塵は積もれば鹿となる?
俺の名前は塩ヶ谷仁助。
塩が大好きなごく普通の高血圧男子!
医者からドクターストップがかかったこの塩麹の壺を片手に今日も学校へいくぜ!
ざわ……ざわ……ざわ……
めぐるまわし廻る日本の朝、すれ違う人々の顔が十人十色で退屈しない。
そんな人を見て、いろいろ妄想することが、俺、塩ヶ谷仁助の趣味の一つだ。
例えば、そう、サラリーマンの男性。また今日も出勤かとくたびれた顔をしている。本当なら、この後会社に出勤し定時を過ぎても帰ることができず、社畜となって、残業代も支給されず一生後悔する未来と考えられる。
でも、俺はそんなこと考えない、そんな社畜の鏡ではなく、実は商業スパイで毎日上司にしごかれているふりをして、パソコンにウイルスを送り込んだり、残業をしているふりをして、資料をすべて横流ししていたりとかだ……
そう考えると策略高いと見方を変えることができる。サラリーマンの社会も奥深い闇が錯交しているのだなぁと再認識できる。
ビバ、妄想、暇つぶしにもなって社会勉強にもなる!……のになぜ学校はこういったものを取り入れないのだろうか?
塩麹の入った壺を右手でつかみまるでくまのチーさんがはちみつを左手で絡みとってなめるように、器用に塩麹をなめる。うん、うまい。
その横をサラリーマンの人が、奇天烈そうな顔をしながら通って行った。頑張ってください社畜!
そんなことをしていたら、もう学校は目の前だった。
県立阿穂蛇内野高等学校。
最初、この高校名を聞いたとき仏教を専門にしている高校かなと思っていたがよくよく見てみると、当て字になっていて{ばかじゃないの}と読むことができる。
斬新で、生徒を小馬鹿している高校名で気にいっている。
なんでも、昔農業家の阿さんが穂の収穫をしていると、蛇が飛び出してきて内、いわば家に野を超え飛び帰ったことからきているらしい。
………だから何?あほじゃないの?そんな生徒の気持ちがビンビンに感じられるいい校風だと思う!
阿穂蛇内野高校、略して阿穂高校の唯一無二の正門をくぐり、昇降口へと向かった。
前編です。やりすぎない程度に頑張っていきます