第壱話 記憶の中の少女
俺が七つの時いや、正確には七歳になった夜。俺は家の境内に閉じこめられた。
とっても心細い気持ちだったことは記憶に残っている。
そんな中で何をして過ごしていたかも覚えてない。
でもその後はよく覚えている。
朝、夜明けと共に親父は起こしに来た。俺がなぜこんなことされなきゃいけないと抗議する前に、親父は目を丸くし、俺を抱えて、とっさに母さんを呼び俺に古めかしい着物を着させられ俺は、天童家にいった。
武家屋敷のような大きな家の門にたったときは、知らないのに懐かしい感じがした。
ゆっくり廊下を進んでいると反対側から俺ぐらい、いや、俺より小さいくらいの女の子がいた。
かわいいというより綺麗というほうがしっくりくるような顔立ちをしていたが、その目は獲物を見定めるかの様に鋭く、そして無表情であった。
両親に連れられ俺は大きな部屋へ来た。
中には綺麗な顔立ちの女の人と、当主を絵に描いたような男の人とさっきの女の子が一番奥に座り。ほかに20人ほどが両家の間に綺麗に並んで座っていた。
訳のわからない話し合いを大人達が続ける中、女の子は眉一つ動かさず人形のようにたたずんでいた。
そんな話も七年前の記憶である。
「ふぁーねみー」
俺は天理 総真天理家の次男坊で13歳 野桐中学二年生
ただいま、あさの7時30分 登校の時間だ。
家から距離があるので朝は早い。寝不足なところを兄貴にたたきおこされた日は最悪な朝となって、俺にネガティブさを植え付けていく。
野桐中学は能力者の育成中学トップ3にはいる能力者にとってはすばらしい中学らしいが、全然違う。
すばらしいなんて言葉は似合わない。防弾制服着用で学校に行けばひとつの基地ぐらいの軍備がある、恐ろしい学校だ。
ただいま、8時00分ホームルームの時間
今ちょうど、担任の話。
「あーえーっと今日から、転校生が来た。」
一瞬にして教室がざわめいた。
「えー男?、女?それと能力者~?」
誰かが、みんなが一番聞きたいことを聞いてくれた。
そんなざわめきをお構いなしに教室のドアが勢いよく開いた。
バァン
教室中に響く、ドアの悲鳴にみんな振り返り、沈黙した。
髪の長さは腰まであり、その色は黒く、右目に前髪をかぶせ視てはいけないと主張しているようだった、そして、綺麗を通り越してしまったような白い肌に薄く青色の眼が目立っていた。しかし全く表情がなく、まるで、人形が言葉を話しているようだった。
沈黙の中に響いたその声は綺麗な声だった。
「天兎族の天童 美希と申します。以後お見知りおきを」
教室にいた奴らの反応は二分した
一つはその美麗さに感動してる奴ら
二つは驚いて何も動かなくなる奴ら
後者はほとんど天兎族だった。中にはあきれている奴もいる。
小柄な彼女を視て俺は心の中でこう言っていた 『こいつ、知ってる気がする』
第壱話を読んで頂きありがとうございます
次話は2~3週間後を目安に掲載したいと思っています