第参話 美希の転校初日
転校生 天童美希が来たその日。
結局俺の後ろの席が一席分空いていて、そこに美希の机が置かれた。
一時限目 数学
教師が問題を書き終えた後、こういった。
「えーと、天童さん教科書は-------」
「・・・持ってません」
無表情のまま即答した
「今までどうやって勉強をしていたのですか」
「家の書物を読んで覚えていました」
「はぁ・・・。」
彼女は口に手を当て、考えてからこういった
「その問題が答えることができたら、よいでしょうか」
立ち上がると黒板に近づき説明をしながら黒を白に埋めていき、しばらくチョークの音が教室に響いていた
「ちなみに、ここをこうすると解りやすいです」
「天童さんそれは、まだ、教えないんだよ」
教師は焦りながらいった
いきなり少しびっくりしたような顔をした。ほとんど無表情でわかりいくいが・・・
「えっ、あっ、申し訳ありません」
といって黒板の綺麗な字を消し始めた。
「皆様、誠に申し訳ありません、どうぞ、続けてください」
丁寧なお辞儀だった。
そんなところに、割り込むようにしてチャイムが鳴る。
そんな感じで気疲れしてしまう授業が4時間終わった。
休み時間中みんなが、わんさかよってきたが、相変わらず、ほとんど無表情で、言葉を返していた。
-昼休み-
みんな部活の昼連に行っていて教室はがら空きだった。実際は、俺と美希しかいない。
たまに他のクラスの奴が美人の彼女を見に来ていたが、もうほとんどそれもない。
俺は部活に入っていないので次の授業の準備をしていた。
次の時間は特体(特別体育授業)、戦闘訓練の様な、もとい、そのものの恐ろしい授業だ。
それも、能力者のほとんどが警察や軍人などの仕事に就いたり、普通に生きていても、結局“能力者狩り”という恐ろしいのに狙われるからなんだが・・・。授業内容がおっかない。
今日は射撃訓練と能力検査だ。“射撃訓練”なんて中学校でやらないだろ普通。
だから、自分の銃を持ってきても、許されてしまうらしい。でも、校内以外の発砲禁止だし、生徒や一般市民に怪我させたら罰もある。
だから校内は防弾使用の制服で過ごす訳だ。
この学校や世界では個人の能力の種類のデータがあり、強さもレベルF(無能力者)からレベルS(超能力者)まである、ちなみに俺はC、普通だ。能力検査はどれだけレベルが上がったかをはかるものだ。能力によって検査の仕方が変わる。
『こいつはどうなんだろう』不意に聞いてみたくなった。
「なあ、君って能力者だよなぁ、レベルっていくつ位なの」席に座ったまま、後ろの席にいた彼女に聞いた。
「きいてどうするの」
態度が今までと全く違い、眉を寄せ、ほおづえをつき退屈そうに窓を視てつぶやいた。
「いや、別に」
「・・・しらない」 「えっ・・・」
「というか、生まれてからはかったことない」 「だって、国で決められて・・・」
「私は、国のルールにはほとんど、当てはまらないんだ」
意味ありげに話したその顔は呆れたような顔をしていた。っていうか、今は無表情じゃ無いんだな。
「もうすぐ、雨が降る」この言葉で話は中断、そして、元の無表情な美少女に戻っていた。
俺は立ち上がりながら「ああ、次は、第二体育館集合だ」というと、彼女は返事をすることなく席を立った。
ちょうど、それにあわせて小雨が降ってきた。『折りたたみ傘持ってたっけ』
下校時には晴れるだろうか。
そんな心配をしながら、第二体育館に向かおうとすると、外に出ていた奴らが戻ってきた。
そして、少し表情を見せた彼女も何事も無かったかのように、もらったのであろう校内の地図を広げていた、やたらと広いからな、この学校。新入生が迷子になるくらいだ。
自分しか視たことないであろう光景を見れた俺は少しながら嬉しかった。
『あぁ、こいつも・・普通の人みたいなところがあるんだな』と感じた瞬間だった。