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オパーイ多いです
キーンと高い音を発てながら地面に落ちる三角推、三角柱や正四面体。
その後、この室内には軋むような音のみを残し、静かになる。
爆ぜた右腕は<自己修復>によりビシリとかビシとか石特有の音を発てながら回復していく。
そして、あっと言う間に腕が完治する。
ほっと一息入れようとした瞬間。
目の前にレベルアップの文字が現れたかと思うと凄まじい頭痛に襲われる。
「つっ!?」
それは今まで体験してきた痛みとは別感覚で、頭の中に大量の情報が溢れ出し必死にそれを頭に詰めようとしている。
それが限界を超え容量を無理やり押し広げ、また詰め込むと言う無茶なサイクルが俺の頭痛へと繋がっていた。
「くぅぅ・・・。いつになったら治まる・・・」
立ってられなくなり蹲る。
膝をつき必死に耐えた。
それから一時間後、ようやく頭痛から開放される。
一面汗だらけで、俺も考えるのを止めていた。
「ヂョヂョに出でくる誰かさんみたいだな」
疲れていても冗談が出てくるだけ最初の頃よりましだろう。
<激痛>耐性さまさまだな。
体を起こしレベルアップの文字に触れる。
名前/朝宮 龍一
性別/男
LEVEL/507
HP/10821
MP/9325
STG/6730
DEF/5981
INT/6098
DEX/7031
SPEED/5623
LUK/21
技能
<鑑定><大脱出><集中><自然親和><錬金><クラフト><調合><医術><隠密><採集><拳闘><オイキス顕現><プロメティン顕現>
理術
<火・4><風・5><土・4><水・4><氷・5><雷・5><次・5><時・4><光・5><闇・5><魔力感知><並列処理><多重起動><複合><合成>
耐性
<猛毒><麻痺><激痛><魔病><熱射><寒冷><水魔><飢餓><断罪><深淵><誘惑><呪詛><即死><物理><魔力>
身体
<静寂なる力>
<暴虐なる知識>
<ど根性><自己修復><空気調達><鷹の目><魔眼><身体昇華><魔力昇華><危険予知><存在隠蔽><擬態><最適化><努力家><忍耐><反射防御>
親和性
<花妖精><龍><精霊>
とりあえず色々ぶっ飛びつつあるがそれはあまり考えない。
体を起こし、出口へ向かう。
夕日が眩しく思わず目を細めてしまう。
体は重いが腹が減ってきているので食料調達の為に森へと足を踏みいれる。
今日は何食べよう。
その後、食料調達の最中にいつもじゃれてくるあいつらに襲われつつ(じゃれつかれる)なんとか確保し、拠点に戻ってくる。
お腹の減った体は晩飯をさらりと平らげ、満腹感は睡魔を呼んだ。
そして、考える暇なく俺は眠りに落ちたのだ。
翌日
体も完全に休まったので、昨日手に入れた能力と、あまりにも膨大にある<暴虐なる知識>の知識を調べたり試したりする為に、行動を開始する。
そこで、花妖精の群生地帯へと赴く。
あいつらはどこにいるかなと・・・あ、いた。
え、ちょっと、まっ!!
抵抗も出来ぬまま蔓によって体を拘束されて引っ張りこまれる。
そこには色とりどりの花々と青く透き通った湖があり、まさに綺麗な植物が生きるのに最適な場所だった。
そして、見目も麗しい花妖精が集まり楽しそうに遊んでいるのだ。
見るものが見ればまさに楽園と言いそうなものだが。
二週間あまりに渡り関わってきた俺からすれば地獄の処刑場にしか見えん。
実際俺は、目の前の赤いバラのような花から体を出す、赤髪、薄いピンク肌の花妖精が操る蔓によってぶらぶらされたり服の中やポケットに花を突っ込まれたり、よくわからん植物を口の中に突っ込んでくる。
ちなみに、<猛毒>や<麻痺>の耐性が付いたのはこいつらのおかげだったりする。
ひどい目にあったがな!!
さらに言うとこの目の前の花妖精は俺を苦しめにくる常連だ。
もう覚えた。
と、こんなことをされている場合ではない。
俺は花妖精を凝視し<鑑定>を発動させる。
名前/
種族/花妖精
階位/パルセノキッサ
LEVEL/298
HP/5210
MP/3671
STG/791
DEF/1068
INT/2375
DEX/2178
SPEED/1429
LUK/1789
技能
<自然親和><隠密><採集><植物操作><誘惑><災厄の粉><ドレイン>
理術
<風・5><土・5><水・3><魔力感知><多重起動>
耐性
<猛毒><麻痺><激痛><魔病><誘惑><魔力>
身体
<自然治癒><空気調達><魔力昇華><危険察知><隠蔽><魔力膜><水吸収>
このステータスを見て俺は驚いた。
まず、この<階位>とはまさに魔物たちのランクを表すものだ。
生まれ落ちた瞬間からこの姿の者もいれば年を経てこの<階位>を上げる者もいる。
そうやって姿を変えていく魔物達を解りやすく区別する為に名前を付けた。
そして、パルセノキッサとは、花妖精の最上位固体であると<知識>が教えてくれる。
「お、お前らって花妖精の中で最上位の存在なのか・・・」
驚きを隠せず目の前の奴らを凝視する。
大きな花をふわふわ揺らし楽しそうに俺の体を持ち上げたり目隠ししたり、抱きつい・・・。
「や、やめろ!抱きつくな!その柔らかいスイカを俺に押し付けるな!」
こいつは俺がこうやって苦しむの姿が好きなんだ。
俺が本気で怒らないぎりぎりを見極めもて遊んでくる。
俺は奴らのステータスを見ながら悪態をついた。
花妖精は魔法への耐性が非常に高く、さらに幻惑、誘惑、凶悪なバットステータスを付与する粉など絡め手の天才だ。
男性の生気を好み誘惑して吸い殺す。
さらに最上位になると末恐ろしく、悪戯好きに拍車がかかり嬲り殺すことを好んでするらしい。
逆にお気に入りは長い時間かけて拘束し子孫繁栄のために何かされるらしい。
俺も奴らの気まぐれ次第で肉塊になっていたかと思うと冷や汗が止まらない。
と言うか、止めろ!そのオパーイをすりすりするな!俺の理性がぶっ飛ぶわ!
「まったく、なんて恐ろしい奴らだ。だが、殺される前に俺の方が強くなったからな!!へへん!ざまー見ろ!!」
うまく身をよじり脱出する。
すると周りの連中は困った顔で俺を見てくる。
俺を捕らえていた奴もそんな顔だ。
「んだよ。意味解らん」
面白くないなと思いながらもう一度ステータスを観察すると、気になる部分が見つかった。
「名前が・・・ないな。どう言うことだ?」
ヘルプをしても説明がない。
「あれかな・・・動物みたいに個人?を区別するのに名前が必要ないから名前が無いのか」
目の前の薄ピンク肌の花妖精を見る。
しかし、俺が何を言っているのか解らないのかかわいらしく首をかしげる。
その仕草び男心をくすぐられる。
俺がここに来てやたらと魔物を殺さない選択肢をしたのはかつていた世界の常識を引きずっているのとレベルアップの件ともうひとつ。
人型の魔物はどうしても殺せないと感じたのだ。
他の世界に点在する異世界転生者は何を言っているんだと呆れると思うが、いざ自分の立場になると非常に気分が滅入ってくる。
それにいずれは、元の世界に帰るつもりなのだ。
できることなら自分を貫き通したい。
矛盾は覚悟の上だ。
それより名前だ。
「なぁ」
声をかける。
すると、しゅるしゅると蔓を使いながら器用に俺の前に移動した。
駄目もとで。
「名前、欲しい?」
そう聞くと、やっぱり首を傾げられてしまう。
当然か・・・。
俺の感情の機微は理解できていたからといって言葉が通じると言うことはないだろう。
だったら何か解り易い物で・・・。
何かしようと体を動かした時、思い出すような閃きを脳が感じた。
これは何か変な感覚だ。
本来知らないことを思い出すと言うひどく矛盾した脳の動きは俺に少し不快感与える。
まぁ、この<知識>は今後絶対役に立つから文句は言えない。
そして、初めて知った過去の記憶を頭でしっかりと理解し、実践に移す。
まずは手を出す。
当然相手は頭上に?マークを散らばせる。
仕方ないので強引に手をとる。
嫌がられたり蔓で叩かれるかと覚悟したがそれはなかった。
てか何で皆抱き合ってはしゃいだり、拍手なんかしてんだ。
と言うかお前は何でそんな頬を染めたりくねくねしてんだ。
例え、知識として持っていたとしても生きている者は常に変化すると言う事か。
とりあえず、第一段階クリア。
次は魔力を送り込む。
すると、急に流れてきた別の魔力に驚いたのか少しビクリと体を震わせる。
しかし、これも嫌がる事無く手を握っていてくれる。
思ったより大人しいな・・・。
だが、順調に進んだこれで後は心を通わせるだけ。
慎重に心を開く。
相手と繋がるように。
あ、向こうも開いてくれた。
後は・・・。
『き、聞こえるか?』
ビクン!!!
今度は大きく驚かれた。
『え、な何!?あなたの声!?』
『そう』
『わ、私、あなたと話せるの?』
『うん』
そう答えると唖然とされた。
そりゃこんな浮遊島にいていたらこんな体験できないよな。
びくっりするはずだ。
だが、それを利用させて貰う。
『名前、欲しい?』
『な、名前?』
『お前らが確か<こころつなぎ>と呼んでいるやつ』
『!?』
『どうだ?』
『わ、私に真名をくれるの・・・?』
知識で知った言葉だ。
魔物は人のように言葉を発することはない。
声を発生する器官があり尚且つ人以上の知性があるにも関わらずだ。
それは、彼らが<理性>を持たないかららしい。
人とそれ以外の生き物の違いとは自然の摂理に反するか従うかが根幹にあるらしい。
だから人と言う種族は同じ人と言う種族を縛るために<言葉>と言う物を覚えたらしい。
しかし、なぜ同じ人同士がお互いを縛る術なんかを手に入れたかと言えば、生物として最低限の自然に従う為の行動らしい。
それに、<人>という言葉の意味を頭の中で考えたとき、こんな文章が浮かび上がったのだ。
<人>・・・七つの欲望を抱える生物の最下層。これらは言葉によって生物としての最低限度を守った
とんでもない説明文だ。
と同時に一理あるとも思った。
とにかく言葉とは言うなれば生物を縛るものなのだ。
そんなものを渡されてなぜ目の前のぼいんぼいんの花妖精は驚き喜ぶのか?
彼らは<真名>を授けると新しい固体に進化できるらしい。
その理屈は、パルセノキッサと言う枠から外れるためだそうだ。
詳しくは何やら他者の魔力による細胞変化と生物としての役割を果たしているものが縛られることにより、その皺寄せが肉体の強化に繋がると頭の中で言葉が浮かんでくる。
それをこいつらは喜ぶそうだ。
と長々と説明したが、ぶっちゃけどうでもよろしいので早速名前を考える。
『えっとな、嫌なら嫌って言えよ』
『ううん。あなたに付けられる名前に嫌なものなんてない』
・・・妙に信頼感があるな。
『わ、解った。じゃあ今から言う』
『お願い』
『ダリア』
確かこんな花の名前があった気がした。
それにこいつの持つ妖艶な気配も名前にぴったりだと思う。
『あ・・・』
するとステータスに表示されていなかった名前の部分に<ダリア>と言う文字が記載されるステータス全体が文字化けした。
驚き、ダリアの姿を見るとダリアの体の一部が発光し出し、終には全身が輝き出した。
「はぁ!?」
あまりの事に驚き思わずダリアの体を腕にとり、声を荒げる。
「おい!大丈夫か!生きてるか!?返事しろ!!」
知識としては知っているのに初めての体験と言うせいで俺はこんなことになった。
大丈夫と解っていても一高校生の精神しかない俺には情けなくも感情がぶれてしまうのだ。
しかし、そんな心配を他所に体の発光は次第に消えていき、そして。
「お、おふぅ」
大きなオパーイ俺の顔面を覆い尽くした。
「て、ちょっとまてぃ!!このオパーイどけろ!!」
「ええ、いいじゃん気持ちいいんでしょ」
「そ、それはそうだけ・・・ん?」
「ん?」
俺は紳士の気持ちを忘れすばやくこの柔らかいものどかした。
体感してる暇などない!!
「ダリア!!喋れるのか!?」
「知っててやったんじゃないの?」
「いやそこまで調べてない」
なんと言うことでしょう。
冷静になった自分が見たものは前のダリアの姿を残しつつも赤と白の混じる花びら、薄ピンクだった肌は雪のように白くなり薄っすらとピンクの紋様が浮かんでいる。
髪は同じ色のままだったがお尻の部分まで延びていた。
そして、オパーイはさらに大きくなっている。
「あ、どうも」
俺はあまりにも美しい存在の前に完全にチェリーを丸出しにしてしまった。
「いきなりそんな反応されても・・・」
向こうも困ったようだ。
と言われてもこっちも困る。
17年と言う時間を生きて彼女も出来なければ家族以外にバレンタインチョコを貰ったこともない。
かといってギャルゲーは俺には敷居が高すぎて購入は結局できなかった。
ゲームと絵をひたすら描き続けた俺の人生にこんな美女どうしろと言うのだ。
ただでさえ、見た目が美しい奴らなのに、さらに喋れるとなるとコミュ障の俺には成す術はない。
「あ、あの普通にしてよ。こっちも恥ずかしいから」
「・・・。はぁ、すまん、なるべく努力する」
最後、妙な雰囲気になりながらも花妖精のダリアは無事、進化を果たした。
技能に関しては今後まとめて乗せようと思います。