死にました
初投稿です!
カタッカタッ
カーテンを閉め切り光を遮断した部屋でキーボードを叩く音が聞こえる。
俺こと四ノ宮 涼真は引きこもりにしてコミュ障だった。
理由はあれだ、いじめってやつ。
自分で言うのもなんだが俺の容姿はそれなりに整っている。
おかげで高校に入学したばかりの時は告白なんてイベントがそれなりにあった。
でもまぁ他の男どもはそれが面白くなかったらしい。
最初は筆箱が無くなる程度の可愛いものだった。
俺も最初は無くしたかな?ぐらいに軽く考えていたけどそれが何度も起きてついにはバックに落書きがしてあるのを見てようやく察した。しかもそれをやっていたのがそれなりに仲の良かったやつも一緒にやっていた事にショックを受けた。
内容は小学生か!と突っ込みたくなるような出来事だったけども、結果として俺は軽い人間不信になり登校も週一で行くか行かないかくらいのレベルになった。
完璧な不登校にならなかったのは進学出来ない可能性があったから。
間違えても成績を心配したわけじゃない。
自分で言うのもなんだが俺はそれなりに成績はいい。
すると玄関の呼び鈴が鳴り響く。
「先輩! 一緒に学校行きましょー!」
うるさい。
まじでうるさい。
「はぁ……ウゼエ」
今日は一年生、つまり俺の後輩達の入学式なのだ。俺としてはサボる気満々だったのだが…
とりあえず寝巻きのまま迎えに出る。
玄関を開けると一つ年下の後輩菅原 雪菜がニコニコ笑って待機していた。
菅原は唯一まともに会話が出来る貴重な人間関係を築けている。
とは言え最初は他の奴らと同じで目を合わせる事すらできなかったが俺を心配して会うたびに必ず話しかけてくれたことが功を奏して何とか菅原相手なら普通に会話が出来るくらいには回復した。
「おはようございます! 先輩! さぁ学校行きましょう! ってまだ着替えてなかったんですか!?」
「あぁ、 今日は欠席するつもりだったし」
すると菅原は不満そうに頬を膨らませる。
「えぇ~いいじゃないですか~ 今日くらい来てくださいよ~ せっかく家が隣なんだから~」
今聞いた通り菅原の家は俺の家の隣にある。
おかげで昔は何かにつけて互いの家を行き来したのだ。
それはさておき…
本当に行かなきゃ行けないのだろうか。普通にめんどくさいのだが…
あっダメだこれ。とびっきりの笑顔でニッコリされた。行くって言うまでどかないやつだわ。
「チッ分かったよ。 着替えてくるからちょっと待ってろ」
そう言うと今度はほっとしたように笑った。
「は~い! 待ってますね!」
二階に上がり壁に掛けてあった制服を手に取る。
さっと着替えて飯も食べずに玄関を開ける。
「行くぞ」
そう言って歩き出すが菅原は全く動かない。
不思議に思い振り向くとこれまた分かりやすく不機嫌そうな顔でむくれている
うわ〜話しかけるの超だるい〜!確実にめんどくさい事になんだろこれ、いやむしろもうなってるな。
「な、 なんだよ」
すると不機嫌そうに大きなため息をつかれた。
何故だ...
「先輩...…中学の時男子達が密かに行なっていたアンケート。 付き合いたい女子ランキング堂々の第一位の私が一番最初に制服を見せてあげてるんですよ? 何か言うことはないんですか?」
「いや別にないk」
「な・い・ん・で・す・か?」
...UZEEEEEEEEEEEEEEEE!
思わず英語表記になるくらいうざい!
「あぁはいはい似合ってますよ〜」
「うっわすごい適当! もっと無いんです?」
そろそろまじでうざいんだが…殴ってもいいだろうか。
その時だった。
「きゃぁぁぁぁぁぁ!」
進行方向である駅の方向から悲鳴が聞こえた。
「な、なんですかね?」
すると人混みの中から包丁を持った高校生と思われる青年が出てきた。
高校生だと思ったのはうちの高校と同じ制服を着ていたからだ。
その青年は菅原を見たあとに俺を睨むと突然叫び始めた。
「お前のせいで...…僕は菅原さんに振られたんだ!」
「.…..は?」
「ッ! とぼけたって無駄だぞ!そうじゃなきゃおかしいじゃないか!僕が振られるはずないんだ...そうだよ全部お前のせいじゃなきゃ…ふひ、ふひひ」
確かに顔はそれなりに整っている。
よっぽど自分の顔に自信があったのだろう。
「お前の...…せいだァァァァァァァァァ!」
やば! 早く逃げなきゃまずいな。
そんなことを思いながら菅原の方を見ると菅原は足をガクガクと震えさせていた。
おいまじかよ!?
これまでの話を聞いた限り恋愛のもつれが原因らしい。
確実な逆恨みだが今更そんなこと言ってもしょうがない。
…...何でこんなに貧乏くじ引かされるかな〜
神様がいたらとことん恨んでやるよ。
咄嗟に菅原を押し出して青年と対峙する
突き出された包丁を間一髪でかわす。
かわすはずだった
避けたつもりだったが包丁がかすっていたらしい。
身体がふらついて思考が鈍る。
まじでやばいだろ!? これ!?
「先輩!? 大丈夫ですか!?」
血が出ていることに気がついたのか菅原が俺に声を掛ける。
それを見た青年はここまで聞こえる程に歯ぎしりを響かせた。
「どうしてなんだよ菅原さん! 俺は君のことを心配して...…そうかお前のせいか……お前が菅原さんを僕から奪ったんだな!?」
そんなわけないだろうと反論したかったがどうせ反論しても聞く耳持たないだろうしもっと興奮して逆上されるのがオチだろう。
「ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう! お前のせいだァァァァァァァァァァァァァ!!!」
また来た!
正直思ったよりもさっきの傷が深かったのか足がうまく動かない。
衝撃が走った。
続いて腹部が急激に熱を持ち同時に激痛がやってきた。
「ッッッ!!!???」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!
情けない悲鳴を挙げなかったのは奇跡と言っていいだろう。
それ程までに痛かったのだ。
青年は俺が苦痛に歪む顔を見て満足そうな笑顔を浮かべるとその顔を菅原の方へと向けた。
「菅原さん、 これでもう大丈夫だよ。 君を苦しめるやつはどこにも居ないよ」
狂気じみた笑顔を浮かべて包丁から手を離し菅原の方へ歩き出す。
まずいな……このままだと俺も死ぬし菅原も危ない。
何処かぼうっとした頭でそんなことを考える。
なんとかしなければと思い青年の方に振り向いた。
すると青年の後頭部が真っ先に目に入ってきた。
それを見た瞬間に身体はもう動いている。
ラビットパンチ。
ボクシングなどで禁止されている後頭部への攻撃。
禁止された理由は単純に危ないから。
実際下半身麻痺に陥った選手もいるくらいなのだ。
もうほとんど動かなくなった身体を懸命に動かして右の拳を出来る限り強く握り、叩き付けるように振り下ろす。
「ガッ!?」
鈍い音と共に青年の身体が崩れ落ちる。
「先輩! しっかりしてください!」
崩れ落ちる寸前で抱き止められた。
しかし何故だろうか。
何となく自分は死ぬのだろうなと思った。
その前に罪悪感で潰れそうな菅原に何か言わなくては...…
「菅原..….先に言っとくがこれはお前のせいじゃないぞ……」
「ッでも! 元はと言えば私があいつを振ったから!」
案の定思い詰めてたか……
「いやいや...…人間なんだからそれくらいの自由はあるって……お前が気にすることじゃないよ……」
やべぇ本格的に感覚が無くなってきやがった。
「まぁとりあえず...…気に、すんなよ……」
「先輩!? しっかりしてください! 先輩!!!」
それを最後に俺の意識は永久に消え去った。
はずだった。