第二十話:モンキードリーム
うーん、ホラーっぽい話のつもりが、元ネタからも大きくそれた話になってしまったなぁ~。そんな、お話。
ようするに、いつも通りですねw
ある夜のこと、ロゼは夢を見ていた。
ロゼは科学者にして不老。
そのため夢の研究をしていて作成した、自分が見たい夢を見る機械を普段は使っているのだが、今夜の夢は自分の望んでいたものとは違っていたのだ。
「私の今夜見る夢は、お菓子のお家を食べ尽くして『女の子らしい夢を見るだなんてロゼ様は可愛い~♪』ってみんなから言われる夢を機械にセットしたはず。
ここは何処かしら?」
場所は無人の駅。人の気配は皆無。
はて? 科学者として天才的な頭脳を持つロゼが何故このような夢を見ているのか?
機械の故障だろうか?
彼女は確かに寝る前に、発明品の一つ『良い夢見れ~るちゃん』を起動したはずなのだ。
天才に失敗などありえない。
だけど、こうも思うのだ。
好奇心の塊の彼女は、万に一つもあり得ない自分が「失敗した」だなんて面白過ぎる、と。
当然、自分がなぜ失敗をしたのか分からない。だからこそ、科学的にありえない自分の失敗を体験するために流れに身を任すことにしたのだった。
ガタコンガタコン
「Hey! お嬢ちゃん!! 電車に乗るかい?」
現れたのはモンキーが運転する電車。
電車とは言っても、ここが駅で、線路の上を走っているからそう判断しただけで、屋根や壁はボロボロ。ドアも無いので電車っぽいからそう判断しただけで、本当は電車ですらないのかもしれない。
遊園地のアトラクションでももう少しお金がかかっているだろう。そう思えるほどにボロっちぃ電車だった。
「乗ったら怖い思いすっけど、別に怖がらせても構わねぇだろ?」
運転手の挑発的な発言。
こんなことを言われたらロゼは当然、
「ええ、お願いするわ。出来るものならね♪」
こうなる訳だ。
そして電車は出発し、先の見えない線路を突き進み続けるのだった。
◆ ◆ ◆
ロゼは最初、前から二番目の席に座った。
先頭は車掌のモンキー。その席を含めても三席しかなかったので二番目の席に座った訳だが、そのことが幸いした。
最初の駅を出て、次の駅に到着した瞬間、後ろの三番目の席が爆発したからだ。
「ちっ、来やがったか!
お客さん、飛ばすからしっかりつかまってなよ?」
そう言うとモンキー車掌はアクセルを踏み込み(本当に電車なのか疑いたくなる)、粉々になった後部座席との連結を切り離し、手榴弾を投擲。爆発。
「ねぇ、好奇心から聞かせてもらうんだけど誰かから狙われているの?」
「あぁ、俺っちの電車がボロっちぃのは見て分かったでしょうが、商売敵でさぁ!
相手は<猿夢>っつー妖怪なんですが、そいつが俺っちをライバル視して、あの手この手で戦い続け、こっちの被害総額は10億円を超えてんのさ!」
「やられっぱなしなの?」
「とんでもねぇ!
俺っちも奴の獲物を掻っ攫ったり電車破壊で、相手に与えた痛手は12億円だったりするがなぁ~♪」
ちなみに、この車掌の名前は<モンキードリーム>。
自分が入った夢の主をエキサイティング走行でビビらせる妖怪で、その名前と言い行動と言い、パクリと言われても仕方が無いのだが、そんな事は知らん!
実際、猿夢とモンキードリームは実家が隣同士で幼なじみなのだが、子どもの頃から反りが悪かったそうな。
名前が似ているやら職業が似ているやら、小学校の時に同じ女の子に惚れたり河川敷で夕日をバックに殴り合ったり。
大人になっても続く犬猿――もとい猿猿の争いは実際凄い。
「なら、私が解決策を提示してあげましょう。
猿夢と言えば、夢の中で自分の電車に乗った人を抉ったりひき肉にしたりする妖怪だけど、貴方は純粋に走りでビビらせるだけなのね?」
「そうでさぁ! やっぱ男は速さでビビらせてなんぼっしょ?
それをあの猿だきゃぁ、血ぃ出しゃ客がビビると思ってらぁ。
んなもん、三流でも出来らぁ!」
そうこう話しながらも後ろから迫ってくる猿夢。
「私を乗せたことが幸いしたわね。
さぁ、科学の時間のはじまりよ♪」
ロゼは後ろ車両に飛び移り、科学的チョークスリーパーで猿夢を絞め落して強制的に話し合いの席を設け、問題は解決したのだった。
具体的には自分に従わなければ妖怪だろうがなんだろうが、科学的に地獄に落ちるよ~、と脅すことで。
◆ ◆ ◆
しばらくして、猿夢とモンキードリームの仲は改善された。
ロゼが提示した妥協案と言うのは、結局のところ猿夢とモンキードリームは客の奪い合いとキャラ被りを気にしての喧嘩だったので正確に住み分けることにしたのだ。
猿夢はこのまま夢の世界で人間たちを恐怖に陥れる仕事を。
モンキードリームには現実世界での電車の運転手としての仕事を。
喧嘩というのは相手が居るから成り立つのであって、出会わなければなんてことはない。
これにて二人は喧嘩をすることもなく、世界はまた少し平和になったそうな。
また、この二人が別々に人々の恐怖の存在になってはいるが、
平和とは、つまりまったくこれでよいのだ♪
むしろ洋物ホラーの方が血がブシャーな作品が多い気がしますけどね。
それと最近プランターで育てていたサニーレタスが萎れてきて、もう駄目かな? と思っていたのですが、地面に倒れ込んだ先端から、新たに伸びた芽が上を目指すようになりました♪
葉が育つたびにちぎって食べていたので茎の部分が25センチくらいに伸びていますが、このサニーレタスは根性がありますね。
そこからさらに成長を続けるのなら観葉植物として可愛がって行こうと思います♪
かなり背が高くなってきました♪




