表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/21

前回の粗筋。

浮遊島の森からアルリムの森へ移動した。

そして、そこからなんやかんや五日間森でなんかして、森を出て初めての人類遭遇がマッチョのおじさんだった。



関所の前にはかなりの筋肉の腕を晒したおじさんが立っていた。

坊主頭、高い身長、釣りあがった濃い眉毛、大きい切れ目、鼻は大きく高い。

そして、日に焼けた褐色の肌は健康的で汗のせいか少しテカっている。


なんか第三次大戦が出来そうなおじさんだな。


と、木々の影から<魔眼>の能力でおじさんを眺めていた。


フードを深く被り、アムリムの森で見つけたソイートグルーム、と言う白い糸を吐く蜘蛛の巣から拝借した糸を編んだ服を着ている。

さすがに、知識には服のデザインなどはなかったが、服の編み方はあったので後は自分の趣味などを考慮しながら<クラフト>を駆使して編んでいく。

二回程失敗したが、服は完成、僧侶服みたいになった。

ついでに鞄も作り<次元理術>をかけている。

まさに何でも入る鞄の完成だ。

今まで集めた植物、自分の服などもこの<次元理術>の空間の中に入れてある。

それを鞄を使うことで<次元理術>を使っていることをカモフラージュしているのだ。

鞄の中に手を入れて、手をごそごそして探しているふりをする。

そして、<次元理術>を発動させて、引っ張ると・・・。

物が出てくると言う仕組みだ。


服もでき―靴は履いてない、同情を誘うため―目立たないようにしたし剣も持ってないから僧侶服にしたし。

大丈夫だと思うだろ・・・。


大丈夫じゃないんだよぉ!!


俺の中にある<知識>は確かに今まで役にたっていたけれども。

この<知識>、実は文化や、遊び、風習、歴史などはぼんやりとしか解らないのだ。


この<知識>は図鑑のような代物で、植物

動物、鉱石に始まり、基礎的な物の仕組み、作り方はあって、それ以外の知識は非常に少ない。


よって、あの関所のおじさんをどうやって誤魔化して入ったらいいのか分からない。


「・・・、嘘つくのも絶対ボロ出そうだし」


もし、何か必要な通行証なる物が必要になるのか、無いにしてもお金がないからその代わりにもなれない。


そのため靴を履いてないんじゃないかと言われても、あの人が仕事の出来る人だったり、何か嘘を見抜く力があったらど思うと・・・。


頭が痒いぃ!!


くそぉ、泣きたい気分だ。


いずれにせよ、無断で入った場合は犯罪者と言う未来が待ち受けている。

ばれないだけの力があるって?

バカだな、それほど俺は器用じゃないんだよ。

それに罪悪感を抱えて過ごすくらいなら浮遊島でゴロゴロ過ごすさ。

でも、あいつらが言っていた<死の平和>を見つけて世界を壊すことを止めさせるには、結局この世界の様々な関わりとか、探す人でがあるべきなんだ。

後ろめたく暮らしたくない!


だから、ここが青年場だ。


「行くぞ・・・」


木々から出て大通りを歩く。

そして、<魔眼>を使わなくても見える距離に関所とおじさんを捉えることが出来る。


おじさんも俺の存在に気がつく。


あぁ、後ろの門に立てかけていた槍を手に持ったぁ・・・。

うわぁ、舐めるように俺を見ている。

もう駄目だ・・・おしまいだぁ・・・。


「おい、坊主」


身長が180以上あるじゃないかぁ・・・。俺も身長そこそこ高いはずなのに、見下ろされている。

怖いぃぃぃ。


「おい、坊主聞いてんのか?おい!」


あばばばばば、やっぱり世界を救うとか無理だよ。

こんな怖いおじさんがいっぱいの場所なんかで生きていけないよ。

お腹イタイヨォ・・・



「こら、聞け!!」


「あで!」


一人恐怖に戦いていたが頭に衝撃が走り我に返る。


「あ、すみません・・・」


冷静に返り、そのおじさんを見ると眉間に皺が寄ってはいたが、どこか心配そうな顔をしている。

思ったよりも怖くない。


「す、すみません。長く人と会っていなかったので、緊張してしまい」


「あぁ?まぁいいがよ・・・。んで?ここを通りたいのか?」


キタ!ここが青年場だ!


「はい、そうです」


言葉は少なく、あまり喋り過ぎないようにするんだ!


「通行証、もしくはこの町の民間人であることを示すカードか、ハンターカードを見せろ」


ぐぅ、やっぱりあるか・・・。

仕方ない。


「持っていません」


「持ってない?」


あ、眉尻が上がった。

怖い!!


「は、はい・・・持っていません」


「・・・だったらここを通ることは出来ないな」


・・・ですよねー。

と言うか言い訳する暇も無かったかぁ。

さぞ仕事の出来る人なんだろうなぁ。


「と言いたいところだが、その身なりは何か訳ありか?」


おっし!オッチャンナイスナイス!

何かないか!訳ありなりそうな話はせっかく設定を作ったのだ、少し大袈裟で調べる方法のなさそうな感じの言い訳!!


<知識>を騒動員して調べる。


んん・・・。

お、これはいけるかもしれん!!


「あの、迷宮区から出てきました」


「・・・?あ?」


この反応は分かっていた。

迷宮区はまさに魔物の宝庫と呼ばれる場所。

アムリム付近の森には迷宮区と呼ばれる場所がある。

魔物の大量発生もそこが一因してるのではないかと言われているくらい、危険な場所だそうだ。


だが、そこは強引に押しきらせてもらう。


「そして、魔物大量発生の生き残りです」


「・・・」


駄目か?


するとおじさんは、何か考えるような素振りをし、もう一度俺を睨みつける。

そして、俺の手をつかんだ。


「ついてこい」


御用だぁぁぁ!!

下手こいたぁぁぁ!!


俺は半ば引きずられる形で関所の側面にあった扉を開け放ち俺を突っ込んだ。

そこには扉に対して少し大きめの部屋があり、さらに奥側の壁に扉が一つ、見て右側にもう一つ扉がある。

そして、目の前には椅子が3つあり、左側に若い男が座っていた。


「あれ?なんすか?犯罪者ですか?」


は、犯罪者ぁぁ!!

自分が犯罪者であることに卒倒しそうになる。

しかし、目一杯歯を食い縛ることで何とか耐える。

おじさんは爽やか風イケメンさんを無視して俺を右側の椅子に座らせる。


「おい坊主、お前三年前のアムリムのスタンピードの生き残りっつったな」


「え!?」


俺に対面に座る二人。

そしてイケメンさんは酷く驚いた顔をした。


「は、はい」


ここで、おじさんの顔を震えながらも目を見てしっかり答える。

そう答えた俺にさらに目を細目眼光をきつくする。


「おい、サウル。あれ持ってこい」


「あ、はい」


淡々とした声で、隣のサウルと言名のいけるかもに指示を出す。


あれって・・・。


そして、そのあれとはすぐに出てきた。

目の前に置かれたものは淡い光を放っていて所々チカチカ明滅する。


あ、中に<光理術>が結晶になって光っている。


そして、この理術の構築式を俺は知っている。

正しくは<知識>が教えてくれる。


<光理術・断罪系統の真偽1>じゃないか。


断罪系統・・・裁きを主軸に置いた理術。悪や嘘に強力な反発力を発揮する。


真偽1・・・神の助けを借りた御技。言葉の真偽を判断する。嘘なら明滅する。強力な<闇理術>を会得していると効かない。


いけるかもしれん!


「おい!」


「はっ、はい!」


少し呆けていたようだ。

しっかりしろ!俺!


「で、これが何か分かるか?」


「い、いえ、分かりません」


ここは無知を表現しておこう。


「そうか、これは強力な光魔法がかけられていて言葉の嘘を見抜くことが出来る。つまり坊主の言葉が嘘ならこいつがキッチリ教えてくれる訳だ」


「はい」


「で、もう一度聞く」


「はい」


おじさんは一息いれて鋭い声音で問いかける。


「お前は、スタンピードの生き残りか?」


「・・・はい」


・・・・・・。


光らない。


「えぇ、マジっすか・・・」


「そのようだな」


その途端おじさんの顔がくしゃりとつぶれた。

サウルさんの方はただ驚いていただけだったが、おじさんの方は悲しむような、それでいて嬉しいような、そんな顔だった。


「あ、あの」


「あぁ、疑って悪かったな、もう三年も前だあり得ない話だと思ってたんだよ」


「はぁ・・・」


「さらに、迷宮区に迷い込んだって?」


「えぇ・・・」


「大した奴だ、よくぞ生き残った」



その言葉に胸が痛んだ。

おじさんの言葉にはあの災害に何か深く関わっているような言い方をしている。

俺はおじさんの心に今、嘘をついた。


おじさん、ごめんなさい。


俺は一生忘れない。

おじさんに嘘をついた後ろめたさを抱えて生きていくんだ。


「おい、大丈夫か坊主?」


「す、すみません少し疲れていて」


頭が下がっていたらしい。

直ちに背筋を伸ばす。


「だろうな、ちょっと待ってろ、飲み物と食い物を用意してやる。サウル、お前は役所に報告しろ。スタンピードの生き残りだと」


「了解です」


サウルさんは駆け足で出ていく。

おじさんも席を立ち隣の部屋から水の入ったコップと麻布の袋を渡してくれる。


「すまねぇな。嫁がくれた菓子しかねぇや。これで我慢してくれ」


「いえ、凄くありがたいです」


俺は水とお菓子を大切に頂く。


「どうだ、旨いか?」


「はい、美味しいです」


クッキーが甘くておいしい。



色々説明が足りないのは申し訳ないです。

我慢して下さい・・・。

嘘です努力します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ