオスが歩いていると曲がり角であの冒険者達とぶつかってしまったそうだ。
その時にパキッという何かが割れるような音が聞こえ男達が慌ててポケットを確認するとそこには割れた卵の殻が入っていたらしい。
「.....おかしい」
「え? 何がですか?」
「水晶鳥の卵はかなり高級なものなんだよ。
そんな高級なものをポケットに入れて街中を歩くだなんて.....絶対に何かおかしい」
「そういえばそうね。確かにおかしいわ」
これは何かあるな…...
厄介事に巻き込まれなければいいけど.....
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