ウォークス
ジャリ
なにもない荒野の中で彼の足音だけが響く
ザッザッザッ
歩みを進める
まるでなにか探してるみたいに
「確かこの辺りのはずなんだが……_」
そう言って辺りを見回す
サッー
と風が吹く
月明かりが彼を優しく照らす
真っ黒なマフラーに紫の線が入った少し長めの黒いコート、手には革製の手袋
黒いコートの中から出る白い肌、蒼い瞳、片方の耳だけにつけられた青い丸いピアス
どこか不思議な青年だ
なにもなにもない荒野の中で1つだけ違うものがいる
木でもない、動物でもない、岩でも、ない
人間だ。
それも5歳ぐらいの女の子
その小さい体を地面に預けている
彼は歩み寄った
「おい!おい!!大丈夫か?
聞こえてるなら返事しろ!!」
彼はそう言いながら少女の小さい体を揺さぶる
『ん……』
ーよかった、生きてる
「君、大丈夫か?
君が声を送った子か?」
『こえー?なーにそれ?』
少女はまるで寝起きみたいに答えた
「じゃあ、声はどこから?」
すると、彼は少女の体に手紙がひっついていることに目がいく
ーなるほど、彼女が「ミライ」ということか……
「君名前は?
俺はシーザー・ユートリア」
『あたしー?
あたしはねー……___』