契約です
ようやくこの回が書ける〜
この回はかなり楽しく書けました!
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「とりあえず散歩行ってくるよ母さん」
「散歩? まぁいいよ。行ってきな」
本当は散歩ではなく妖精達に修行をつけて貰うのだ。
俺は毎日欠かさず妖精達に修行を付けてもらっている。
そんな人間は世界中探しても俺ぐらいだと思う。
「じゃあ行ってきまーす」
「行ってらっしゃい」
家を出ると近くの路地裏に入る。
じゃあ呼ぶか。
「妖精達~」
すると遠くから妖精達がふわふわと飛んでくる。
「呼んだー?」
「修行するー?」
「今日はどんな修行しよっかー」
「無属性以外の魔法の修行するー?」
「………」
魔法には属性がある。
個人によって適応する魔法があるため適正のある魔法しか使えないというのが常識。
しかし精霊魔法、及び妖精魔法は魔力を妖精達に借りて使用する魔法。
故に適正なんて関係ない。
しかしそれでも契約した精霊や妖精によって属性が違うので使える属性と使えない属性があるのだが……
今俺と話している妖精達の属性は上から順に炎、水、風、土、闇となっている。
正直闇がいて光がいないのはかなり残念だがまぁ仕方がない。
そこは諦めて彼女達に今日も修行をつけてもらおう。
ここで大事なのは契約した精霊や妖精からしか魔力の譲渡を行えないという事だ。
つまり今彼女達は自分と契約してくれと言ってるのだ。
まあそろそろいいかな。
5歳になってステータスも見れるようになった。
お陰で異常な魔力を持っていることが分かったし意外と契約出来るかもしれない。
精霊や妖精との契約、幻獣や魔物との契約にはそれ相応の魔力がいる。
そして妖精は3大最強種に数えられるほど強い。
契約にはかなりの魔力が必要になるだろう。
それが5人。
どれほどの魔力が必要になるか分かったもんじゃない。
しかしそれでも俺は彼女達と契約してみたい。
3大最強種の1つである妖精と契約できれば一体どれほどの戦力になるのか、まず間違いなくとんでもない戦力を個人で保有出来るだろう。
そして何より、彼女達は異世界で右も左も分からない俺を助けてくれた。
その彼女達が俺と契約を結びたいというのだ。お互いに全く損がないどころか実利だけを見れば俺がとんでも無く得をする事になる。
でも人と人との関係は実利だけでは成り立たない。
この契約を恩のある彼女達が望むのならば俺は喜んで契約しよう。
「.....分かった。契約するよ」
そう告げると妖精達の顔がみるみる喜色に染っていく。
「本当!?」
「いいの!?」
「契約しよ!」
「わーい! やったぁ!」
「.....嬉しい」
語尾の伸びがなくなるほど嬉しいらしい。
ありがたい限りだ。
というか最後の子の声初めて聞いたな。
かなり可愛らしい声だった。
「あ、そういえば俺から言い出しておいてなんだけど契約ってどうやるの?」
「名前をつけるんだよー」
「私たちがその名前を受け入れたら契約完了だよー」
「いい名前をつけてねー」
「可愛い名前がいいなー」
「.....やっと契約」
名前、名前ねぇ。
結構責任重大だなぁ.....よし! 決めた!
「まずは炎属性の子」
「はーい」
「炎なので名前はイグニス」
「うん! 今日から私はイグニスだよー」
ガクンと力が身体はから抜け出ていく感覚がある。
今ステータスを見たらかなり魔力が減っている事だろう。
「次は水属性の子」
「私の番ー」
「君の名前はオルヴィアナ」
「ありがとうー!」
さらに力が抜け落ちる。
視界が一瞬ブレたがすぐに戻ったので問題はないだろう。
「次は風属性の子」
「はいはーい!」
「君は風だからシルフィードで」
「気に入ったよー」
またもや力が抜け落ちていく。
今度はさっきよりも強く視界がブレた。
しかしやめない。
あと2人なんだ。絶対やり遂げてみせる。
「ふぅ...次は土属性の子」
「名前つけてー」
この子は要望通り少し可愛めの名前をつけてあげよう。
「君の名前はノールだよ」
「ノールー! 可愛い名前ー」
ついに立っていられなくなった。
膝を地面につくと数度呼吸を整えて再び立ち上がる。
「.....次は.....闇属性の子」
「.....大丈夫?」
心配させてしまったらしい。
ここはしっかりとしなくては。
「大丈夫だよ、それより君の名前はメアだよ」
正直この子の名前が1番迷った。
闇の関する単語で妖精っぽい名前が出てこなかったので最終的に悪夢を意味するナイトメアから名前を貰った。
気に入ってくれるといいのだが…...
「.....ありがとう、とても嬉しい」
杞憂だったようだ。
いつもの無表情を崩し思わず目が離せなくなってしまった。
しかし次の瞬間急に視界が遠のき、暗転していくのを感じた。
魔力切れ。
妖精達との修行の際に何度も体験したことだが最近は何となく加減を覚えてここまで来る前に修行を切り上げていた。
だからあぁ懐かしいなとか意外と余裕がありそうな考え事をしながら意識を閉ざした。
ありがとうございました!