生徒会室へ
「やあ、よく来てくれたね」
そう言ってにっこりと微笑んでくれたのは、港先生でした。
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先生とのお話の翌日、私は生徒会室前で郡と待ち合わせることにし、一緒に中へと入ることにしました。
生徒会入りの件ですが、郡とは最近お互いに時間的なずれがありすれ違い続けていましたから、これからは仕事といえど傍にいられる時間が増えることを喜びあったりもしました。
私、最近まで先生と引きこもって、二人で研究三昧でしたからね。
充実はしていましたけれど、折角郡と一緒に通えているというのに家以外では顔を合わせることさえ稀でしたから、理事長交代も結果オーライ、と言ったところでしょうか。
なんにせよ、信頼できる幼馴染との時間が増えることはいいことです。寂しがっている先生には悪いですけれど、ね。
お昼休みになり、先生の指示通りに生徒会室内へとお邪魔すると、そこにはなぜか港先生しかいらっしゃいませんでした。これには私たちより少し後に来た御上土くんも眉をひそめていました。
「おい。俺たちは引継ぎで来たんだろうが。先代はどうした」
「私たちもできれば丁寧に引き継ぎをしたかったんだけどね。実は今も活動中なんだ」
ひょいと肩をすくめた先生に、郡も訝しげな顔をします。
「どういうことなんですか?」
「まあ、道すがら話すよ」
先生は苦笑しながら、私たちを中庭へ向かうよう、促しました。
「君たちも事前に聞いていて知っているように、生徒会は元々治安維持を目的とした少数精鋭の部隊だったんだよ。生徒同士の小競り合いの仲裁に入るためのね」
「えっと、…わざわざそのお話を出している、ということは、先代のみなさんは今現在その仲裁の真っ最中、ということなのですか?」
「その通り。まあ、僕たちが対する相手については、固定されているといっても過言ではないんだけれどね」
どごおぉおんっ!!
先生が疲れたような苦笑めいた笑みを浮かべた瞬間、爆発音が響きました。
「…いいかげん、下ろしてやりたいよ」
ぼそりと呟いた先生からは、真黒なオーラが漂っていました。
真黒な生徒と真っ白な生徒。
まるで闇と光のような対照的な生徒が、気に喰わないとでも言いたげにお互いに相手を睨みつけ合っていました。




