番外編2 野桐中生徒会室
番外編2と言うことで舞台は変わって生徒会。
日常的でグダグダした物語にしばしお付き合いください・・・
西日が差す明るい部屋の中、書類をめくる音が聞こえる・・・
「君。コレを職員室に提出してくれ」
「えー、また俺ですかぁ?」
資料を片手にそういうそういうのは茶髪の不良っぽい男子生徒。
「いいでしょ、手が空いてるの貴方だけだし」
素っ気なく言うのはメガネのよく似合う女子生徒。
「ってか、琴生は絵描いてるじゃん!会計の仕事やれよ」
「五月蠅い、仕事は終わったわ。部活動中よ」
そういうと彼女は筆を動かし続けた。
「ここ部室じゃないだろ!?」
「別に良いんじゃないか?」
「会長まで・・・」
「ホラ、早く行きなさい。会長命令だそうよ」
追い払うように手を振る琴生を光樹はあっかんべをして反抗した。
「お前が代弁するな!行ってきます!」
彼らは幼稚園からの幼なじみである。
「いやぁ、あいつがいなくなると静かで良いですね」
長身でメガネをかけ、優等生にしか見えない男子生徒がさらりと言う。
「それは失礼というものではなくて?葛城くん」
応えた彼女は豊満な胸に見事なライン。あでやかなブロンドに緩やかなカーブがかかっている。
その頃、会長の電話が鳴った。取ると同時に生徒会室の全員が黙る。
「・・・あぁ、解った」
「お仕事ですか?」
百鬼が聞くと会長はすんなりと応える。
「いいや、今回は他に任せる事にした。資料が片づかないからな」
綺麗なノック音が3回、許可される前に扉を開け入ってきたのは、時の人だった。
「こんにちわ、珠璃いる?」
「姫様!どうされましたか?こんな所へ」
会長の態度が一変する。明るい表情はいつもの冷静な彼女では考えられない。
生徒会の暗黙の了解その1、天童美希が来たときの会長には関わらない。
「会長、天童さん来ると性格かわりますわね」
副会長がそういうと、ため息をつきながら琴生は話す。
「しょうがないわよ、命の恩人みたいなものらしいから」
「そうなんですの?まぁ、天童さんは人助けがお好きなんですね」
艶やかな微笑み、葛城の視線が集中する。
「そうかしら」
嫌みったらしく言う琴生は葛城を睨み気付いた彼がおののいた。
美希が来たおかげで会長はしばらく上機嫌だ。
さてさて、彼女が来たときには生徒会が忙しくなるのがこうれいだ。
今回はどんな我が儘ッぷりを見せてくれるのだろうか・・・などと、葛城は考えている頃
「えっとな、篠原って生徒、知ってるか?」
「篠原 悠斗Bランク、電子機器に強く、ハッキングの腕はかなり良いですね。まあ私に劣りますが、私としては生徒会に欲しいです」
琴生は隣にあったパソコンを開き、せっせと情報提供してきた。
「やらんぞ?学生の部の後方支援部にいるんだから、依頼してやれ」
「外部に情報を託すほど、私が劣るとでも?」
「それで良い、後方支援部は周りとの干渉は避ける。部下など持たず己のみで仕事を成す。依頼主とも接触を避け情報漏洩を防ぐのがプロの仕事だ」
「お詳しいようで」
睨みをきかす彼女を美希は嬉しそうにニヤリと嗤ってみせる。
「こらこら、申し訳ありません姫様、少々無愛想でして」
「構わん、面白いからな」
「それはさておき、地下の部屋を分け与えて欲しい」
「簡単な話ですわ、その件私が天童様の為に」
そこで一歩前へ出たのは副会長、癖なのかスカートの端をつまみ丁寧なお辞儀をする。
「おお、それならヨロシク頼む、えっと・・・」
「百鬼家の麗子と申します。我が一族もごひいきに」
「おう、では百鬼よろしくたのんだ」
用事が済んだとばかりに美希が出て行くと、また静けさが戻った。
「やらしい」
「何を言ってるの義務ですわ」
笑顔で受け応える副会長はなれているらしい。別に気にしてないようだ。
その時、荒々しくドアが大きな音を立てる。
「ハァハァ、ただいま戻りました」
「あら、おかえりなさいませ鵺之くん」
「会長!さっきの人、天童美希さんですよね」
「あぁ、そうだが?」
「いや~美人だったなぁ、会長!俺、彼女と友達になりたいです」
「鵺之くんは相変わらず正直ですね」
「いやらしい」
話を止めるように机を叩く音が大きく響く。音の原因は葛城だった。
「うるせー、お前ら!仕事しろ!」
「姫様は私に頼まなかった・・・何故だ私いらない子?」
陰で頭を抱える会長を引っ張り出して、葛城は怒鳴る。
「ああ、もう!会長もです!ほら仕事してください!」
今日も愉快な野桐中生徒会メンバーなのであった・・・
メンバー役職紹介
淺田 珠璃 生徒会会長
百鬼 麗子 副会長
天瀬 琴生 会計
鵺之 光樹 書記
葛城 魁 書記
ちなみにここの生徒会は会長だけ選挙であとは会長指名で組織されるメンバーです。能力者だったり妖怪の末裔だったりしたりしなかったり?