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第六話:男は黙って跪け

 「男だから」


 そう言って力を発揮した彼は出会いの瞬間から私の好奇心を刺激してくれた。


 『ロゼの夏休みの自叙伝』一部抜粋。


 

「へぇ~、チャックルさんはそんな昔からここのボスのロゼさんの下で働いてるんスね。マジカッケェZE♪」


「これでもこの研究所では最古参の側近ですからね。

 武力に関しては研究所一の腕だと自負しておりますよ」


「俺も国では一番の騎士ですから、その内闘う日が来るかもしれないZE?」


「それが我が主の望みなら是非に♪」



 考え無しと言うべきか、気の抜けたアクスの間抜け面に毒気を抜かれて素の対応をするチャックル。


 バカっぽいアクスだが、これが話してみればこれが意外にも教養があり、口を閉じて真面目にすればモテるだろう残念なイケメンである。


 だが残念なイケメンとは、モテない代わりにその身にまとう雰囲気によって誰とでも友達になれる才能なのだ!


 ……決して友達以上に進まないのだがそこは突っ込んではいけない。

 それに大丈夫! この研究所のボスであるロゼは面白いものに興味津津なのできっとアクスを気に入るだろう。


 チャックルはその天才的な頭脳により、このユニークな客人と、放っておけば一生独り身でいそうな主のイチャコラする未来を夢想する。



「(となると二人が結婚して子供が出来れば、私はお爺ちゃんポジションになるのかもしれないな♪)」



 主の部屋に案内する道中。

 そんな事を夢想するチャックルなのであった。



 ◆ ◆ ◆



「遅かったわね、チャックル。

 堅物な貴方も客人が気に入ったの?」


 歩きながらとはいえ、チャックルとアクスは道中ずっと、くっちゃべっていたので時間がかかっていた。


 ほんの数分のことだろうが、科学者であるロゼは時間に厳しい。



「申し訳ありません、ロゼ様。

 私も彼――アクスの雰囲気に興味を引かれるものがありまして」


「ふ~~ん」



 だがロゼの超越者としての一面は時間にルーズな部下を許容していた。

 何故なら面白いものが大好きだからだ。これこそが彼女のボスとしての器の片鱗である。



「ようこそお客様。私はこの研究所のボスをしているロゼよ。

 不老だから見た目はこんなだけど、貴方の何倍も生きてるわ」


「はじめまして、ロゼさん。

 俺はここより南、山向こうのレプリード王国領内にある、ラガラル伯爵様の直属騎士団所属のアクスです♪

 さっきも玄関で言いましたけど、美少女に目が無いからお付き合いを前提に友好関係を築いていきたいと思ってまっSU♪」


「本当に裏表のない人なのね」


「そりゃ男ですから♪」



 ファーストコンタクトは実際重要。

 別段、ロゼは事を構えるつもりはないが、それでも自分の科学力を行使することに躊躇いはない。


 この時、アクスがとった気安い態度こそが、ロゼにこの世界を平和的に自分色に染めようという意識を与えたのだった。



「それで、貴方は上の人から何を言われてここに来たのかしら?」


「いえ、特に聞いていないんだZE♪

 強いて言うならロゼさんと俺が仲良しになればそれで世界が平和になる的な? そんな風に言われた気がします」


「私が推測するに、その辺の理由は自分で考えたんでしょ?」


「はい! 実はなんでここに派遣されたかよく覚えていないんだZE♪

 何故なら俺は、ロゼさんに惚れたからァー!」



 あまりにも正直なアクスに、思わず笑ってしまったロゼ。

 いや、馬鹿にしている訳ではないのだが、ロゼの中の乙女要素がアクスの馬鹿さに心地よい刺激を受けているのだ。


 アクスはアクスで、美少女に笑われるという行為にも興奮できる男である。お互いに高感度が上昇した。



「それじゃ、貴方の国の上層部に直接挨拶をさせてもらおうかしら?

 私としても、何処かの国が接触を図ってきたら会いに行くつもりだったし」


「どうぞどうぞ♪ もしもの時には騎士として俺があなたを守りますよ!」


「貴方、強いの?」


「素手で岩を砕ける程度には」


「私は素手で鉄板を貫くわよ?」


「ならば俺は拳で城を破壊できます!」


「貴方、もしかして気合いが肉体を凌駕するタイプ?」


「そりゃ、男ですから♪

 ロゼさんみたいな可愛らしい女の子に見られていれば限界なんて軽く超えちゃいますYO♪」



 科学者としてのロゼが観察するに、この騎士アクス、気合いでどんな強敵すら打ち破れる強者なのだった。



「ふふっ、それならしっかりと私を守ってね」



 大胆にもロゼは、その平坦な胸をアクスの腕に押し付けることで懇願する。


 これはまさに、アクスの無限に広がる煩悩パワーを刺激し、絶対に誰にも負けないレベルにまで強くする行為である。


 あと、平坦であることがこの場合は重要である。アクスの好み的に。



「ハイヨロコンDEー♪」



 男は単純なほど強い。アクスはこれが平常時のテンションであり、そこをロゼに気に入られた。


 はてさて、この二人は一体どんな関係になっていくのやら。


 二人はロゼの発明により、一瞬で山向こうのアクス暮らす国へと転移するのだった。科学的に。


 キャラ設定 ~ロゼの生みの親~


 姓は天才、名は科学者。「天才 科学者」という広島県福山市の名家、天才家に生まれた科学者、広島大学を優秀な成績ながら中退して表社会から消えた天才。


 「好奇心が溢れまくり病」に罹ったことで自らの死期を悟り、自身の人生で究極の夢である「自分を超える天才」を作るために無人島を作って科学的に隠遁した。


 その後、宇宙一の天才を作り出す計画の実験中、完成を待たずして病に死す。


 なのでロゼに苗字を付けるなら「天才 ロゼ」になるのだが、作者が全キャラの苗字を考えるのが面倒ということで苗字の無い世界に転移した設定を思いついた。

 地球出身の研究所の仲間たちは元・野生動物だから苗字が無くても無問題ということで。


 性格や容姿は親譲り。ということでロゼの生みの親「天才 科学者」さんは女性にしましょうか。

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