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夏生詩集2

存在

作者: 夏生

わたしの手は

なにをまもることが

できるでしょう


わたしの存在は

なんの役にたつでしょう


長いあいだ

考えていました


なにをやっても

うまくゆかず

誰かの眉間のしわを

ふかくすることしか

できなくて


生きる意味は

ひとそれぞれちがいますから

自ら

みつけだすしかありません


ある日、母はいいました


あなたの笑顔に

助けられたのよ

壊れそうな心を

癒してくれた、と


慰めか励ましか


鏡に向かって

笑顔をつくっても

口角のあがった顔が

映っているだけで

ピンと来ず


こんな顔でも

一度は役にたったのか

親の欲目、という言葉を

口角の隅に貼り付けました


わたしの

手でなにをまもることが

できるでしょう


長い時間と幾度の涙の

後にわかりました


大切なひとの

いたみにふれたとき


幼い我が子にふれたとき

おなかがいたい、と

泣いた我が子のおなかを

なでたとき


苦しげな表情が

消えて

ふんわりと解けていきました


私が

私だけでなくなったとき

はじめて

在ってよかったと

心から思えたのです







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― 新着の感想 ―
[良い点] 悩みつつも、答えが優しいところです。 自分の存在を不思議に思うところもですね。 [一言] 誰かが居ないと 自分って誰なのか分からなくなりますよね。
2014/02/08 01:07 退会済み
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