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異世界から来た村人A  作者: 和
1/4

プロローグ 異世界に迷い込んだみたいです




【異世界には、夢がある】


俺の友がかつてそう力説していた


地球にはない魔法というロマン溢れる存在


ダンジョンでの一攫千金


転移、転生チートで無双


地球の物を販売し金持ちに


力を高めて成り上がり


一国の王にすらなれるかもしれない異世界


かつて俺の友はこう言った


【地球には夢が少ない】、と


獣耳の生えた獣っ娘


耳の先が尖っているエルフ


ツノがあり翼もある魔族


合法ロリの変態紳士が喜ぶドワーフ


獣耳、いいではないだろうか?


エルフ耳、最高じゃないだろうか?


ツノっ娘、触ってみたいだろう?


合法ロリ、変態紳士が狂気狂乱するだろう?


地球とは違い、夢の種族が暮らす世界


それが異世界


全ての者が一度は行ってみたいと思う世界


俺は、日々怠惰な生活を送りながらそう思っていた


いつかは異世界に行けたならいいな、と


だが、変な特技もなければ才能も秀でた知識もなにもない


RPGでいう所の村人Aの役割である市民A


テレビの画面の先では、なにかを成し遂げた選手や研究者のニュース


そんな人達みたいになにかに熱意を捧げたこともない


つまらない人生…第三者から見ればこう思われるだろう


しかし、人生なんて所詮そんなもんだ


変わりばえのない日々が続き老いて死ぬ


だからこそ幸せなのだと今の俺なら断言できる


その日、俺は部活帰りに空を見上げていた


俺の住んでいる場所は若干田舎なのもあり、街灯が少ない道路が多い


そのため、星や月などが見やすくその日は満月だった


【月明かりが綺麗だ】


空を見上げながら呟いた声は白い息とともに暗い世界に溶け込んでいった


柄にもなく、呟いた言葉に少しだけ気恥ずかしくなり照れ隠しにイヤフォンを耳にあて、お気に入りのMADを無料再生アプリで流していた


鼻歌を歌いながら、いつもの道を歩き曲がり角を曲がる


………曲がったらそこは異世界でした


なんてこともなく、普通に自宅に着いた


義妹がいるとか義姉がいるとか


家が金持ちとか極貧乏とか


片親だとか義理の家族とか


変な一族だとか天才家族だとか


そんな家族じゃない


普通の一般家庭だ


子供っぽいゲーマーな父親がいて


父親が大好きな天然の母親がいて


少し生意気盛りの愛する妹がいて


普通の一般家庭。だけども確かに幸せな家庭


いつも通りに自宅に着いた俺は、営みの光が漏れる扉を開けて家に帰った





………と、思ったらそこは見知らぬ場所でした





その場所はアニメとかで見る酒場に似ていた


ガヤガヤと賑わいを見せるその場所は日本でも見たことのない人々で溢れていた


鼻腔をくすぐる酒の匂いに食べ物の匂い


鼓膜を震わす人々の笑い声が響き、飛び交う楽しげな声


自宅の扉を開けたはずの俺は


どうやら【異世界の扉を開けたらしい】






「どういうことだよ!!?」





そこで、冒頭に戻るのだが。


もしも異世界に行ったら君はなにをする?


ダンジョンでの一攫千金。


ハーレムなどもいいだろう。


転移、転生チートで無双。


地球の物を販売し金持ちに。


修行をして成り上がり。


義賊になってもいい。


はたまた魔王になり世界を征服?


夢や期待、ロマンしかない素晴らしきこの世界!


誰もいない。地球の常識などには囚われない。


ここは何にでもなれ、何にでも染まれる異世界だ







そして、そんな異世界に迷い込んだ俺は




「早くやれ、ライム!」


「わかってる!」




今日も無骨な鋼の刃を手にし




「奴等はお待ちかねのようだぞ!」


「だぁあっ!?クソ野郎がぁっ!」





怒声をあげながら





「早く料理を作れよ!」


「しゃあねぇだろ!?お昼時は客多すぎなんだよ!」





バイトに明け暮れています







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