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能力の説明後書きに載せます
俺がこの森に転移させられてから十日。
最初の日に拠点と決めたあの不思議な場所を中心に活動範囲を広げた。
それにより魔物-俺が最初に出会った巨大猪とかのこと-と遭遇する機会も増えたわけで。
それはもう大変な十日間だった。
巨大な黒豹に追い回されるわ、でっかい花から女の人が生えた魔物に連れ回されるわ、またあの大きい猪につっこまれるわで散々だった。
しかし、数々の幸運をそれはもう大量に掴んだ俺は今!!
生きている・・・。
その結果が
名前/朝宮 龍一
性別/男
LEVEL/139
HP/809
MP/387
STG/427
DEF/293
INT/233
DEX/311
SPEED/174
LUK/9
技能
<大脱出><集中><隠密><採集>
理術
<風・4><土・2><水・1><魔力感知>
耐性
<猛毒><麻痺><激痛><魔病><寒冷><誘惑><呪詛><即死>
身体
<ど根性><空気調達><鷹の目><暗視><危険察知><存在希薄>
<適応力><努力家><忍耐>
親和性
<花妖精><龍><精霊>
いっぱい増えました。
それも環境にめいいっぱい適応するため死に物狂いで手に入れたものだ。
色々死にかけたがその度能力が開花して助かった。
そこ、ご都合主義言わない。
そもそも裸一貫で放り出されてさらに状況はオワタ式。
そりゃ幸運の一つや二つ起こらないとやってられないって話だ。
いったい誰が俺をこんな目に合わせたのか、いつか文句言ってやる。
と、話が反れたが、ステータスはこの十日間で大幅に増えさらに<親和性>と言う能力まで開花した。
これは言葉通り表記された生物などと仲良くなる可能性が高くなるとか。
発生条件はいまいちよく解らなかったが、表記された奴らには思い当たる節はある。
こいつらは俺をそれはもう十日間ずっとじゃれ倒してきた奴らだ。
それも一方的に・・・。
こっちの都合も考えないで、それはもう色々された。
花妖精の奴らは俺を土の中へ引きずり込み顔だけ野ざらしにしてクスクス笑ったり。
髪に花をやたらと差し込んできたり。
昨日なんか、奴らの住居で体に蔓を巻かれて拘束されそうになったのだ。
体のところどころが痛かった。
そして精霊は、水の精霊がやたらとからんで来る。
汗をを流すため水浴びしようと見つけた池に手を突っ込んだら、いきなり目の前に女の人が出てきて、そいつに手を掴まれ池に引きずり込まれた。
突然のことでびっくりしたし息も吸い込む暇もなかったから当然死にかけた。
なんとか自分の息が苦しいことを伝えれたようで死なずに済んだのだが。
それから俺が水のあるところに近づく度に水をかけられたり池に落とされたりした。
なんなの・・・。
最後に龍だが・・・。
とにかく追い回された。
二日目の日中、探索中に全身真っ黒で翼を持った黒龍に出会った。
この世界に来て一番でかい体長とごつごつした鎧のような龍鱗。
その場所は最初いた鬱蒼とした場所とは打って変わって日差しが差し込む全体的に暖かい緑が包む場所だった。
その日差しを受けて輝く龍鱗は、ところどころ群青の光沢を放ち宝石のような美しさがあったのを覚えている。
そんな姿に見惚れてしまったのが運の尽き。
奴は体をゆらりとこちらに向けて、一気に走り込んで来たのだ。
木々をなぎ倒しながら突貫する姿は圧巻で、能力である<逃走>を発動させ全力で逃げたものだ。
その時に、<逃走>が<大脱出>にグレードアップしたのは余談だ。
その後、黒龍の巣に引きずり込まれたりした。
・・・こうして振り返ると引きずり込まれてばっかりな気がする。
まぁ、こうして短い期間の内にこれだけの能力が開花したのはなんだかんだでこいつらのおかげだし無闇やたらに生き物を殺しまわらなくてもレベルアップ出来たのもこいつらのおかげだ。
そして、またこいつらのおかげで気が付いた事は、ゲームのように魔物を倒したら経験値が入ってレベルアップと言う訳ではなくて、ただ何か経験を重ねたり危機的状況に陥ったりすると経験値が入っているようである。
もちろん、殺してもレベルアップはする。
だから、ここの転移してからは指で数えるほどしか生き物の死を見ていない。
数えるほどしか見てはいないがこの手で殺した生き物はいる。
そいつらの肉はしっかり食べさせて貰った。
生でしんどかったが、残さず食べた。
おかげでこうして生きている。
ありがたい。
「ん?何だよ?」
そうして考えこんでいると、頭を小突かれたので振り返ると、俺の十日間のダイジェストに出てきた黒龍が俺を覗き込んでいた。
どうやら放心状態であった俺を心配してくれたらしい。
寵愛の能力を得てからなんとなくこの黒龍の考えていることが解るようになった。
感情の機微のみだが、本当に便利だ。
「大丈夫だよ。ありがと」
そういって口先を撫でる。
そうするとこいつは気持ち良さそうに目を細めるのだ。
かわいい奴だ。
「それじゃあ俺はそろそろあそこに戻るな、また明日」
そう言って、手を振って拠点へ戻る。
そうすると黒龍は一声鳴いてその場から飛び立った。
なぜかあいつらは、あの三つの建物がある広場には立ち寄ろうとしない。
それどころかこの十日間、あそこには生き物一匹現れることはなかった。
不思議なことだが、そのおかげゆっくり眠れる。
辺りが夕日により赤く染まった森を歩いて行く。
そして、十日間お世話になったこの樹海一安全な拠点に戻ると、そこには少しだが、俺にとっては大きな変化が現れていた。
「あ、開いてる・・・」
青黒い建物の扉が開かれていた。
そして、その上に掛かっていた蜀台らしき物に青い火が灯っていたのだ。
「どういうことなの・・・」
他の建物もどうなっているのか見てみると、以前と変わらない姿がそこにある。
「ここだけか・・・。入ってみるか」
何故、急に開いたのか、蜀台に火が灯ったのか、尽きぬ疑問はあるが入ってみるしか俺の緩い脳みそでは答えを導きだせなかった。
ゲームと絵の知識はあるが、それ以外はからっきしだし。
おそるおそる足を踏み入れる。
「やっぱり暗いな。なんも見えねぇ」
中は真っ暗で何も見えない、ただそこには不気味さはまったく無く、俺はなぜかゆっくりながらも足を進めることが出来た。
そして、入り口からある程度離れた所に来た途端。
事態は急変した。
後ろから感じていた光が突如消失し辺り一面が真っ暗になった。
慌てて<暗視>を発動するが、それでも視界は確保できなく一層パニックに陥る。
「わわわわ、やばい、全然見えない。迂闊に入るべきじゃなかった・・・」
いまさら慌てても遅い、自分の浅はかさに後悔しつつ見えないながらも入り口の方へと足を向けると、いきなり辺りが明るくなった。
「ううぇ!!?」
また変な声が出た。
俺は基本的にびびりだ。
明るくなった部屋を見渡すと外から見た建物の大きさの数倍広いこの空間に驚愕する。
「なにこれぇ・・・」
あほ見たい顔を晒しているかもしれないが、そんなことを気にしている場合ではない。
思考が追いてきぼりになる前に周りを手早く見渡す。
すると、視界に一つ何かが入ってきた。
慌ててそれを注視すると、何かが鎮座している。
「・・・なんだろ」
何か手がかりがあるかもしれない。
慎重に近づく。
そこには、おおよそ人の骨格に近いが、全てが直方体で形成されていて、なぜか左腕であろう部分が異常に長い。
人ならば心臓がある場所には青く光る宝石のような物は浮遊している。
人型のそれは顔に当たる場所は直方体になっていて正面の面はとても細い。
全体的に透き通っていてなんとなくクリスタルを思い出した。
そうやってパニックも収まりまじまじと謎の人型を観察した。
『異界より現れし<平定者>よ。我らが願いを叶え賜え』
「!?」
話しかけられた!?
『破滅を、終わりを、治めて欲しい』
「え!?ちょ、待って!?叶えろっていきなり何!?」
『汝、力を求めよ』
会話を一方通行に進行し人型は動きだす。
俺の身長、175cmと同じ位でも完全に俺とは別格の存在感を叩き出している。
そして、告げられる彼の者の名を。
『我は<静寂なる力>。我を求めよ』
<静寂なる力>は姿勢を少し後ろに傾け右腕を振りかぶる。
俺はその時、体が勝手に反応し倒れるように体を傾けた。
その瞬間、頭の傍を何かが通り抜けた。
そして、がぁん、と言う鉄と鉄がぶつかったような音が部屋に響き渡る。
後ろを振り返ると拳程の大きさの立方体が閉まった扉の前に落ちていた。
「まじかよ・・・。見えなかった・・・」
今の偶然の回避は<危険察知>のおかげだ。
出なければあんな高速で飛来する物体を回避できる訳が無い。
それを理解した瞬間、得も言えぬ恐怖に襲われた。
連続で投げつけられたら?もっと大きい物が飛んできたら?更に速くなったら?
そんなことが脳裏をよぎったのだ。
その結果は、死だ。
俺は死んでしまう。
森の中で体験したこととは比べることも出来ない圧倒的な恐怖に足が竦む。
しかし、それ以上の恐怖が包み込む前にその恐怖は突如霧散した。
あの人型の姿を目で捉えた瞬間、頭が急に冷静になったのだ。
何故かは解らない、ただこいつが本気で向かってきていて、俺はそれに全力で答えなければならない。
そんな感情が俺の心を占めたのだ。
『それでいい』
人型が何か言葉を発した気がするが俺は今どうやってこいつと本気で向かい合うか頭でいっぱいだった。
状況の整理を行うと同時に俺は駆け出していた。
初めからこうしたらいいと解っているような動作で。
人型に近づき奴が強烈な速さで振るう左腕のスウィングをすれすれでしゃがんでかわし胸部に輝く宝石を殴りつける。
拳が痛むが群青の宝石はわずかばかり皹をいれる。
その瞬間に横合いから物体が飛来するのを感知、すぐさま首を捻り回避する。
頬をかすりそのせいで傷ができるが構わない。
上体を捻った反動を使い左足を軸に回転、すぐさま右拳を放つ。
宝石に当たりまた皹が入る。
その状態から左腕を自分の腹部まで持っていき、俺の腹部に襲い掛かる物体を受け止める。
その際、左手がバキリと音を鳴らした。
人型は振りぬいた左腕を返し刀で再び振り抜こうとする。
それを俺はダッキングの要領でかわしダッキングの移動に合わせながら右腕を振りぬく。
体重移動しながらのスイングにより先の二発よりも大きく皹が入りその宝石の欠片が地面に落ちる。
拳を当てる度耳鳴りが強くなる。
何故こいつはこうまでして俺を強くしたいのか、何故こうまでして俺を信頼してくれるのか。
脳裏に流れ込んでくるこの人型の思い。
俺はこいつの願いを凄く叶えてやりたいと思った。
振り抜く反動を殺さないように残った右足を進める。
頭上からの細長い飛来物が、俺がいた場所を高速で通り地面を鳴らす。
その音を聞いてすぐに俺は人型と真正面に向かい合うよう姿勢を動かしながら大きく後ろへ移動する。
そこには奴の振りぬかれた右腕が眼前に置かれていた。
そして、それは微細に振動している。
すぐさま、右拳でそれを上へかち上げると、それは悲鳴にも似た音を鳴らしこの場の空気を揺さぶった。
人型の上がった腕を潜るように前進し、右拳で殴りつける。
奴の心の臓に大きく亀裂が入った。
その時、目も何も無い奴の顔のような部分と何故か視線が合わさった気がした。
それには言葉に出来ない感情のようなものを感じたのだ。
左腕を構える。
そして、人型<静寂なる力>の命を捉えた。
『感謝する』
宝石は甲高い音を発てて地面に降り注ぐ。
視界が暗転した。
<大脱出>・・・逃走時SPEEDとDEXに強力な補正がかかる\逃走の最上位派生
<集中>・・・行動の処理数を減らすことである一点に対して凄まじい補正がかかる
<隠密>・・・自分の気配をなるべく減らすように行動するDEXに依存する
<採集>・・・状態を綺麗に維持したまま採取できやすくなるDEXに依存
理術
<風・4>・・・魔力を操作し風を操る技術 錬度4
<地・2>・・・魔力を操作し地を操る技術 錬度2
<水・1>・・・魔力を操作し水を操る技術 錬度1
<魔力感知>・・・魔力を内包する存在を感知する
耐性
<猛毒>・・・強力な毒に強くなる
<麻痺>・・・身体にかかる痙攣や筋肉の強張りを弱める
<激痛>・・・痛みに凄まじく強くなる
<魔病>・・・魔力による身体低下に凄まじく強くなる
<寒冷>・・・寒くない
<誘惑>・・・魅了や洗脳を無効化する
<呪詛>・・・呪いや憑依に凄まじく強くなる
<即死>・・・魔法や痛み、失血、呪い、毒、洗脳による即死を無効化する
身体
<ど根性>・・・体力低下に伴いSTGとDEFに強力な補正が掛かり、恐慌状態を打ち消す
<空気調達>・・・どのような状況下でも空気を集めることができる。ただし真空下では無効
<鷹の目>・・・遠くまで視認できるようになる。遠距離においての行動にDEXに凄まじい補正が掛かる
<暗視>・・・夜間、視界不良時に耳や鼻、皮膚に強力な補正が掛かる
<危険予知>・・・危機的状況を察知できるようになる
<存在希薄>・・・集団時や隠密時に状況に応じて隠密へ補正が加算される。
<適応力>・・・悪質な環境下に適応しやすくなる
<努力家>・・・経験値と能力覚醒、錬度の増加に凄まじい補正が掛かる
<忍耐>・・・全耐性に凄まじい補正が掛かる
親和性
<花妖精>・・・花妖精種と仲良くなりやすい
<龍>・・・龍種と仲良くなりやすい
<精霊>・・・精霊種と仲良くなりやすい